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トランプ包囲網をつくろう

2017年06月15日 | トランプのアメリカ

  2017年は「地政学上のリスクが世界を翻弄する」との予想通り、世界の政治状況が目まぐるしく動いています。

   まず、日本。本日参議院で中間報告方式なる禁じ手を使い、世紀の悪法を成立させた安倍政権ですが、これにてまんまと加計学園問題の追及をかわしました。

  しかし果たしてこれで本当に逃げ切れたか否かは、支持率の変化と都知事選の結果次第となりそうです。私には加計学園問題も、テロ等準備罪可決の強引な手法も、小池新党には追い風になると見えます。そしてそれら禁じ手のオンパレードは世界の右派独裁政権に共通する強引なやりくちです。

   トランプの台頭以来、私は以下の人物を同列に並べ批判をしてきました。

   トランプ、プーチン、習近平、金正恩、エルドアン、そして安倍です。

   これにルペンが加わらなくて、本当によかったと思います。どうやら世界の右傾化、反グローバル化の動きには一定の歯止めがかかったと思われます。

  それどころかフランスのマクロン新大統領は、できたての新党にもかかわらず国民議会の議席の7割を勝ち取る見込みという離れ業をやってのけました。フランス政治のダイナミックさには本当に驚かされます。メルケルは仲間を得てほっとしながら、ほくそ笑んでいることでしょう。

   一方、イギリスではわけのわからない解散総選挙に打って出たメイ首相が大負けを喫し、求心力を失いつつあります。ドイツ・フランスにとってイギリスの退潮は欧州におけるヘゲモニー争いの競争相手が一人いなくなったという歴史的な大変化を意味しています。ここでもほくそ笑んだのはメルケルでしょう。

   これで秋のドイツ選挙も安泰が予想され、欧州の将来地図がほぼ固まりました。EUではグローバル化推進勢力が一丸となることに成功し、反グローバル化を掲げ失敗した英国を叩くことで、EU内の謀反の動きへの強い牽制にもなります。謀反の動きとは、移民の受け入れ割り当てを拒否しているポーランド、チェコ、ハンガリーなどに見られる動きを指します。

   そして「ドイツとフランスのEU」は、反グローバル化を掲げるトランプの前にも大きく立ちはだかることになります。どこぞのアベチャンとは違い、メルケル・マクロンはシッポを振ったりしません。

   そのトランプですが、国内での包囲網がだいぶ狭まってきています。最近ツイッターで「オレ様を包囲している敵を蹴散らす」と宣言しましたが、トランプはそうした宣言をすること自体、包囲されていることを認めたことになるという理屈がわかっていません。相変わらずのかわいいトランプちゃんであります(笑)。

 

  彼が認めた包囲網とは何か。探っていきます。

   今週トランプ政権は誕生以来初めて全閣僚を集めたというニュースが流れました。初の全員集合とはそれ自体驚きですが、いまだに各省内の重要ポストの人集めに苦労し、毎日トランプ発言の火消しに追われている取り巻きと閣僚は、寝る暇もないのでしょう。

  その初の全閣僚会議の冒頭の20分ほどがテレビで放映され、マスコミから「コメディーだった」と揶揄されました。理由の一つ目は、冒頭でトランプが「歴史上最高の大統領だ」と、何も実績がないことを棚に上げ自画自賛したこと。二つ目は、全閣僚に「これまでのオレ様の仕事ぶりはどうか」と尋ね、一人一人全員に応えさせるという演出で、誰もが例外なくトランプをナマで大絶賛したことです。

   NYタイムズは閣僚全員の歯の浮くような発言をきちんと並べ、誰がもっともトランプをヨイショしたか、ご丁寧にランキングまで付けました(笑)。その中で優勝に輝いたのは言うまでもなく副大統領のペンスで、彼の発言は「アメリカ国民への約束を守る大統領のために副大統領として働けることは、私の人生の中で最も光栄なことだ」とのこと。まあ、副大統領としては当たり前の言葉のようですが、これを20数名全員にもれなく言わせてご満悦だったというのが、マスコミの言うコメディー・トランプ劇場です。

 

  このトランプによる賛辞強制の様子を見た脳科学者中野信子氏は、「まるで北朝鮮の金正恩が、喜び組に言わせているような光景だった」とコメント。さすが文芸春秋に「トランプはサイコパスだ」という投稿をした学者の的を射るコメントでした。

 

  さて、「トランプ包囲網」についてです。

   その筆頭はマスコミです。彼はマスコミに攻撃されるたびに反撃していますが、マスコミはゴマンといて彼は孤軍奮闘なので、寝る暇もありません。マスコミ側は彼から材料が毎日更新(笑)されるため、突っ込みネタには事欠きません。メジャーなマスコミではFOXニュース以外はトランプの所業をほじくり返し、包囲網を徐々に詰めてきています。

   2番目の包囲網はロシア疑惑を追及する特別検察官とFBIです。最新のニュースでは、特別検察官がトランプ自身を捜査の対象に入れたという報道がありました。

   これに関してBBC日本語版速報を引用します。「2016年米大統領選への介入をめぐるロシア疑惑について、米紙ワシントン・ポストは14日、ロバート・ミュラー特別検察官がドナルド・トランプ大統領を司法妨害の疑いで捜査していると報道した。特別検察官は当初、ロシア側の動きに注目していたものの、それが大統領の司法妨害に注目するようになったのはトランプ氏自身の行動が原因で、ロシア疑惑捜査の大きな転換点だと同紙は書いている。

  これについてはトランプ政権が特別検察官を解任するか否かが新たな焦点になっていますが、コミー長官の解任で大きな批判を受けている中、はたして政権がそうした禁じ手を繰り出せるかが見ものです。もっとも右派独裁政権はやりかねません。

   3番目の包囲網は議会民主党の200人からトランプ自身への集団提訴です。日経新聞を引用します。

  「トランプ米大統領が就任後もホテル経営などの事業を通じて外国政府や企業から利益を得ているのは憲法違反だとして、野党民主党の上下両院議員約200人が14日、集団提訴した。現職米大統領に対する議員団による訴訟としては最大規模。トランプ氏のビジネスと大統領職との利益相反問題を巡っては、市民団体や自治体も提訴。今回の訴訟で党派対立が先鋭化するのは必至で、税制改革を含む重要法案が停滞する可能性がある。米大統領選干渉などを巡る疑惑「ロシアゲート」対応で批判を浴びる政権にとって、一層の重荷となりそうだ。」

  弾劾裁判になれば数ではかなわない民主党ですが、憲法違反と判決が出れば共和党員を巻き込むことができるとの思惑があるのでしょう。

  そして日本ではあまり報道されていませんが、草の根の反トランプ運動がアメリカで大きな勢力になりつつあります。私に言わせれば「なにをいまさら」という気がしないでもないのですが、やらないよりやったほうがいい。

  ついでに言えば世界も反トランプで立ち上がるべきです。一時世界ではやった「チャイナフリー運動」に似せて、「トランプフリー運動」を世界中で展開するのも面白いかもしれません。チャイナフリーとは、中国製品のボイコット運動で、環境に汚染をまき散らす中国由来の製品をことごとくボイコットするという運動です。同様に、トランプにかかわる商品・サービスの不買、環境に大きな負荷をかけるアメリカ製品の不買。逆にアメリカ製品でも経営トップが反トランプを公言しているアップル、グーグル、テスラなどを積極的に支持するのも運動の一環として採用してもいいかもしれません。

  FBRの利上げと今後については、またの機会に。

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