渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

西部を征服した銃 ~コルト・シングル・アクション・アーミー~

2017年05月20日 | 文学・歴史・文化



1872年。スミス・アンド・ウエッソン社が持っていた金属薬莢と
いう世界革命的な弾薬のパテントが切れるのを待って、コルト社
が初めて世に出したのがコルト・シングル・アクション・アーミーだ。
この銃は1872年トライアルから1873年に正式に騎兵隊=米軍
に制式銃として採用され、同73年から7.5インチ銃身モデルが
一般販売が開始された。1886年には5.5インチ銃身モデルが
登場し爆発的人気となった。さらに、4.75インチの短銃身も登場し、
これは主として市民が携行して人気を博した(画像のモデル)。

とにかく、爆発的に売れた。
多くの西部開拓民はまだパーカッション式(シリンダーに火薬と弾頭
と雷管を詰め込む旧式連発銃)を使用しており、少し進んだ開拓民
はコンバージョンとよばれるパーカッション式を金属カートリッヂ式に
改造した拳銃を使っていたが、一時期を過ぎるとSAAが完全に
席巻した。
西部開拓における拳銃とは、殺し合いの撃ち合いのためではなく、
主として外出時の蛇撃ち等の護身用であり小動物の狩り用だった。
その西部の発展はすさまじく、ゴールドラッシュと共に鉄道が敷設
され、一気に開発が進み、多くの人が東部から西部にやってきた。
そして、銃も最新式のコルトSAAが大人気となったのである。
販売代理店がCMキャッチフレーズで使用した「ピースメーカー」と
いう呼称は、コルト・シング・ルアクション・アーミー=SAAモデルを
代表する呼称となり、世界中に知れわたった。
コルトSAAは当時地球上で最先端の最新式の革命的な銃だった
のである。

ピースメーカーは、初期銃器の黒色火薬時代のファースト・ジェネ
レーションモデルと、無煙火薬が開発されて以降のモデルがある。
どちらもファーストジェネレーションなのだが、のちにシリンダーの
軸ピンの固定を確実に頑強にとめる方式が出てきた。それが
セカンド・バージョンで、これが西部劇などでも多く使用されたモデル
である。
日本のモデルガンというものは世界で初めて作られたリアルレプリカ
ガンなのだが、日本のモデルガンのSAAは多くはセカンド・ジェネレー
ション以降をベースとしており、西部開拓時代の銃ではなかった。

日本のモデルガン(CMC金属。1968年型ベースの1973年製)。


1960年代初期は日本には渡航制限があった。誰でも海外に行く
ことが出来たのではない。仕事であるとか留学であるとかの正式
な理由がなければならず、預金残高証明も必要だった。
今のように自由に海外旅行が出来るようになったのはかなり後年
の事なのである。
このCMCのピースメーカーもベースは1960年代後半製作で、完璧
に資料不足によるものであることが細部を見れば判明する。
一番リアルさに欠けるのがグリップ周りのフレームの大きさで、これ
は当時写真資料しかサイド側面の全体像資料がなかったため、
写真の魚眼効果で横端が広がってしまい、それをそのまま寸法取り
したため、日本製モデルガンのSAAはグリップが実銃よりも大きい
ことになってしまった。特に六人部氏デザインの中田やCMC製は
そうなってしまい、これはのちに型を引き継いだ現ハートフォードも
そうなってしまっている。
逆にウルトラリアルなSAAの大きさを再現していたのは、実銃から
採寸してモデルアップした世界初のモデルガンメーカーのMGC
(モデルガンコーポレーションの略が社名の原初)だった。
しかし、日本人の多くは実銃と同寸のMGCのグリップを小さなオモチャ
然としたものと思っていたようだった。
ただ、MGCのSAAはシリンダーやトリガーガードやトリガーなどの
細々した
形状を見ると1stジェネレーションの物であり、もしかすると
部品
チャンポンの実銃SAA(これが実銃では実に多い)を採寸ベース
として
しまったのかもしれない。そのため、MGCはシリンダーピンの
ヘッドの形状を
実銃とは異なる物にしてあり、これも何だか謎チャンポン
をベースに
しているからかも知れないという推測が成り立つ。

MGCの1971年銃刀法規制以前の1964年型のSAA。とても貴重だ。


法に従い、銃膣を完全閉塞し、本体を黄色に塗っている。
1971年の横浜の小学生の時の断腸の思い。製品を破壊する
ことを強要する新法を憎みながらも、アウトローになるわけにも
いかず、本当に涙を流して泣きながら合法加工したのを今でも
よく覚えている。
本体の色は「白または黄色」に塗ることが義務付けられたが、
黄色についてはゴールドメッキや金色が黄色同類として認諾
された。だが、シルバーのクロムやニッケルメッキは実銃にも
存在したため、シルバーメッキ仕様は法律違反扱いとなった。
このモデルガンの白色黄色塗りは世界に類を見ないチンドン銃
とすることで実銃と見分けがつくようにしたものだが、実銃に
白と黄色でペイントして検問をあざむいてズドンとやるシーンが
当時タイムリーにTVアクションドラマ「キィハンター」で描かれて
いた。


このシリンダーピンスクリューがフレームサイドにあるタイプは
1896年登場の無縁火薬時代以降のモデルであり、黒色火薬
の西部開拓時代の銃ではない。
だが、ハリウッドウエスタンムービーとマカロニウエスタンの多く
(ほぼすべて)は、無縁火薬モデルを使用している。時代的には
存在しなかった嘘ガンベルトと共に。
こうしたことは、日本でいうならば、戦国時代や江戸初期柳生
物語に幕末の突兵拵が出てくるくらいにあり得ないことであり、
本来はやってはならないことだ。
しかし、アメリカ映画で時代考証がきっちりとなされた西部劇が
描かれ始めたのは1990年代に入ってからである。唯一、銃器
に関してはクリント・イーストウッドがリアル感にこだわって製作
を続けていた。彼のアプローチを多くの人が認識するようになった
のは90年代に入ってからだ。以降急激に「時代考証」がアメリカ
映画ではなされるようになった。94年前後には西部劇が矢継ぎ早
に発表されている。

ただ、イーストウッドとても、ローハイド以降に世に出る作となった
スパゲッティ・
ウエスタンの『荒野の用心棒』では、クリントの自前
の3rdジェネ
レーションのポスト戦後モデルのSAAをイタリアと
スペインに持ち
込んでの撮影だった。ビンテージの1stモデルは
撮影で使うのは
もったいなかったのだろう。というか、代用品の
無煙火薬モデル
を使用するのが西部劇のほとんどのやっつけ
手法だった。

それでもまだ日本の鞍馬天狗がダブルアクションのS&Wを持って
いる日本映画よりはずっといい。日本映画の銃器描写はひど過ぎ
ることがず~っと続いていた。どんなにクロサワがリアル主義に
こだわり抜いても、一般映画やドラマは虚像捏造全員集合だった。
そして日本では水戸黄門が人気を得て、あれが本物の本当の
時代を描写したのだと思い込むようなトンチキばかりになった。

1968年キャスト型タイプからネジの1本はギミックとなったが、
これの画像の個体64型なので
3スクリューともライブのタイプで
MGC製品としては超貴重なごく初期
モデル。


日本のモデルガンのハンマーは、初期物は太いハンマリングピン
だった。これは当時、実銃のセカンドバージョンの写真を見た人
たちは、モデルガンのそれをリアルではないと感じていたこと
だろう。

だが、しかし!

前述したように、日本のモデルガン作りは、古い時代のちゃんぽん
モデルがベースとなっていた。
セカンドバージョンにあの日本のモデルガンの太いハンマリングピン
(カートリッヂの雷管を叩くハンマー凸部)はおかしいことはおかしい
のだが、実際の実銃ビンテージ1stジェネレーションは、ピンが太い。
実に太いのである。クレヨンを削ったみたいに太い。

上:セカンド・ジェネレーション無煙火薬モデル
下手前:1884年製ファースト・ジェネレーション黒色火薬モデル

モデルガン(マルシン金属)。カートを面で打撃するタイプなので
ハンマー打撃部の先端がフラットに造形されているが、この太さ
自体は実銃と同じだったのだという事実。だが研究が未発達の
1960~70年代はこの形はリアルではないと多くの日本人は
思っていた。


廃番マルシンSAA。これもチャンポンモデルで、シリンダーの形状は
ファースト・ジェネレーションをかたどっている。


重量は実銃なみの1060グラム。私の康宏刀とまったく同じである(笑)。
というか、実銃はロングバレルの砲兵モデルで1048グラムなのだから、
カートを入れた金属モデルガンは実銃のカートなし重量よりもかなり重い。
これは、鉄の比重7.8に比して亜鉛合金が6.7~7.13程度で軽量なの
だが重いということは、銃膣閉塞によるモデルガン独自の重さということ
なのだ。そのためバランスも前バランスになり実銃とは異なる。豚鼻の
CMCや1971年規制以前のモデルが実銃に近いバランスだっただろう。

ここで登場してもらう、ヒコック45のおっちゃん。
ピースメーカーのクリック音が風鎮のように澄んでいて快感。
Colt 45 SAA 1884 Vintage


実銃でも「技あり」の人はどんなことをしちゃうかというと、これ。
自分で射った矢や投げたナイフを自分で抜き撃ちで射撃して命中させる。
なんだか凄すぎ。特に矢の距離というのはかなりあり、その距離で抜き
撃ちで中るということかと驚く。
Knife Throw vs. Fast Draw - Cisko Master Gunfighter


日本人で実弾射撃での抜き撃ちNo.1は国本圭一氏だ。
この人が日本でコルト・ガバメント・ブームを創った。元々はSAAの人。


でもって、なぜか国本氏本人が使っていた彼のモデルガンSAAを
私は持っている(下)。これは宝物。


この国本圭一さんのSAAには私は本当に大切なことを勉強させて
もらった。
これね、
外見はまったくノーマルなのに、内部はフルチューニング
されてるの。
作動が一般売りの製品とはまるで次元が違います。
これには感服した。シリンダーストップボルトが上るタイミングまで
チューンされている。
このトイガンに詰まった姿勢は大いに学ぶところありと痛感したの
でした。
世の中って、
ハデハデしいハッタリかましほどニセモノが多いんだよね。
かといって何も羊の皮をフェイクで狼が被る必要はない。本当にごく
普通の
ノーマルに見えて、実は超高性能の能力を持つ。人も物も、そう
いうのが凄いと私は心底感じる次第にて。

見たところなんの変哲もないノーマルガンなのに、この国本さんのSAA
手にして、私は
本当に心底驚いた。
大事なことを勉強させてもらいました。

私にとっては、ピースメーカーについて研究し、考察し、触れ合って
いる時が一番楽しい時間だよ。
一番くだらないのが武術屋たちのこきたない性格を見た時ね。
あれは世の中であれほど汚い心根があるのかと思える程に小汚い。
ice-kみたいなの大集合なのが武術界だから、あんな武術のような
ことをして人間的な人格などは万が一にも形成されはしない。カスが
集まりカスが好んでやるのが日本古武術だ。
何かね、勘違いしてるんだよね。古流をやってる奴は偉いんだ、みたい
な大きな勘違い。そしてそれゆえか慇懃無礼か横柄な人間たち大集合。
タコのクソが頭にのぼってるような連中ばかりなんだよね、本当に。
あれ、きっと武術には人間の精神を根本から腐らせる何か未発見の
要素があるのでしょうね。
結構クリーンだと思っていた全日本剣道連盟でも最近何か不祥事が
発覚したみたいね。それは「露見」であって、元々ずっとそういう汚濁
システムというのは存在したのだろうけど。まあ、全剣連みたいな武術
ならぬ武道の世界も、公的にはクリーンに見えても、医学の世界と全く
一緒で、どす黒くて汚い政治の世界があるみたいよ。

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