「介護の社会化」は遠く(東京新聞4/21社説)に思う

2017-04-21 11:15:36 | 政治
今日の東京新聞朝刊は幾つも注目すべき記事があった。

その一つが表題の社説である。
介護保険法の改悪案が衆議院を通過し、今国会で通過の見通しだとして
「給付カットが繰り返され、保険あってサービスなしの事態が懸念される」
とリードで書いている。

そして、
2015年の1割から2割への利用者負担引き上げで
特別養護老人ホームなどの施設を退所した人が、全国で1600人もいたこと
その退所率は3%で1割負担の人の2倍近くになる
と厚労省が明らかにしたとして、

今後、退所せざるを得ない人はさらに増え、
介護が必要な高齢者と家族にしわ寄せが行くことは必至だと指摘している。

また、3月に東京八王子市の老々介護の過程で
認知症の妻を殺して自殺を図った夫が「疲れた。精神的に追い込まれた」
と供述していることも紹介しつつ、

厚労省の発表として、
2014年度、被介護者への親族による殺人や心中は25件
2015年度、高齢者虐待は15,900件を超え
その要因は「介護疲れ、・介護ストレス」が25%を占め最も多い
という実態があることも報道している。

介護保険は、私が女性団体で仕事をしていたころ
80年代~90年代
すでに、家族の介護が女性に大きく圧し掛かり、
家事負担や仕事との両立が困難となる要因の一つであった。
そこで、多くの女性団体が介護の社会化を求め、国や自治体に働きかけ運動をしていたのである。

介護保険法は、多くの問題を孕みながらも、
こうした女性の要求であった「介護の社会化」を実現するために発足したはずであった。

しかし、高齢化に伴い、費用が嵩むからと
サービスの低下と保険料を含めた負担の引き上げが主流となった「改正」が繰り返された。
そして、サービス費負担の相次ぐ引き上げである。

保険料は年金から否応なく天引きされ、
サービスを受ける権利は確保されるが、2割負担でサービスを受けられない人が出てくる。
そしてその方々にとって介護保険は、「やらずぶったくりの制度」と化してしまうのである。

東京新聞の社説の表題は、「介護の社会化」は遠く であるが、
私には 介護の社会化はますます遠のく ように見える。

我が家には、介護保険の利用を拒否している年寄りがいる。
人の世話にはなりたくないというのである。
「あんたにしてもらわなくても自分でできる」
と来訪した調査員に言い放った。

でも、私がご飯を作り、病院にお供をしているのよね
と、私は胸の内で呟いた。
いま、その介護はそれほどではない。
が、先に紹介され、これまで幾度もニュースになった
介護の悲劇、殺人や心中、虐待は、本当は他人事ではない。
私は、虐待をするのではないか との不安はいつでも胸の内にある。

介護保険法の改悪は、いったい誰のために行われるのであろうか
少なくとも、被保険者のためでないことは明らかである。

高齢化率が高くなっているとはいえ、その少ない年金から税金や保険料を律儀に払っているのもまた高齢者である。
人生の終わりに向かって、年をとっても幸せだったと思ってもらえる高齢者政策が求められている。

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