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■■【心de経営】 采根譚05 前集二十四 明は晦より生ず 実践編34

2020-11-10 12:03:00 | 【心 de 経営】 菜根譚

■■【心de経営】 采根譚05  前集二十四 明は晦より生ず 実践編34


 【心de経営】は、「経営は心deするもの」という意味になります。それとともにフランス語の前置詞であります「de(英語のof)」を活かしますと、「経営の心」すなわち、経営管理として、あるいは経営コンサルタントとして、企業経営をどの様にすべきか、経営の真髄を、筆者の体験を通じて、毎月第二火曜日12時に発信いたします。

【筆者紹介】 特定非営利活動法人日本経営士協会会長 藤原 久子 氏

 北海道札幌市出身、平成元年7月に財務の記帳代行業務並びに経理事務員の人材派遣業の会社を設立し代表取締役として現在に至っています。
 平素、自社において、従業員満足・顧客満足・地域貢献企業を目指し、ワーク・ライフ・バランスを重視した経営に心がけています。
 一方、自社における経験をもとに、経営コンサルタントとしての専門知識を活用しながら、客観的に現状を認識し、問題発見・解決策の提案や業務改善案、経営戦略への提言など、企業の様々な問題の共有を図りながらアドバイスをしています。

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 『采根譚』の著者は洪自誠といわれ、日本に江戸時代中期に伝えられ、以来知識人の隠れた教養書として、明治以降も多くの人々に愛読されてきました。『采根譚』の書名は宋代の学者(思想家)汪信民の「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」によると言われています。「菜根」すなわち、野菜の根は硬く筋が多いが、これをよく咬みうる者のみが、物の真の味を味わうことが出来る、ということを意味しています。
 
 また「菜根」は貧しい生活、暮らしをいうことから、貧苦に十分耐え得るもののみが人生百般の事業を達成できることも意味しています。『采根譚』が日本に紹介されたのは江戸時代中期、加賀前田藩の儒者、林瑜(はやしゆ)が紹介したのが初めとされています。いらいおびただしい数の復刻本が出版され、中国よりも、日本で広く愛読されてきました。実業・ビジネスの世界で活躍されている多くの人々に、心の指南書として親しまれてきました。時が移り人が変わっても、変わる事のない哲理を今に活かそうとしているからだと思っています。
 
 この『采根譚』は前集、後集合わせて357編からなり前集の222編は現実を生きる処世の智恵を説き、後集134編は心豊かな閉居の楽しみを語ったものが多いとされています。
 
 それでは、解説者・井原隆一氏のプロフィールをご紹介します。1910年埼玉県生まれ。14歳で埼玉銀行(現りそな銀行)に入行。18歳で夜間中学を卒業。父親の死亡に伴い20歳で莫大な借金を背負いながらも独力で完済。その間、並はずれた向学心から、独学で法律、経済、経営、哲学、歴史を修めた苦学力行の人。
 
 最年少で課長に抜擢され、日本ではじめてコンピュータオンライン化するなど、その先見性が広く注目され銀行の筆頭専務にまで上りつめました。60歳になって大赤字と労働紛争で危機に陥った会社の助っ人となり、40社に分社するなど、独自の再建策を打ち出し、数々の企業再建の名人として知られたといわれています。
 

         参考文献 采根譚 (解説:井原隆一)  プレジデント社
 

■■ 采 根 譚 (解説:井原隆一)  :  前集 二十四 ■■ 
 
    明は晦より生ず
 

【読み下し文】
 
 明(めい)は晦(かい)より生ず
 糞虫(ふんちゅう)は至穢(しわい)なるも、変じて蝉となりて露を秋風に飲む。腐草(ふそう)は光なきも、化して蛍となりて采を夏月(かげつ)に耀(かがや)かす。固(まこと)に知る、潔(けつ)は常に汚(お)より出て、明は毎(つね)に晦(かい)より生ずることを。
 
 糞土から出てくる蛆虫は変化して蝉となって、白露を飲んで美しい声で、鳴くようになる。腐った草には光はないが、蛍となって光彩を放つ。このことからも、清いものは常に汚れたものから生まれるし、光はいつも暗闇から出るということが分かる。
 
【解説に出てくるキーワード】
 
◆ この泥があればこそ咲く蓮の花
 
 蓮は泥沼に生えていても美しい花を咲かすことから、どんな悪い環境にあっても清らかさ保つことをいう。「泥中の蓮」とも言う。
 
◆ 明中、明なし。暗中、明あり
 
 明るい日の中では、光を見出すことはできないが、暗い中ではどんな小さな光、つまり逆境を抜け出す目標を見出すことができる。逆境にあるからこそ、小さな光、つまり逆境を抜け出す目標が見えてくると、井原氏は言う。
 
  参考文献 采根譚 (解説:井原隆一)  プレジデント社
 

【コメント】
 
 活き活きと生きる人生の「心」の経営術として、性善説の人生哲学として「采根譚」は訳されています。
 
 嵐の日は鳥までも寂しく悲しげでありますが、晴れた穏やかな日は草木もいかにも楽しげです。自然には、たとえ一日でも穏やかで和らぐ日がなければなりませんし、人の心もたとえ一日でも喜ぶ気持ちがなければならないのです。
 
 つまり「無心に生きなさい」という事です。
 
 心の中に野の花が一杯咲き乱れますと、自然に和らいだ満足感に包まれます。人の心にも一日でも喜び、和む気持ちが無くてはならないと私は思います。つまり気象が移り変わる中にも快い晴れの日がありますように、人の心の中にも快く喜びや和む気持ちは欠かせないのです。
 
 心のバランスを崩してしまいますと、人間関係にも大きく影響すると考えます。
 
 ただ、心情が気象と似ているようで違うところは、人間は相手を思い遣るという善意があれば、よい気が生み出されるという事です。陽気も陰気も、心の持ち方ひとつです。自然界でも、気持ち良く晴れあがった日には、生きいきとした自然の関係から生まれた調和と喜びがあり、それこそが人間にとっても欠かせない大切な環境であります。
 
 私達は、時代と共にそれぞれの背景の中で、生き方や行動のしかたを問われて来ました。厳しい雨や風に襲われれば、鳥までが震え上がるのに対して、晴れた穏やかな日和に恵まれれば、草木までも喜びに溢れるというのです。
 
 時代の変化とともに可能な限り、寛容の精神でコンサルタントとしてクライアント様に接し、人々に満足の心を持ってもらうための支援をしたいと願うものです。
 
 人の品性は、包容力が大きくなるにつれ向上し、包容力は認識が深まるにつれて大きくなるといわれます。明るいものは、いつも暗いものから生まれ、かつ人は先の先までを見通して人に接しながら、自他の可能性の芽を摘む事の無い様に努めて精進するという事が肝要です。
 
 換言すれば「ご縁は一生の財産と認識すべきである」という事に繋がります。また、仕事が行き詰まり、形勢が悪くなった場合には、その初心が何であったかを考え、原点に戻り、再考する事も重要です。
 
 何事に於いても困難を嘆かず、可能を信じ、クライアント様との信頼関係を良好に深めて参りたいものです。そうした関係保持のために、常に自己の資質磨きに最善を尽くしながら、持続し続ける事が経営者を支援するコンサルタントのあるべき姿なのではないでしょうか。
 
 

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