親父の仕事が終わって(クランクアップ)しばらくして
街の映画館で封切りされます
大映の映画は、京都四条河原町高島屋百貨店の横に
あった、公楽会館(こうらくかいかん)で
封切られていました
公楽会館の地下に小劇場もあって、ここでは洋画の
二番館でした
私たち家族は、四条河原町の公楽会館によくいきました
完成した作品を撮影所の試写室で見たこともありましたが
やはり、街の映画館で大勢の観客に混じって見る方が
いいようでした
… … …
親父も街の映画館でときどき、見ていたようです
映画館のスクリーンにどう映写されているかとか
画面が暗くないかとか、画面の四隅が切れていないかとか
撮影所の完成試写ではわからないことが、あったのでしょう
親父は映画館のスクリーンにはどう映るかを意識して
仕事をしていたようでした。
私たち家族は完成した映画を公楽会館で見て帰ってから
親父に、あそこはどうしてとか、俳優さんの演技について
聞いたことがありました。親父は現場の裏話を交えて
いろいろ話してくれました
親父は、仕事のないとき、衣笠貞之助監督、長谷川一夫さんらと
新京極の映画館に他社の邦画、洋画を見ていたようです
… … …
映画館から帰ってきて私らにあの○○映画は面白いから
といわれて、母親と二人でとか私一人で見に行ったことが
ありました。
… … …
わが家では親父と家族で映画館へ行った思い出が
ありません。
わが家で映画は純粋に娯楽ではなかったのかも
知れません。
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