事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

井上靖

2017-09-25 15:59:10 | 本と雑誌
白い牙」けっこう読んでるつもりだったけどこれは知らんかった、ソニーにあったので即ダウンして読了、昭和26年の連載でほぼ同時期を描いてる「4000ドルと言えば150万円だぜ」なるセリフあり、1ドル=400円の見当でキリのいい数値を言ったのかな
映画版はこちら、簡にして要を得た紹介で多少の省略はあるが(長編だから完全映画化はムリ)ストーリーはほぼこの通り、ただ原作の舞台は東京と伊豆なのに映画では神戸と白浜になっている、撮り映えのする場所を選んだのか、先に撮った「猟銃」を意識したのか(監督同じヒト)、言葉が違うだろという気がするんだが、さう言えば猟銃の登場人物も全員標準語でしゃべってるわな、井上は京都の大学行って大阪で勤めてたのに関西弁にはなじまんかったような(伊豆のアクセントは関東なるべし)、お父さん役が佐分利信でこっちの方がイメージ合ってる(猟銃の主人公は娘がいたとしても小学生だと思う、いないけど)
そのお父さんは息子の出生を疑ってるとか言いながら娘と差別するでもなく大学(機械科)へ行かせている、魚から調味料を採れないかなんて当面見込み薄そうな研究を身内の男にやらせようとしたり(娘=ヒロインはこの男を恋している)、イノシン酸(カツオブシのうま味)を入れたタケダの「いの一番」が発売されたのは10年ほど後(このCM記憶してるよ)だから先見の明があったというべきなのか・・・だけど魚から抽出して採算合うかだうか、作者のアタマにあったのは魚醤かもしれんよね、ペプトン(タンパク分解産物)って言ってるし、まあそこまでわかるわけはないわな(イノシン酸は核酸)
映画はどうやらヒロインが行きずりの外人に身を任せるシーンで終ってるみたいだが(実際だうだったのかは確かめるには見るしかない、違うことが多いからね)、小説はもうちょっと続く、理性的なこの女の子(弟が19歳だから20代前半、小さい頃両親と3人だけでいたことを記憶してるところからして23,4歳という設定じゃないかと思うが女の子でよかろ)は男を知ったからとて別に変わらない、ただ仕事をみつけて家を出ようと思う、みつけたい仕事というのが大学の技術補佐、え、そんな?と思うかもしれんがこの時代女学校卒でもコネがあれば何とかなったのじゃあるまいか、作者はそういう女の子を知ってたんだと思う、義理のお父さん(医学部教授「比良のシャクナゲ」のモデル)の大学とかで、ただ当時の給料はオソロシイほど安かったハズ、部屋代も出んのじゃないかしらん?しかも東京は住宅難と作者がはっきり言ってるし「猟銃」の女の子と比べてもちょっと楽観的に過ぎるかも

関係ないけど「猟銃」が舞台化されて3人の女性を1人の女優さんが演じたとのこと(こちら)、フム女の子がちょっとわざとらしいかな、彼女「伯父さんのところへ行く」と言ったらしい、そのヒト信用できるのかしらん「お裁縫で身を立てる」は今となっちゃむつかしいってか、時代設定だうなってるの?また赤いドレスの姉さん「そのお金で余生を」なんて言うなよ、まだ若いんだしそんなお金すぐ使い切っちゃうよ「友達といっしょに花を作って売る」ってけっこう堅実な事業方針だと思うけど、ま、イメージ的にはピッタシ、白い着物の姉さんについては保留、つまり見にゃわからん、見んけど

9-26追記-映画の公開は「猟銃」の方が後、けどあちらが芦屋だからこちらもになった可能性なくはないと思う、役者と監督が同じで場所も時期もほぼかぶってるのにこの扱いの差は何かというと、一つは原作の出来、もう一つは女優さんの差・・・かね?

もう一つ追記-ようやく映画を見たヒトの感想をみつけた(こちら)、お父さんの入院も彼女が外人に身を売る(お金もらったんだった?)も元ネタがさうなってるからしかたない、というかそれなりの必然性はあると思うんだがな、ともあれそれでオシマイじゃなかったんだね、サンクス教えてくれて

拝復ラピュタ阿佐ヶ谷殿

2017-09-25 03:41:05 | 映画
この度は誠にご丁寧な返信痛み入ります、いや全くそうですよね、常連ですらない一視聴者の意見が通るわけはない、ハナから期待してはおりませんでした
「恋の画集」は原作者に対する名誉毀損、あってはならぬ作品ですが作者の佐野さんはとっくにこの世のヒトではないですし、川津さんと佐野さん両方のファンが今の世の中私以外にそう存在するわけはないですし

ということとは関係なくとそちらのアーカイブズ(の一部)拝見いたしました、再上映の作品けっこう多いのですね。その一方で有名どころなのに上映されてない(らしい)作品も・・・いえ見落としかもしれませんが

そんな中わりと最近の上映に「猟銃」をみつけました(井上靖つながり)、これ私は台本を読んでるのですが大きな原作改変があります、山本富士子と鰐淵晴子が実の親子じゃなく鰐淵はこの時点で高校生ということ
元ネタの彼女は20歳(山本と佐田啓二の実子)、お裁縫が得意だからそれで何とか生きて行くと言っててそれがうまく行くかどうかはわからないけど読者はとりあえず安心してこの子を見送れます
だけどこれが16歳だったら自活などできるでしょうか、悪い男(ひょっとして佐分利?)のエジキになる未来しか想像がつきません、彼女はこの後どうしたのでしょう?せっかく読んだのに全く記憶がないのです、もし映画の中に描かれてたのなら教えていただけませんでしょうか
もし何も描かれてなかったらタハハですが、というか当時まだ健在だった原作者は何もおっしゃらなかったのかなあ??ですが
ではよろしく 早々