渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

研磨 ~肥後守~

2016年01月09日 | 刃物

黒染めに失敗した肥後守を研磨する。


研ぎながら鎬を立てて行く。



真ん中あたりがまだ甘い。


鎬を蹴らないように研ぐ。


さらに研ぐ。


どんどん研ぐ。


確認しながらさらに研ぐ。




鎬中央部をさらに立てる。


更に立てる。半分から先は凡そ立った。


さら研磨。


ほぼ鎬は立った。


角度をずらして甘い所をチェックする。


甘い所を立てる。


裏も鎬を立ててからヘアラインを入れる。


大体OK。


ブレードバックも研磨する。


姿が崩れていないかチェック。切先がマットに刺さってる(笑


まあ、よかろう。


試しに爪を切ってみる。左右3指ずつ爪を切る。
チーズを切るよりも抵抗なくスーッと切れて行く。
OK、終了。
刀身を洗浄し消毒してから油を引いて保存する。

<研ぎについて>
青棒や動力は一切使っていない。
すべて平砥石による手研ぎである。
切るためだけの砥石ならば天草と#1000(シャプトンでもキングでも
ナニワでもよい)と仕上げ#6000があれば、切るためだけの刃は付く。
ただし、「錆びず、刃持ちが良く、望む刃味」を得ようとしたならば、多くの
番手(同じ粒度の砥石でも鋼の状態により合う合わないがある)と同番手
でも別種の砥石を揃える必要がある。
そして、ただただ急いで研ぐ雑な研ぎは絶対に駄目だ。
以下については厳密に厳守すべき事項と私は認識して実行している。
・砥石の表面を面一に常に真っ平らに補正し平面を確保する。
・ストロークはただガシガシと素早く大雑把にやるのではなく、角度をずらさ
 ない正確な前後運動で行なう。(止める時にプログレッシブに止めないと
 砥石目に強弱がついてしまいムラになるので注意)

・番手毎に右手と左手で持つ刀身の角度を変えて低い番手の砥石目を消す。
 (あえて同じ角度で押す場合もある)
・しゃくり研ぎは絶対にしない。(一般刃物は日本刀の研磨とは別な技法となる)
・「常に右でグリップを持ち裏を研ぐ場合は刀身を裏に返す」ということはしない。
 裏を
研ぐ場合は右と全く相似形で左右の手を逆にして刃物を保持する。
・研ぎ汁を流水で流しながら研ぐことはしない(基本中の基本)。
・同じ番手の砥石でも押圧力、擦過速度、研ぎ汁状態等々によって番手が
 異なる状態を作出できるので、これを大いに効果的に使う。
・基本的には荒砥(400~800)、中砥(1000~1300)、仕上砥(6000~8000)
 の三種は揃える。(私の場合は、一般刃物用としては天然・人造含めて15種程)


他にも書き出すと、1000文字では足りない程のノウハウがあるのだが、
割愛する。
一つだけ確かな事実がある。
「研ぎを実行しない者は、決して研ぎが上手にはならない」。
理論と咀嚼と理解と実践、そして自己検証の繰り返しが上達につながる。
やらない者はできない。
やる者も、ただやみくもにやるのではなく、正しい物理的な理論と実践が
なければ研ぎは研ぎとはならず、ただの「こすり」になってしまう。
さらには、自己満足に溺れるような自分に甘い者は絶対に上達はしない。
思い上がった時点で進化は完全停止する。これは職業としての刀鍛冶や
日本刀研磨師もまったく同じであるが、プロではない趣味の研ぎにおいても
まったく同じ現象が現れる。己大好きの自惚れで自分にのみ甘い人間には、
「上達」などという発展は技術系の世界には存在しない。これはまた、武術
においても同。
また、ネット時代、多くの嘘、出鱈目、誤情報の動画やネット文章が蔓延して
いる。
「本当のことを見抜く目」を持つことは、インターネット利用者に求められる
必須事項である。
ネット利用者の方々は、上っ面すべりの「知識のコレクター」情報ではなく、
内実ある真の情報を掴み取っていただきたい。

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