HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

蹴撃天使RINA 〜おんなだらけの格闘祭 血斗!温泉の宿?!〜 【第三回】

2017年04月20日 | 雑記

 抜身の刃を、目の前に突き付けられているかのような鋭い視線。じわりと押し寄せる恐怖感に目を反らしそうになるRINAだったが、歯を食いしばり負けずに《応戦》する。 

 只ならぬ空気が漂うふたりの《視殺戦》の間へ、慌てて絵茉が割って入る。

「り、リナちゃん。彼女は今井 遥 (いまい はるか) といって、あたしの姉貴的存在なの……って、ちょっと落ち着いてよ遥姉ぇ!」

 不安そうな表情の《妹分》の絵茉を見て、遥はRINAに突き付けていた《心の刃》を鞘に納めると、ようやく重苦しい空気は消え《日常空間》が戻ってきた。店内を流れている感じの良いイージーリスニングが、臨戦状態を解いたRINAの耳にも入ってくる。
 威圧感も消え《普通の女性》に戻った遥は右手を差し出し、フレンドリーにRINAへ握手を求めてきた。

「よく一歩も引かなかったね。さすが武林にその名を轟かせている《女侠》なだけはあるわね……遥よ。よろしく」

 和やかに握手するふたりの姿に、絵茉はほっと胸を撫で下ろした。

「まったく何してるのよ遥姉ぇは?! こっちは凄く焦ったんだからね!」
「いやぁ悪い悪い。でも疲れるのよ? 憎くもない相手に目力だけで威圧するのも。昔だったら全然平気だったんだけどねぇ」
「それだけ歳を取ったって事だよね」
「やかましい! 絶っ対殴る、今殴るっ!」

 狭い店内でどたばたと繰り広げられる、少しバイオレンス度の高めな《ど突き漫才》を前に、完全にぽつんと置いてけぼりとなったRINAが口を開いた。

「あの~絵茉さん、私にふたりの漫才を見せたかったわけじゃないですよね……? 念のためにお聞きしますけど」

 彼女の冷静な発言に、遥たちの動きがぴたりと同時に止まる。

「おー」
「ナイスツッコミ、リナちゃん!」

 彼女たちはこれ以上はない、バッチリなタイミングで飛び込んできた《ツッコミ》に対し、サムズアップをしてみせこれに応えた。ふたりが真面目くさった表情で行うのでそれが妙におかしくて、RINAは堪えきれずとうとう笑い出した。遥と絵茉も続けて笑う。三人の爆笑で一気に店内の雰囲気も明るくなった。

 指定されたソファーに腰掛けたふたりはコーヒーを手に、遥が用意する溢れんばかりのお菓子をつまみながら談笑は始まった。あと少しで夕飯だというのに、尋常ではない量のお菓子を前にRINAは少々困惑する。時折遥がじぃっと視線を送ってくるので、相手の気を反らさんばかりに彼女は質問した。

「あのー遥さん、さきほど私の事を“二代目《蹴撃天使》”と呼びましたよね? 私の前にもあの《通り名》を使っていた人物がいるのですか?」

 RINAの質問を受けて、絵茉と遥が顔を合わせてニヤリと笑う。

「それはわたしなの。昔……リナちゃんが武林に登場する前には、世間からはその《通り名》で呼ばれていたんだ」

 衝撃の告白に驚くRINA。

「遥姉ぇはね、十年前は人気女子プロレスラーとして活躍していてね……その時のニックネームが《蹴撃天使》だったの。キック技が売り物だったからね」
「そう、“悠木 (ゆうき) はるか”だった頃! 恥ずかしいけど懐かしいなぁ~」

 RINAは《女子プロレスラー》だったと聞いて、遥の身体の大きさにひとり納得していると、スマホを手にした絵茉が近付いてきた。

「ねぇ、観たくない? 遥姉ぇが現役だった頃の試合」
「観られるんですか?」
「うん、無料動画サイトを検索すればいくつかアップロードされてるし……ええっと」

 スマホ画面に指を滑らせて、試合動画を検索している絵茉を尻目に、大画面の壁掛け式の液晶テレビへ向かう遥。そしてDVDが並べられている棚からディスクを一枚抜き出すと、テレビに内蔵されている再生機へ放り入れプレイボタンを押した。
 テレビ画面の中では、現在より若干幼い顔をした十年前の遥……いや《悠木はるか》がキビキビとした動きでリングを駆け、ひと回り体の大きな外国人選手と一進一退の好勝負を繰り広げている。

「あ、えっ……?! 遥姉ぇ、試合の映像持ってたの? こないだは持ってないって言ってたじゃん」
「こんな田舎でも往年のファンがたまぁに訪ねてくるんで、一応は何試合かは持ってるのよ。でも自分からはめったに観返さないんでホント久しぶり」

 遥がローキックからミドルキック、そして胸板へのローリングソバットというコンビネーションを繰り出すと、それまで固唾を呑んで見守っていた観客たちが一気に湧き上がった。蹴り技のディフェンスが苦手らしい対戦相手の外国人選手は大きく後方へ倒れる。そしてふらふらになっている相手を無理矢理立たせ、ロープへ振り戻ってきたところへ素早く背後を取り、腰骨あたりに腕をグリップすると見事な弧を描いてブリッジし巨躯をリングへと叩き付けた。
 結局このジャーマン・スープレックスがフィニッシュホールドとなり、レフェリーから勝ち名乗りをうける遥の険しい表情がが画面いっぱいにクローズアップされた。
 RINAはテレビ画面の向こうに映る、初代《蹴撃天使》の活躍にすっかり夢中になり、なかなか画面から目が離せなくなっていた。

「いや、これ……凄いじゃないですか! もう私なんて二代目でも三代目でもいいです!」
「ありがとね。現役時代のインパクトが強かったのか知らないけど、リナちゃんが武林に現れた時にわたしとイメージが重なって、自然と好漢たちの間から《蹴撃天使》って通り名が出てきたんでしょうね」

 先ほどとはまるで違う、尊敬の眼差しを送るRINAに遥は、満更でもない表情をみせた。

「でも……どうして辞めちゃったんですか? プロレスを」

 RINAの率直な質問に、これまで和やかに流れていた空気が一瞬固まった。厳密には絵茉ただひとりがRINAと遥の顔を交互に見ながら、どうやってこの場を取り繕うかと焦っていた。実は彼女も随分前に同じ質問を何度もした事があるのだが理由は結局聞けずじまいで、「これは絶対に聞いては駄目なのだ」と自分なりに解釈していたからだ。
 様子見でちらりと遥に視線を送る絵茉。だが当の本人は、そんな彼女の気遣いをありがたく思いながらも、「心配しないで」とウインクしてそれに応える。

「辞めてからもう十年かぁ……以前は心の整理が付かず話す気にもなれなかったけど、今ならもう大丈夫。《おばさん》の愚痴になっちゃうかもしれないけど聞きたい? リナちゃん」

 本人はもう《笑い話》に転化させたくてわざと冗談めかして尋ねるが、隣りにいる絵茉の表情から「ただ事ではない」事を察したRINAは、背筋を伸ばし姿勢を正した。

「……お願いします」
「そんな大層な事でもないんだけどね。引退当時は理由を“一身上の都合”とだけ発表して、今でも表向きではそう言っている。だけど本当のところはね……“仲間との確執”がプロレス界を去る決意をした最大の理由なの」

 初対面のRINAはともかく、彼女との付き合いが深い絵茉にとっては、本人より初めて聞かされた《衝撃の事実》に驚きを隠せなかった。

「そんな……誰よ? 遥姉ぇをいじめた奴は?! あたしが……あたしがブン殴ってやる!!」
「落ち着いて絵茉っ! 誰それが悪いとかいう問題じゃないの。だから……ね?」

 遥は、突如として感情的になり、顔を真っ青にして怒り狂う絵茉を優しくなだめる。
 彼女が小さな頃から自分を尊敬し、またプロレス入りした時には精一杯応援してくれた事も充分過ぎるほど判っている遥は、眼の前で絵茉が自分の事の様に怒り悲しむ姿を見て、まだ幼かった頃の彼女のイメージを瞼の奥でダブらせていた。

「プロレス……特に女子の場合は感情的になることが多くてね、皆とは言わないけど自分より《劣る》選手を見つけてはストレスの捌け口にする事が多々見受けられたわ。誰かにいじめられそして別の誰かをいじめ返す……連鎖反応みたいにね」

 スポットライトに照らされ、多くの観客たちから歓声を浴びる華やかな表舞台とは違い、嫉妬によるドロドロとした負のオーラが漂うバックステージの様子を聞かされたRINAは、少し胸の奥が気持ち悪くなった。

「最初から“そういうもの”だと思ってこの世界に入ってきたし、万がいちタイマン勝負になっても負けない自信があったから、《スター選手》と呼ばれる地位になるまではぐっと我慢していたわ。お金の取れる選手になれば誰からも文句は言わないだろうって、そう思っていた」

 自然とテーブルの上の、お菓子を取る手がぴたりと止まる。

「当時そこそこ可愛い顔をしていたし、幼い頃から武芸の修練に励み培った、蹴り技という《売り物》があったから看板選手になるのに思ってたより時間はかからなかった。今でこそ総合格闘技や立ち技系格闘技の興行が普通に行われているけど、あの頃は格闘色を押し出していた選手が数えるほどしかいなかったから凄くマスコミやファンたちからプッシュされて、わたしの人気は日に日に高まっていき……そして気が付けば《スター》と呼ばれる選手になっていたの」

 遥の話にRINAと絵茉は、息をする事さえ惜しいほどにその内容に吸い込まれていく。

「だけどね、絶頂の時間は長くは続かなかったわ。わたしの成功を妬んでスターの座から引き摺り落とそうとする奴がいたのよ。それが練習生の頃からお互いに寝食を共にし、励まし合っていた同期入門の選手だった事を知った時……わかる? 親友だと思っていた娘が《敵》に回った時のショックの大きさが」

 両手で顔を覆い下を向く遥。僅かの沈黙の後ふぅ~と深呼吸すると、再び《真実の物語》を語りだした。

「同じくらいの格付けに上ってきた彼女は、わたしの事を邪魔に思い《味方》のマスコミやファンを引き込んで、わたしに対する《ネガティブ・キャンペーン》を展開し出したの。ある事ない事言うもんで最初は無視していたんだけど、プライベートにまで発言し始めた時……わたしはとうとうキレたわ」
「それで……どうしたんですか遥さんは?」

 RINAが質問した。

「シングルマッチでの一騎打ちを要求したわ、“リングの上で白黒ハッキリさせましょう”って。当然簡単には試合は組まれなかったけど、巡り巡って年末のビッグマッチでようやくその機会が訪れたの。でもね、“潰してやる”なんて最初は思っていたけどいざ顔を合わせたら、《あの頃の彼女》がチラついてどうしても《あと一歩》が踏み出せなかった。逆にわたしの顔を潰したいあの娘は、レフェリーの死角を付いて危険な技を次から次へと仕掛けてきた。警戒するだけで精一杯で注意が散漫になった所へ、電光石火の固め技でフォールを取られ……わたしは負けたの」
「どうして? そんなの簡単に返せたはずでしょ、いつもの遥姉ぇなら」

 信じられない! と言わんばかりの表情で遥に食って掛かる絵茉。

「いつもだったら、ね。でもあの異常な精神状態の中、《本気》の押え込みをされたらもう全然……返す事が出来なかった。《売り物》の蹴り技のひとつも何も出せないまま、観客たちからは《駄目なレスラー》だと罵られて……結局、大事な時に非情に徹しきれなかったわたしが一番弱かったの。それでこの試合を最後に《悠木はるか》はプロレス界を引退した、ってわけよ」

 遥はぱん! と両手を打ち《引退秘話》の終了を知らせたが、後味の悪さからかしばらくは誰も発言できなかった。

「どうしたの、みんな顔を上げて笑ってよ?ほらぁ!」

 遥ひとりだけが明るく振る舞う。話の内容とはまるで違う彼女のその態度に、違和感を覚えた絵茉は遥に尋ねた。

「遥姉ぇは……それでいいの? 自分の《選択》に納得してるの? ちゃんと答えてよ」

 真剣な絵茉の視線が痛いほどに突き刺さる。貼り付いたような偽物の笑顔も消え、うつむき加減で遥はぼそぼそと語りだした。

「絵茉、結局《闘い》っていうのはね、どちらか一方が闘争心や対抗意識を失った時、その《闘い》は成立しなくなるの。それはただの《暴力》へと変化するわ、殴り合いでも口喧嘩でもね。だからあの試合中に自分自身が非情になれなかった時点で、わたしの負けは決まったも同然だった。これ以上誰も傷付けたくなかったし傷付きたくもなかった。約五年間のプロレス人生の《いい思い出》だけを持ってここを去ろう、そう決めたんだよ……わたしの出した《答え》は間違っていたかしら?」
「遥さんは……」

 それまで黙っていたRINAが口を開いた。

「遥さんは間違っていないと思います。プロレス界からの引退は決して《逃げ》ではなく、格闘技者の誇りを守る為の《勇気ある撤退》だと……私はそう思いました」

 RINAが意見を言い終えた瞬間、遥の大きな身体が覆いかぶさってきた――彼女をぐっと抱きしめたのだ。RINAは一瞬戸惑うが、微妙に身体が震えている遥に気付くと、何も言わずに成すがままとなった。

「ありがとう……やっぱりリナちゃんは《蹴撃天使》の名に相応しいよ。明日絵茉と出るんでしょ? 角力祭。わたしも絶対観に行くから……頑張ってね」
「……はい!」

 頬を赤く染め、力強く健闘を遥に誓うRINAであった。

 店の時計は当に六時を回り、日は既に落ちて心許ない街灯の光が、寂れた商店街を照らす。少し前にRINAは徒歩で旅館へと戻り、遥の店では彼女と絵茉のふたりだけが、相変わらずコーヒーを手にお菓子を摘んでいた。

「いやぁ……いい娘だわ、リナちゃんって。真面目でしっかり者だし……アンタと大違いね」
「遥姉ぇ、それ何回目? それにあたしってそんなにダメ人間なのかなぁ?」
「うんにゃ、いい意味でのダメ人間! これに尽きるわ」
「それをどうあたしが解釈しろと?」

 RINAが帰ってからというもの、ずっとこの調子でふざけ合っているのだ。よほど遥はRINAの事が気に入ったのだろう、何度も何度も会話の中に彼女の名が登場するのだ。絵茉はうんざりしながらも久しぶりに楽しそうに話す遥の顔を見ては、うれしくなって微笑むのであった。
 突然、絵茉のポケットにあるスマホの着メロが鳴りだす。電話は『白鶴館』からだった――彼女はRINAについての事ではないかと咄嗟に思った。

「もしもし、女将さん? はい、ええ……何ですって?リナちゃんがまだ戻って来ていない?」

 嫌な予感は的中した。スマホを耳に当てたまま絵茉は硬直する。

「一体どうしたのよ、リナちゃん?」

 心配して駆け寄る遥を、手をかざして制止させると彼女は女将との話を続けた。

「はい、わかりました。こちらでもひと通り捜してみますね。それでは……失礼します」

 スマホの向こう側にいる女将に頭を下げ、通話を終了すると絵茉は力無くソファーにもたれ掛かった。
 
「それで、女将さんは何て?」
「夕食の時間になっても一向に戻ってこないんで、何か知らないか?と聞かれたわ。こんな事になるのなら、いくら距離が近いとはいえ、あたしがしっかり旅館まで送り届けるべきだった……」

 頭を抱えて落ち込む絵茉。その時、壁のハンガーに掛けられていたはずの藍色のジャンパーが遥によって胸元へ放り投げられた。遥の方を見ると既に鼠色のコートを着込んでおり、出発する準備は完了していた。

「落ち込んでる暇はないわ。直前までリナちゃんと一緒にいたのはアンタなんだから、しっかりナビゲート頼むわよ!」
「う、うん……行こう遥姉ぇ!」

 ふたりは顔を見合わせて頷くと、店の扉を開け漆黒の闇の世界へと飛び込んでいった。

 『白鶴館』周辺から始まって御鍬神社の内外に至るまで、絵茉たちは懐中電灯を照らしながら必死にRINAの姿を捜した。だが、どう考えてみても地元の人間ではない、初めてこの付近を歩いたRINAが、自分が案内した道以外を通って帰る事なんて有り得ない。

「……これが都会だったらかわいい店なんかを見つけてさ、ふらっと寄って行きそうなもんだけど。こんな田舎町じゃあ絶対有り得ないわね。う~ん」

 遥と絵茉は、商店街の奥にある路地裏の真ん中で考えをまとめていた。RINAが絵茉の通ったルート以外を選択する事がないと結論付けた今、事故や事件といった最悪のケースを想定する他は無かった。

「ねぇ遥姉ぇ、この辺って痴漢とかって出没する?」
「聞かないなぁ。大体年寄りばっかでヤリ甲斐がないでしょ、痴漢の方も」
「そうか。う~ん」

 ふたりして無い知恵を振り絞って唸っている隣りを、だらしなく黒っぽいジャンバーを着た若い男性二人が過ぎ去っていった。彼女らに全く気が付いていない二人組は、近所迷惑なぐらい大きな声でバカ話をしている。

「……でさぁ、ケンジ兄ィが街で久しぶりに可愛い女子高生を《捕まえた》らしいぜ」
「へぇ、珍しい事もあるんだな」
「別の街から旅行に来ていた娘で、黒髪ポニーテールの上玉だって言ってた」
「ポニーテール? 俺大好物」

 黒髪ポニーテールの女の子……? もしや、と思ったふたりは二人組の後を追いかけていった。
 絵茉が彼らに声を掛ける。《女性》の声に上機嫌で振り返る男たちだったが、それが絵茉だとわかると驚いた顔をして一目散にその場を去ろうとする。

「……何で逃げるのよ、ボクたち?」

 だが逃走経路のど真ん中には、腕を組み仁王立ちする身体の大きな遥が《通せんぼ》をしていた。逃げ場を塞がれた男たちは逆ギレしたのか、一斉にふたりへ襲いかかった。
 絵茉たちは互いに顔を見合わせ、「やれやれ」とため息をつくとすぐに応戦する。
 勢いよく向かって来る男の顔へ、絵茉が素早く肘打ちを一発打込むと彼は、すぐに膝から崩れ落ち意識を失った。遥の方は大振りのパンチを難なく潜り抜けて、背後へ廻り自分の太い腕を男の頸動脈へ巻きつけた。

「答えなさい、その女の子の居場所は何処よ?」
「うるせぇ、ババア!」

 男に《ババア》と言われむかっ腹の立った遥は、更に腕に力を入れて脳への血流を遮断した。男の顔が徐々に真っ赤になっていく。

「いや、嘘、ごめんなさいお姉さま!」

 泣きそうな顔の若者。先ほどの威勢は何処へやらで、すっかり遥の迫力に飲まれて見る影も無かった。

「もう一度だけ聞くわ。女の子の居場所は?」
「ご……ゴールド座。ストリップ小屋だよ! もう許してくれよぉ」
「ありがとね、坊や」

 遥は感謝の言葉を彼に掛けると、一気に力を加え締め落とした。どさっ!という音と共に道路へその身を横たえる。

「絵茉、知ってる? ゴールド座って」
「うん、場所は。でもあそこ何年も前に閉館になってたんじゃ……」
「多分こいつらバカ坊ちゃんたちが、集会か何かで勝手に使ってるんでしょ。急ぐよ!」

 ふたりは全力で駆け出した――RINAが囚われているであろう、ストリップ小屋の廃墟に向かって。

ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 蹴撃天使RINA 〜おんなだらけ... | トップ |  蹴撃天使RINA 〜おんなだら... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL