今日のうた

思いつくままに書いています

日本語のあいまいさ

2015-02-08 11:26:00 | ②一市民運動
2015年2月5日の「今、日本で何が起きているのか 追記1」が長くなりましたので、
憲法について独立させます。(初めて日本国憲法を読んだ、私の主観です)

★日本国憲法(前文)の一部
 政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、
 ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

★自民党の改正草案では
 今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を
 増進し、世界平和と繁栄に貢献する。

「政府の行為によつて」と明記し、「再び戦争の惨禍が起ることのないやうに
 することを決意」としている現行憲法に対し、自民党改正草案は、
「世界平和と繁栄に貢献する」と曖昧だ。

憲法は「国家存立の基本的条件を定めた根本法」である以上、
曖昧な言葉はふさわしくないのではないかと、私は思います。
ちなみに広辞苑で「貢献」は
①みつぎものを奉ること。
②力を尽くすこと。あずかって力あること。

更に曖昧なのは、「平和」という言葉だ。
広辞苑によると「平和」は、戦争がなくて世が安穏であることをいう。
平和=戦争がない、が前提なのだ。
ところがこれまでも、【平和のため】という旗印の下に空爆などが行われ、
子どもや女性を含む多くの市民が殺された。
「平和に貢献する」という曖昧な表現では、将来、拡大解釈される恐れがあると、
私は考えます。

政府は改憲を視野に入れて動き出しました。
どなたかが、「今の憲法を読むと、本当に美しい」と書いています。
憲法をあまり読んだことがなかったので、少しずつ読んでいこうと思います。
ブックマークに●「日本国憲法改正草案 自由民主党」(現行憲法対照)が入っていますので、
興味がある方はご覧ください。(プリントアウトするとA4 27枚になります。
最後の2枚、憲法改正推進本部の本部長・最高顧問等の名前を除く)
なぜ現行憲法が下で、改正草案が上に書かれているのか、とても不思議です。

マガジン9という、9条を考えるウェブマガジンがあります。
その中の「この人に聞きたい」に、アフガニスタンで活動を続けている医師・中村哲氏が
これまでいかに9条が守ってくれていたかを語っています。
ブックマークにいれましたので、ご覧ください。

追記1
「日本国憲法改正草案 自由民主党」(現行憲法対照)の「現行憲法」を読んでいくと、
やたらと自民党が付けたサイドーラインが目につく。
旧仮名遣いや文語表現、ならびに法律の言い回しにも、かなり付いている。
旧仮名遣いや文語表現が気に入らないなら、新仮名遣いや口語表現に改めれば
よいだけのことだ。
法律の言い回しが気に入らないのであれば、民法・刑法など全てを改めなければならなくなる。
時代に合わなくなった箇所だけ、改めるか追記すればよいだけのことではないのか。
こう言っては何だが、私には揚げ足を取っているように思われる箇所が多々あった。
 

9条を変えたいという以外に、どこに変える必然性があるのだろうか。
アメリカに押し付けられたというなら、民主主義も元々アメリカから来たものだ。
まさか民主主義まで変えようとしているのではないとは思うが・・・。

肝心の第9条では
★現行憲法
第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する
手段としては、永久にこれを放棄する。

※つまり、国際紛争を解決する手段としては永久に放棄すると言っているのであり、
 日本が攻撃された時の「個別的自衛権」は認めているのだ!

② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。

※戦力を保持しない、交戦権を認めないとしているのは、前項の目的を達するためなのだ。
 つまり、国際紛争を解決する手段としてはNO!と言っている。
 日本が攻撃される場合を想定しての戦力保持は認めているのだ。
 国防のための自衛隊、つまり個別的自衛権のための自衛隊は認めると、誰にも解るように
 明記すればよいのではないだろうか。個別的自衛権のためにはYES!目から鱗だ。

★憲法改正草案では
第二章 安全保障
(平和主義)
第九条 ・・・(上に同じ)国権の発動としての戦争を放棄し、武力による
威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。(引用ここまで)

まず、改正草案の(平和主義)とは何なのだろう。
一つの立場を言っているのだとは思うが、私にはイメージの為に使っているように
しか思えない。
自然主義、英雄主義、営利主義、厭世主義、快楽主義、禁欲主義、官僚主義・・・
「主義」とは極めてあいまいな言葉だ。
まして九条を変えてまで、自衛隊が海外で武力行使できるようにする案に、
なぜ平和がつくのか、とても違和感がある。
積極的平和主義という言葉も、私にはさっぱり解らないとぼやいていたら、
2015年2月8日の朝日新聞、長谷部泰男氏と杉田敦氏との「考×論」に、
このことへの言及がありました。最後の◎に載せます。

次に改正草案では、「武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては
用いない」とある。ではそれ以外では用いることもあるというのだろうかと、
つっこみを入れたくなるような弱弱しさだ。
現行憲法では「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記している。

現行憲法の②では、「前項の目的を達するため、陸海軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」と明記している。
だが、改正草案の2では、「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」とする。
つまり「国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を
解決する手段としては用いない」としてはいるが、それとは関係なく、国際紛争を解決する
手段として、自衛権の発動はすると言っている。

※つまり自衛権と言っても、上に書いたような日本が攻撃された時の個別的自衛権ではなく、
 国際紛争を解決するために自衛隊が出動する、集団的自衛権を認めるとしているのだ!

なんでこんな回りくどく、分りにくくするのだろう。
政府や官僚の答弁でも、~とは言えないが、・・・でもないとか、全くもって分りづらい。
「言質(げんち)」を取られないようにという魂胆が見え見えなのだ。

大分前になるが、アメリカに留学したい生徒がいるから、紹介文を英訳してと
頼まれたことがある。
その生徒は明るくて面白い子なのだが、担任にとっては生活態度がややルーズな、
勉強意欲に欠ける子だったのだろう。
なるべく印象を悪くしないようにと、勉強熱心とは言えないが、意欲がないとまでは
言えなくもなくなくなく・・・こんな文は英語に訳せないと断ったことがある。
政治担当の通訳の方は、ご苦労が多いことだろう。

政治の世界では、紋切り型の修飾語や、実態を伴わない勇ましいだけの
メッセージは要らないから、誰にでもわかる言葉で、率直に、誤魔化さずに、
国民が理解できるまであらゆる言葉を使って、丁寧に説明して欲しいと、切に願います。
日本人にとって一番大切な法である憲法草案は、特にそう願います。

◎上に書いた長谷部泰男氏と杉田敦氏の「考×論」の積極的自衛権について
 杉田氏
 「そもそも積極的平和主義」という言葉は、国際的に通用しうるものでしょうか」

 長谷部氏
 「直訳すれば『proactive pacifism』。右の頬を打たれたら左の頬を出すという、無抵抗の
  意味合いが強い『pacifism』に、事前に打って出るという『proactive』がかぶるので、
  日本は打たれる前に頬を出すのかと、外国の人は理解に苦しむのでは。
  外務省は『proactive contributor to peace』(平和への積極的貢献国)と
  訳していますが、わかりにくい上に本来の平和主義とは距離があります」

 杉田氏
 「これまでの『平和主義』の延長上で、少し色をつけただけですよ、という
  レトリックは国内政治的には通用しやすいとしても、文脈を共有していない
  国外に向けて発信する際はくれぐれも誤解されないようにする必要があります。
  今回、人道的支援を表明した安倍晋三首相が、身代金要求の口実にされました。
  これは言いがかりで、演説がテロの引き金になったわけではないにせよ、今後への教訓を
  引き出すためにも、政府の対応の検証が必要です」

2月8日の「サンデーモーニング」を観ていたら、今回の事件が特定秘密に指定されたという。
政府は特定秘密を口実に秘密裡にするのではなく、今後、このような事件を起こさないためにも
充分に検証して、今後に備えて欲しいと思います。
安倍首相の言葉は、日本人の私にも理解できないことが多いです。
外国でスピーチする場合には専門家の意見を聞いて、誤解されることのないよう
して欲しいです。
あなたの言葉に、私たち日本人の命運がかかっているのですから。
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