渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

ソリッドシャフトとハイテクシャフト ~ビリヤード~

2017年04月29日 | ビリヤード

ビリヤードキューのシャフトは、いわゆる日本でノーマル
シャフトと呼ばれているのは、英語では「オリジナル
シャフト」と呼ばれるようだ。
私はソリッドと呼ぶが、これはハイテクシャフトの中空
構造に対して構造を表した呼び方で、直訳すると「無垢」
だ。
愛刀康宏も無垢。愛キューも無垢材を好む。
そういえば、ハイテクシャフトというものは、日本刀の
うちの組み合わせ造り込み等に似ている。
私はノーマルシャフトという呼び方はしない。
無垢造のシャフトについてそういう呼び方をするのならば、
ハイテクシャフトはアブノーマルシャフトと呼ぶのが整合性
があることになってしまうからだ。

ハイテクが良いかソリッドオリジナルが良いかは、完全に
好みによる。
ハイテクが何でも優れているという感覚を持っている人がいる
としたら、それはあまりにも不明だし、無知だ。
また逆にソリッドがすべてにおいて卓越していると過信する
人もまた然り。物事を解っていない。
両者は両者の特質があり、どちらもメリット・デメリットがある。

動きは全然異なる。
オリジナルソリッドは、野球で例えるならば、変化球を投げれば
すべて変化球になるようなシャフトである。
一方、ハイテクシャフトは、すべて直球にしかならないが、打者
がバットに当てた時には、全部はね返り方が異なる球になる、と
いうものに似ている。
ハイテクシャフトは真横を撞いてもほぼ手玉が直進する。
ソリッドシャフトは真横を撞くと撞いたほうと逆に手玉がずれて
進行する。なので的玉に手玉が当たる厚みに人間が補正をかけ
て軌道を予め予測する。

この時のズレをトビと呼び、補正を見越しという。
ハイテクシャフトには球の重なりの見越しはほぼ要らないが、
手玉に回転を掛けた場合は的玉は歯車の原理で横にずれる
ので、
その的玉の軌道についての見越し補正が必要になる。

もう一つ違う動きは、ソリッドシャフトは手玉が的玉と当たった
時の分離角度は大きく開いて割れる動きをするが、同じ撞点の
場合、ハイテクシャフトは大きく開いて割れずに縦に鋭角に
分離する。
これは押し球でも引き球でもそうなる。
一見ハイテクシャフトのほうがキューが利いて切れているように
見えるが、そういうことではない。切れとは別な現象の問題。

キューを利かせて(切らせて)押しで撞くとこのような割れの
違いが出る。ハイテクシャフトだからキューが切れるのでは
ない。この割れについてはキュー切れとは別次元の現象を指す。

これは一般論であり、ソリッドシャフトでも、ハイテクシャフトの
ような軌跡を描くシャフトを作ることはできる。それはすべて
テーパーにかかっている。私が1本持っているソリッドシャフトは
独自のオリジナルテーパーにより、ほぼハイテクシャフトと同じ
手玉の軌跡を描く。かといって、入れが強いかというと、そういう
ことではない。入れは別な次元とファクターに関することだ。あく
まで手玉の動きをどのようにさせるかという違いがテーパーにより
現出するだけのことである。ハイテクシャフト系の動きが好きで
ソリッドシャフトが好きならば、そのように動くテーパーを知れば
よいだけだ。シャフトはソリッドもハイテクも、テーパーがかなり
重要なシャフトの動きの要素を占める。コンマミリの違いで大きく
打球性能が変わる世界。シビアだ。
これと同じく、フライフィッシングのロッドも、ごくほんの0.0幾つ
のテーパーの違いで、ロッドアクションが大きく変わる。当然、
それは釣果に繋がって行く。だからロッドメーカーは各社ともテー
パーを命としているのである。

例えば、ドローショットをすると、逆スピン状態(微小ジャンプに
よりラシャと手玉の摩擦が少なくなり手玉が止まっているように
見える)から一気に戻って来るような手玉の動きをする撞き方が
ある。これをキュー切れが良いと呼ぶのである。
フォローについても、目視できないジャンプで着地してからギュイー
ンと一気に進むフォローのことを「切れが良い」と言ったりする。
キュー切れとは手玉の回転のことだ。どれだけラシャの抵抗に負けず
に手玉に強烈なスピン状態をかけていられるかが、キュー切れがある
かないかについてのことなのである。ただの手玉の横スピンではなく
それが進行の軌跡に大きく関与する時に限って「切れ」となってくる。
手玉が駒のように横に勢いよく回るのはキュー切れとは呼ばず、あく
まで進行に関与してくる曲線を伴う手玉の軌跡を描くのが「切れ」
なのだ。究極のキュー切れはマッセであるといえる。


補正見越しが少ないので、ハイテクシャフトは逆ヒネリの時には
すごく有効な武器になる。
ただし、順ヒネリを強く入れると、的玉は歯車原理で明後日の方向
にズレて
薄く外れて飛んで行く。それについての見越しが必要になる。
つまり、ハイテクシャフトは順ヒネリは厚くとり、逆については、
摩擦抵抗の問題からそのままのトビがないエイミングでいける。


私が気になるのは、ハイテクシャフトは接着剤を使用している
ということだ。
これは経年変化での寿命がソリッドよりも短いことは明白だろう。
ソリッドの場合はどれくらい持つかは分からいが、私の持ちキュー
では、丁度30年前の淡路亭の赤木メープルのソリッドシャフトは
今でも現役、どころかとてもよく働く良いシャフトである。
ハイテクシャフトが地上に誕生してもうすぐ四半世紀になるが、こちら
の耐久力については私は知らない。私が持っているハイテクシャフト
はここ10年以内の製品だからだ。

ただし、キューに関して、私は「パワー」というものについては
よく分からない。
キューの反発力は、シャフトのしなりと慣性重量の伝達性に起因
するものだろうが、そうしたものは数値化はできないだろう。
厳密にはできるかもしれない。
ただし、木製品という物である限り、個体差が大きすぎて、理論化
は不能であると思われる。
ゆえに、釣り竿のテーパー、車(二輪を含む)のサスペンションの
セッティングと同じく、トライアンドエラーでの「ある程度の線」
を把握することしかできないことだろう。

キューにパワーはない。これは私は断言したい。
どうして木の棒にパワーなるものが具備されているのか。
あるとしたら物体が持つ「反発力」だ。「反発 力」で力と
あるからとそれをパワーとは世の中は呼ばない。
よくビリヤード界では、「パワーのあるキュー」などと言われる
ことが多いし、メーカーもプロもやみくもにその表現を使う。
ではパワーとは何だ?と問うと誰も答えられない。
ブレイク等で破壊力があるのは、投手の剛腕と同じくブレイク
する者に力があるのであり、その力をロスなくキュー先に伝達
させて手玉を強く撞き飛ばす力がある、というだけのことだ。
その際に、キューの硬度や重量によって反発力に差が出る。
そのことを多分パワーのある無しと言っているのだろうが、それは
パワーではない。
ビリヤード界は実に珍妙な表現が多くまかり通っている。玉を
撞いて補正の見越しをするのは人間であってキューという物体
ではないのに「見越しのあるキュー、ないキュー」などと言っ
たりする人が多かったりもする。
これも私は断言する。見越しのあるキューなどという物は地球上
には存在しない。見越すのは人間だからだ。キューはただキュー
である。
ただし、ズレやトビが多く発生する特徴のキュー、それらが少ない
キューというものはある。中る銃中らない銃があるのと同じだ。
ただし、狙いがズレている銃でも、見越しという補正で命中する。
銃はずれたままだし銃が補正などはしない。
ビリヤードのキューも同じである。キューに見越しなどは一切
ない。

こうした人の世の当たり前の定理を理解しようとしない人が
ビリヤード界には多すぎる。
どうにもね・・・、なんというか「当たればいい」「入ればいい」
という人がビリヤードの世界には多く、物事の真理についてきちん
と認識した人間性を以って撞球に臨もう、という人は存外少ない。
そして、そうしたきちんと物事をわきまえようとした厳格で真摯な
姿勢の撞球者は、日本撞球会黎明期の初期のプロたちに多かった。
つとめて紳士であった。
ポケット・ビリヤードのプロも、まるで世界的な紳士競技のキャ
ロム・ビリヤードの選手のように紳士であった。
今のプロや上級アマチュアたちもそうであってほしい。

(スマホでの投稿は結構きつい。笑。
大した長文でもないのに長文だ長文だと騒ぐ若年層は、ほぼ
日常生活携帯スマホで済ませているからだろう。というか多分、
新聞も雑誌も小説も読まない層なのであろう。たぶんガチ)

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