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Website『読書アクセス』の運営者カズノリによる業界・事業の動向まとめ

交通広告事業

2017-07-24 07:46:09 | 一般
以前本サイトでも看板広告の事業について扱ったが、特に鉄道広告について、価格と内容の動向について考えたい。

今回も現状から調べると、
・東京メトロの車内映像広告:一週間に290万円(約12000面に、多分30本程組まれている。つまり7分半に一度くらい流れる)
・東京メトロの丸ノ内線系(丸ノ内線、有楽町線、半蔵門線など)の全部に車内広告を出すと、一車両一枚で一週間330万円。ワイド660万円
・山手線の車両内、1両まるごと広告を11両に出すと費用は一週間に380万円

となっている。(各社広告子会社のHPから)
交通広告はネット広告と違って、売れたらその一部を広告料金として渡すというビジネスモデルではないので投資的な側面がある。
これは高いのか、安いのか?
例えば、一つ売れると収益が千円出るような女性用化粧品があったとして、三百万円の広告をするなら300万÷1000=三千個多く売れると予測できていないと釣り合わない。

山手線の最大の駅(というか世界最大の駅)は新宿で、JRだけでの1日の利用者は約77万人だ。このうち仮に10万人が山手線を使うとする。
女性用化粧品を使う可能性があるのがそのうち5万人だとすると、彼女達が新たに3000個買うようにならないと採算が合わない。
買うようになれば製品の良さで平均3つは買うという実力があれば、5万人のうち千人(つまり2%)にアピールすれば良く、インターネット広告のヒット率に関するネットの諸々の記事から見ると、ちょうど良いくらいの数値に思える。
つまり、広告料金はこの例で考えるとちょうど良いのだ。
これが今後増えるかどうか、値段を決める基準は次の通り。
①価格に応じた価値を出せるか
②他に同じ価値を出す競合があるか

①のシナリオでは今後しばらく料金は上がる。鉄道駅の利用者は全国で毎年増えており(未来予測の投資論で言及)、コンパクトシティへの流れはまだ続くと思われるからだ。
国連統計によれば、首都圏の人口は今後2030年にもほぼ横ばいである。
ただ、そこからは減る予測である。

②では、人件費のかからない自動運転車やカーシャアリングが移動客のシェアをとる場合、鉄道利用者は減り、広告は自動運転車にシャアをとられるだろう。
これは技術の進展により遠からず実現するのではないかと思われる。(スタンフォード大学の予測レポートによると、2020年に北米で自動運転車の普及が考えられている)

以上から、鉄道広告の価格はカーシェアリングや自動運転車の台頭により、また長期的には人口動態によっても、今後下がっていくというのが僕の見解である。

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高齢者向けVR事業

2017-07-23 22:02:46 | IT活用
高齢者のお金の使い方を言及する言論が多い。
・日本のGDP成長の停滞を打破するためお金を使う流れを作る
→お金を持っている世代をターゲットに考える
というのがその主な論理で、確かに総務省統計局の二人以上世帯へのレポートによれば、2016年時点で60代以上は平均して2000万円以上の資産をもっているようだ。(一方40代未満はローンが貯蓄より多いと出ている。)
そして高齢者世帯の資産運用は、生命保険と預金で8割超である。特に預金は5割超だ。

この資金をレジャーに使うか、せめて投資に回してほしいというのが経済界の望みである。何しろ銀行は運用先がなくて預金を集めても社会に活用しきれておらず、高齢者も年金がありながら資産を使いきらずに逝去することが多いからだ。
国税庁の統計によれば、2015年に相続税を収めたという人は10万人以上。注意すべきは相続税というのは相続資産が最低でも
「3000万円+相続人の数×600万円」
なければ課税されないということだ。つまりそれだけのお金を使いきらずに逝去する方が、10万人以上いたということだ。

もちろん孫正義氏のように「使いきれない」と公言している位であれば問題ないが、多くの人はもう少し良い旅をしたい、良いホテルに滞在したい、面白いショー等を観たいと思っていたであろう。
この後悔を無くすような働きかけが企業に必要とされるのだ。マーケットには少なくとも10万人くらいの高齢者の方がいる。

この手段の一つは、VRでそのような素敵な経験の一端を感じてもらうことである。従来の広告以上に動員が期待できるはずだ。
今はVRの技術に注意が集まっており、内容までふみこんでいる記事は他の媒体と比べて少ないと個人的に感じているが、必ず高齢者に向けた「快適さ・穏やかな心地よさ」の提供にしのぎをけずるマーケットが出てくるだろう。
そしてそのVR市場規模は、
・対象者10万人のうち、VRから平均年10万円使う
・VR提供企業に旅行会社等から広告代金として2割入る
と考えると20億円市場である。中高年以下でも、穏やかな旅を好むような人々には好評だろう。30~50億円市場位まで伸びるかもしれない。
大企業がいくつか、部署を一つ振り向けるのではないか。もちろんベンチャーも出てくるだろう。

以上から、「VR製作事業の中には、高齢者向けに穏やかな心地よさをアピールするものが一つのジャンルとして出てくる」というのが僕の見解である。

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目薬市場

2017-07-16 00:16:20 | 一般
日毎にスクリーンを見る時間が増え、目の疲れを感じる人が多いのではないかと思う。
そうなると投資家が気になるのは、これからの目薬製造事業は成長するのだろうか?ということだ。
目薬の日本市場でのリーダー企業の業績をみると、どの会社もここ数年の業績は増収増益か横ばいである。

①市場の必要とする効能を調べる
②材料を仕入れる
③効能のある目薬を製造する

という業務プロセスのなかで、目薬製造事業の競争ポイントを考える。高齢化などは特に影響しないため(目が疲れるのはどの世代も同じ)、技術動向から考える。
すると、
・②につき既にドラッグストアで安価に買えるから、コスト改革が劇的に進んで価格競争のイノベーションが起こることもなさそうだ。
医療用も同様にジェネリック薬品が多いと思われるので、変わらない筈だ。
・①③につき、効能は消費者ごとに目の疲れ等の要素を数値化し、ピンポイントに効く薬を処方する時代が来る可能性がある。
測定できるものは、全てセンサーの技術向上と低価格化で個人に適用されると思われる。例えば心臓の動きを見える化する装置の低価格化は、五月の日経新聞記事で紹介された。
これが眼球の動きまで測定できるようになると、症状は細かいレベルで分類されるようになり、合わせて薬を細かいレベルで開発するようにもなるだろう。
このとき競争力は製品の能力が数値化される分、シビアに問われるはずだ。
消費者はドラッグストアで気軽に薬剤師か看護士に目の疲れの数値化をしてもらえて、そこでは病気の兆候も早めに察知できるかもしれない。
細かい数値化の利用者は多いと思われるから、今後の主な競争ポイントは細やかさになるだろう。

・①③につき、もちろん音声インターフェースが増えれば家でAmazonエコーのようなものを使い目の疲れは幾分改善される。
しかし仕事は媒体を問わず記録や参考資料として書面を使うから、これが続くとすれば日中の疲れは残るし、遊びもVRのアトラクション等が広範囲に流行りだしたら、ますます目を使う機会が増えるだろう。市場規模は変わらないと言える。

よって、今後の事業動向を決めるのは①③の消費者の目の疲れ等の細やかな把握能力、薬剤開発による細やかな対応能力だ。
いつ頃その変化が劇的に起こるのかは分からないし、これは完全に推測だがセンサーの有力な研究者は、需要の見込まれる心臓や脳といった分野の研究に当分集中すると思う。
しかし数値化技術と対応目薬が出始めたら、市場の形は変わる。

以上から、目薬製造事業は今後、
・消費者ごとの細やかなニーズの把握が主な競争ポイントとなり、
・市場規模は仕事の自動化が進んで書面の利用局面が減らない限り、横ばいである
というのが僕の見解だ。

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プログラミング教室市場

2017-07-13 20:43:50 | 一般
プログラミング教室は、オンラインのものも対面式のものも、日常だんだんと多く見かけるようになった。
プログラミングのできる人材の不足を報道するニュースも出ている。
2016年に内閣府の発表した日本再興戦略2016によれば、2020年度から小学校でプログラミング教育は義務化される意向だ。学習塾という位置付けでプログラミング教室需要は増えていくことだろう。
(ちなみにこの発表資料は実現力が高いように思われる。目安の実現時期を示しており、例えば観光経営大学院を設置するべく2016年度から努力すると宣言しているが、立教大学他がその後設置するなど実現が見られる。)

プログラミングの需要という点でみても人材不足はシリコンバレーの目立つアメリカでさえ労働局が発表するほどであり、情報セキュリティ人材は2014年から2024年までに18%増えるとされている。
日本は経産省が2016年にIT人材は2015年時点で17万人不足(2015年のIT人材は90万人)と発表しており、今後その不足が拡大することを懸念している。

2020年に小学校が義務化をしても、そこから社会で活躍するまでには時差がある。プログラミング教室はビジネスチャンスを得ているように思われる。それは本当だろうか?
今後どのようにこの市場は変化していくだろうか?
考えられるシナリオは以下の通り。
・学生、社会人向けとも伸びる
・学生向けは伸びるが、海外人材の活用が進み社会人向けは伸びない

学生向け教室はどうなっているか。
18才以下を対象とするプログラミング教育事業者についての2015年の総務省の調査では、その時点で2014年以降の開設が約半数だった。事業者数は伸び続けており、需要がうかがわれる。
社会人向け教室についてはネットで統計を取ることが出来ない。ただ、20社の比較記事や旺盛な広告を見る限り、需要の大きさは伺われる。

海外人材の活用という点について、世界の「フリーランスの巨大プラットフォーム」の成長がポイントだ。
プログラミングは海外で教育が進んでおり、海外の人々の技術をupwork、gigsterといったプラットフォームで活用することが出来るのだ。
特に困難なプロジェクトでもこなせるようなGoogleの元社員などがgigsterには集められていたりするし、逆に普通の案件ならば海外人材の方が比較的安いので、日本で「教室でちょこっと勉強」しても彼らとのやり取り用人材になることが推測される。
今後プラットフォームがより一層使いやすく大きくなれば導入は増え、業務と橋渡しするための「英語とそこそこのプログラミング知識」のある人くらいしか必要性はないだろう。
考えられるシナリオのうち社会人向けは伸びるかどうかはプラットフォームの改良にかかっている。

以上から、プログラミング教室市場は学生向けを中心に伸び続け、社会人向けは企業の需要がフリーランス活用志向になったら横ばい~縮小になる、というのが僕の見解だ。

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ビール類製造事業

2017-07-08 19:12:00 | 一般
夏になり、ビール類を飲む機会が増える人も多いだろう。暑い日の夜、冷えたビールと美味しいつまみでの一杯は想像するとわくわくする。

ところで、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンルの合計)はどれぐらい消費されているのだろうか。ビール類の市場につき、ネットからとれる情報は以下の通りだ。
・2015年、成人1人あたり1年で約42L
・出荷量は2016年まで20年ほど、小さな誤差はありつつも減少。2016年の出荷量は2005年の8割程。(毎日新聞の記事
・国税庁の統計資料によれば、酒類全体の製造量も、
2005年には約900万キロリットル
2015年には約790万キロリットル
と減少傾向。

人口統計から推測できる通り、困難な市場環境になっているようだ。
それでは、今後ビール類製造事業は衰退していくのだろうか。
まず、業務プロセスは以下の通り。
①原料となる麦などを仕入れる
②工場で加工する
③飲食・小売店経由か直接で販売する
それぞれの競争ポイントは次の通り。
①…麦の品質、地域性などブランド
②…加工技術
③…新鮮さ、ネット等チャネル

①については現在、日本のビール類製造大手各社は契約農家を持ち、育て方や品質にこだわっていることがホームページから見てとれる。どこが特にすごいというのを今から確立するのは困難だろう。
今後付加価値を高めるには、地域性のブランドもそうだが、農家のストーリーが見えるという点で原料に「こと」をいかに加えるかがポイントになる。
②についても、現在は消費者の満足度を高く保っており、今後は持続的イノベーションだけしか見込まれない。
ロボットによるコストの削減が進むとしても、コスト削減は既にどんな企業でも注目される課題であり、横並びだろう。
ここでも、「加工の過程を従業員の想いなどを伝えられるよう見学イベントや発信拡大をする」など、ストーリーによる付加価値を追求することになるはずだ。
③はどこの商品も同様に便利なチャネルを開拓しており、今からの差別化は困難だ。
あえて言えば、今後の人口動態につき、総人口が減る一方でネットを使いこなす層は増えていくため、ネットでの顧客接点の分かりやすさ・魅力が競争のポイントとなる。VRなどコンテンツを伝える方法が増えたとき、取り入れる速度は問われるだろう。

以上から、今後のビール類製造事業は「地域や農家の個性、工場の作り手の想いを伝える等、ストーリーによる付加価値を発信しながらの製造になっていく」というのが僕の見解だ。

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