ちょうど70年前の今日、1942年6月10日にドイツ占領下のチェコの小さな村「リディツェ」で起きた出来事。
チェコは、1938年のミュンヘン協定----当事者国であるチェコを交えず、英仏独伊4か国間での取り決め----によりズデーテンラントをナチス・ドイツに割譲され、翌39年にはチェコ全土がドイツに占領されている。
チェコに進駐したナチス・ドイツのボヘミア・モラビア副総督ハイドリヒがプラハ郊外で暗殺され、その報復としてプラハ郊外20kmほどに位置するこの村が選ばれた。
173人の成人男性が射殺され
すべての女は強制収容所へ送られ
子供は、ドイツ化できる者はドイツ国内のSSの家庭にあずけ、その他のものは別のところに送られ
村は焼き払われ、もとの地形がまったくわかなくなるまで完全に作り変えられた。
「大虐殺 リディツェ村の惨劇」には、リディツェ村での出来事の詳細だけでなく第二次世界大戦下のチェコの様子が多くの写真を交えて詳しく説明されている。
プラハ占領後、聖バーツラフ広場をパレードするドイツ軍戦車
ドイツ総督府がおかれたフラッチャニー城のドイツ兵の衛兵交代
そして楽しそうに街を歩くドイツ兵とチェコ娘たちの光景
ボフスラフ・マルティヌーは1943年に《Memorial to Lidice リディツェへの追悼》を作曲している。
信じがたい光景を目にし、それを受け入れることもできずただ呆然となる。そのところどころに涙もでないほどの悲しみと怒りが混ぜ合わされた、というような曲だ。
マルティヌー作品を集めたCD(カレル・アンチェル指揮チェコ・フィルハーモニー)では、大袈裟に構えるのではなく、敢えて淡々と演奏したかのようで、そのことがかえって深い思いを感じさせる。
これと似たことは、今でも起きている。たとえばシリアで。
シリア:死者108人「大半は銃で即決処刑」 毎日新聞 2012年05月29日
大虐殺 リディツェ村の惨劇
ジョン・ブラッドレー著 加藤俊平訳
第二次世界大戦ブック48 サンケイ新聞出版社
0020-073791-2756
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