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大丈夫か日本財政17年版 その1 日銀保有の国債はどうなる

2017年05月14日 | 大丈夫か日本財政

  かわいいトランプちゃん、大きな墓穴を掘りまくっていますね。しゃべりすぎる犯罪者が自らボロを出し墓穴を掘るのを見ているようで、ほほえましい限りです(笑)。FBIの元長官コミーに対しても、「いいか、だまってろよ!」と毎日ツイートしています。そうすればするほどマスコミが喜ぶのにね。

  長官の解任理由を3日で完全に変更してしまったら、解任理由書を示しめして説明した報道官や副大統領が怒るもの当然です。その上「もう毎日のブリーフィングはしない」だとか、相変わらずのやんちゃぶりに、政権内部もだいぶいら立ちが目立ってきています。いつまで内部が持つのかも注目です。

  CNNでは著名批評家が、「アメリカ大統領に小学1年生が就いた」という批評を投稿していました(爆)。納得です。

 

  日本ではアベチャンが先走って、20年までの憲法改正を宣言し、野党だけでなく党内からも批判を浴びています。暴れる北朝鮮を使って改憲ムード高めようとするやり方が強引すぎるのでしょう。憲法学者のほぼ全員が憲法違反だという集団的自衛権を成立させてしまったのだから、それ以上何が必要なのでしょう。緊急性への対処は十分すぎるでしょう。

  と書くと、平和ボケとい批判が聞こえてきそうですが、この政権の三権分立の無視ぶりや違憲立法を見ていると、憲法などないも同然。改憲など全く無用にしか思えないのです。

   何度も申し上げますが、私は自衛隊を必要だと思うし、それに合わせたウソのない憲法を持つべきだと思っていました。しかし違憲立法をする安倍政権がいる限り、そのまま9条にさわらないほうがいいと思うようになりました。

  9条には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とあるのに、全く無視するのですから。「国防軍は持てる」などとしようものなら、空母どころか戦略核兵器だって保有しそうです。


  さて、言いたい放題言ったあとは、日本の話題に移ります。初回は日銀です。大利根決戦が終わったところで、私とクラスメートが話をした場面に戻ります。話題は日銀の黒田氏が18年に再任されるか否か、私の質問に大手金融機関のトップにいた友人が答えている話でした。

引用

私が友人に「こうした人事を見ると、黒田氏の再任は決まりかな?」と聞くと、彼は「今さら安倍さんも黒田氏を放り出せないよ。これまでのすべてを否定することになるしね」、と回答。

「じゃ、ますます緩和に突っ走るの?」。

「それしかないだろうな。そのつもりの人事だもん」

「出口はどうなるの?」。

「そんなものないよ。インフレさ。インフレで国の借金を実質帳消しにする以外に手はないだろう」。

「インフレで金利が上がったら日銀は大損して、信用を失うよね。保有国債の値洗いをしないことにするのかな」。

「もちろんそうさ。持ち切れば値洗いなしってことにするのさ」

「でも日銀は保有国債のポートフォリオを公表しているから、専門家はよってたかって値洗いしちゃうでしょ」。

「そうだな。でも、『だからどうした』って開き直るのさ(笑)。それを見た国債市場は売り一色になって、円も暴落だろうな。それが本格インフレの開始のサインだよ、きっと」。

  最後に私が「もっとも市場には売る国債も残ってないかも」というと一同爆笑で議論は終わりました。

引用終わり

  日銀は買える国債が少なくなったため、単なる国債の爆買いからイールドカーブ・コントロールなどという屁理屈をつけて国債の買いのペースをダウンさせています。しかし買っていることに変わりはなく、いまだに市場に存在する日本国債の価格変動リスクを市場から消し去ろうとしています。

  友人は価格変動リスクを覆い隠すため、日銀はきっとすべての国債を償還まで持ち切ることでリスクはないとしてしまうだろうとのことでしたが、私は債券の専門家なので、日銀保有国債の値洗いシミュレーションを簡便法でやってみます。

  値洗いシミュレーションとは、もし将来金利が上昇した場合、日銀はどれほどの評価損を抱えるかの試算のことです。

  シミュレーションに必要なのは、保有残高と保有国債の残存年限、利回り、さらに厳密には購入単価ですがそれだけは除いて計算します。このシミュレーションでは国債1本ずつの計算をするのは不可能ですので、すべて平均値を使い、国債の束を1本にまとめて計算します。結果は当たらずとも遠からずで、およその数字を把握することが可能です。

  まず日銀の保有国債の残高は、16年12月末の資金循環統計で長短国債合わせて420兆円です。その加重平均クーポン利率は公表されていないので、財務省が公表している残存国債全体の加重平均クーポン利率を適用します。日銀は長短国債をおよそ残存国債全体に合ったかたちで保有していますのでそれで当座の用は足ります。

  加重平均クーポン利率は1.08%です。長短すべての残存国債を合わせて加重平均しても、たったの1.08%とは驚くべき低さです。まだ過去の高い金利の分が残っているのに。そして同じく残存国債の平均年限は8年5か月です。これらの数字をもとに、保有国債全体をクーポン金利1.08%、年限8年5か月の1本の債券として価格変動をシミュレーションすることにします。

  8年5か月の1.08%の金利が、それぞれ3・5・7%に上昇した場合、価格100の債券が、どれだけ安くなり評価損が出るかを計算します。結果は以下のとおりです。

        3%   5%    7%

価格     86.5%  74.7%  64.7%

評価損    56.7兆  106兆  148兆

  数字の見方は、クーポン金利1.08%の国債価格は、市場金利が3%に上昇した場合、100の価格が86.5になる、というように見ます。減価分13.5%を金額に換算すると、それは56.7兆損をした、となります。同様に5%に上昇すると106兆円の損、破綻に近いと言われる7%なら価値の3分の1が毀損され、148兆円の損失と計算できます。とても恐ろしい数字です。

  では、次回はその評価損のインパクトが日銀のバランスシートに与える影響を見ることにします。

 

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