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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

中村彰彦

2014-04-04 16:42:34 | 本と雑誌
幕末維新史の定説を斬る 幕末維新史の定説を斬る
価格:(税込)
発売日:2011-05-19

ソニーのリーダーストアはなかなかによい店だがポイントの寿命が短いのでもうすぐ切れると思うと使わにゃ損な気がしてつい(読める以上に)買っちゃうのが難である、そんなわけで先月末に買ったのがこれ

30代の一時期歴史の論文を書いていた、ここに時々書き散らしてるようなモノ、しばしば飛躍し過ぎ、しばしば自分で読んでも(後になると)意味不明、確か原稿料を貰ったのは1回だけだったと思う、その頃(名前を並べたことがあったかどうかは忘れたが)同じ雑誌に書いてたのが当時は文春の社員だったこのヒトである、大野晋の「日本語タミル語起源説」を痛烈にやっつけた回が特に面白かった、丸谷才一ほどのヒトがこのトンデモを疑ってなかったのは不思議、本読みのプロでも友人には甘くなっちゃうということだ(あ、これ前に書いたな)
中村は資料を調べるプロだったがエソラゴトを読み解くプロではなかったので小説について書いた文章は(文体はともかく)内容はいまいちだった、一度感想を書いて会社へ送ったら本人の手元に届いたようでちゃんと返事が来た、たぶん「読んでくれて感謝」と書いてあったんだと思うが記憶定かならず、ただものすごく上手な字だったので悪筆の私は心底羨ましいと思った(こっちはもちろんワープロで書いたのである)、ともあれ実作者として成功したのはめでたい、この頃脳出血で入院されたとのこと、お大事に

ということはさておいて本作は小説ではなく資料調べの方、得意分野だけあってなかなかに興味深い

謎1-竜馬「暗殺」を指示したのは誰か?
犯人は京都見廻組の役人たち、この襲撃は上から命じられた公務だったんだから明治になってから処罰されたのは不当と言える(斬首にならなかったとは言え)、だが竜馬の潜伏先を彼らに教えたのは誰か?
当時竜馬を保護してた薩摩藩の関係者以外は考えられぬ(竜馬は倒幕論者じゃなかった、薩摩とは決して同調してなかったのだ)、それはたぶんその通り、中村は西郷だと決めてるようだが、どうなのかね、その頃(慶応3年11月)西郷は現場にいなかった、ここは半藤一利(このヒトも文春出身)の大久保説が正しいような・・・

謎2-松平容保はなぜ京都守護職を引き受けたのか?
当時の京都はとにかく物騒で誰もそんなことをやりたくなかった、まあ手短に言えば会津の侍が強かったからだというのが中村の説、なまじ強かったおかげで長州藩の恨みを買って戊辰戦争でさんざんな目にあった、「天道是か非か」(と中村)、そら天の知ったこっちゃない、ただ後の西南戦争で「会津の恨み覚えたか」とは言われた・・・ってそれは薩摩、まあ同罪だけどね

謎3-孝明天皇は殺されたのか?(丸谷才一によればこれは幕末期最大の謎とのこと、二番目が何だったかは忘れた、ちょっと残念)
痘瘡から回復しかけてたのに容態急変、どう見ても痘瘡の症状ではない、これは砒素を盛られたのにまずマチガイあるまいとのこと、黒幕はよく言われるように岩倉具視(かつぐ神輿は軽いほどよかった、そらわからんでもない-って簡単にわかるな!!)、まあそうなんだろが実行犯は誰なのかね、天皇ともなれば必ずや毒見役がいたハズ、一番怪しいのはそいつだと思うけど、まさか(毒見が)いなかったとか、御所ってところは案外無用心だったのかも・・・という考察がほしかったかも
ところで同じ年に死んだ将軍家茂について暗殺説はないんだろか、一橋慶喜を推してた一派は安政の大獄で粛清されたけどその井伊直弼もとっくに死んでる、ここは慶喜をかついで一挙大政奉還に持って行こう、そのために現将軍の命を縮めてやろうと考えてたヤツがいなかったハズはないと思うんだがな


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