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【映画感想・ア行】 運命じゃない人 ★★★★

2005-08-26 | 【映画感想・ア行】
ストーリー:
婚約破棄で自暴自棄になった桑田真紀は、寂しくレストランで食事をしていた。
一方、頼まれたことは絶対に断れない“いい人”のサラリーマン、宮田武は、
こつ然と姿を消した前の恋人、あゆみのことですら心配するほどのお人好し。
そんな宮田の親友で私立探偵の神田は、宮田のことが歯がゆくて仕方がない。
宮田のためナンパした女の子はなんと真紀。
住むところのない真紀は宮田の好意で彼の家に招かれるが、
そこにあゆみが帰ってくる…。
(goo映画より引用)

出演:
中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏

監督:
内田けんじ

緻密な脚本、構成に驚きを隠すことができない。
伊達にカンヌ映画祭で評価を得た映画であります。
やはり、脚本の良し悪しで映画の面白さは決まる。
それを証明した作品と言えるだろう。内田けんじ監督、要注目である。

映画は、独身男・宮田を軸に、婚約破棄された女・真紀、女詐欺師・あゆみ、
私立探偵・神田、ヤクザの組長・浅井。
何も関係ない5人が、複雑に絡み合っていく群像劇になるなんて、
恋愛映画みたいなタイトルからは全く想像できない。その意外性に驚いた。

物語の出だしは、宮田が友人神田に夕飯に誘われ、真紀と出会う(ナンパしてしまう)。
誘った宮田は仕事で消えてしまうし、自暴自棄の真紀が気が気でない宮田は、
ウチに一晩泊まるよう勧め、自分のマンションへ一緒に向かうのだが、
タイミング良く、別れた女・あゆみが現れ、真紀は出て行ってしまう。
宮田は、真紀を追いかけて携帯電話の番号を聞き出すことに成功する。
こんな話で序盤は展開するのだが、冒頭はやっぱり恋愛映画っぽいタッチ。

しかし、同じ時間軸で様々な出来事が起きていた。
宮田の視点の物語が、突然神田が視点となる物語が始まり、
神田が宮田と夕飯を食べようとする場面で、
先程とは違う視点(神田の視点)で話は進んでいく。
実は、宮田がご飯を誘い、かつ、誘いながらも何故いなくなったのか。
その理由が語られ、その時間軸が寸分違わずに一致しているのに驚かされる。
というよりも、感嘆させられたと言って間違いない。

あゆみの視点、真紀の視点、浅井の視点と、
たった一晩の出来事を時間軸を微妙に前後させながら、全てが1つに集約されていく。
この展開というのは、『ロック,ストック&トゥースモーキング・バレルズ』を思い出す。
バラバラだった登場人物が、ラストシーンで一同に介する所は鳥肌が立つ作品だった。

元々、『運命じゃない人』は宮田中心のドラマで、テクニックを見せるだけではなかった。
宮田が真紀のことを気にかけている一晩の間に、様々な出来事があったのだが、
彼が関わったのは、神田と夕飯を食べたこと、真紀に出会って携帯番号を聞いたこと、
あゆみが現れて自分から別れを告げることができたこと。たったこれだけだ。
外見も内面も「いい人」である宮田をストーリーの軸に絡めず、
あくまでも、真紀に惚れた男として終始描いた点も面白い。

テクニックだけではなく、人間の裏の心と純情な心を上手く対比させた傑作である。
2度、3度見てみると、様々な発見があるはずだ。

※余談
セリフの中で、神田が宮田に対して言うセリフ。
「三十過ぎたら、運命の出会いとか、自然な出会いとか、友達から始まって序々に惹かれあうとか、
一切ないからな。危機感を持ちなさいよ、危機感を!」
(パンフ内にあるシナリオ採録から引用)
何だか胸がズキっとさせられたセリフだったなぁ、これ。

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございます。 (tomy)
2005-08-29 00:58:06
ほんとよくできた脚本だと思いました。

素晴らしいです!ちなみに「30過ぎたら~」って台詞は僕もズキッとなりました(笑)



内田けんじには今後目が放せませんね!
文化祭もクラス替えもない! (かえる)
2005-08-29 01:50:36
一幕毎に展開されるドラマ、その視点にうなりました。

ベッドの下からショットには思い切りやられました。(^^)
末恐ろしい才能 (kazuki-kt)
2005-08-29 22:59:43
tomyさん、コメントありがとうございます。



脚本はいいし、セリフの痛切度は高いし、

もう何も言うことありません。



内田けんじの次回作が早く観たいです!
あの爪先に爆笑! (kazuki-kt)
2005-08-29 23:02:11
一幕毎のドラマは、

視点になるキャラの心情を上手く捉えています。



ベット下の足の動きは、可笑しかった!

宮田君の爪先、最高です!
TBありがとうございました (ミチ)
2005-10-19 07:38:13
こんにちは♪

神田のセリフがいちいち納得で、特に「30過ぎたら~」はズキッと来る人多いんだろうなぁなんて聞いていました。

脚本上手すぎです!

パンフには時系列のチャートが載っていたんですが、見れば見るほどこんがらがってくるの。

映像で見た方が分かりやすい感じ(笑)
セリフにビクっと反応! (kazuki-kt)
2005-10-19 23:23:13
ミチさん、コメントありがとうございます。



神田のセリフには、モロ反応した私です。

読み直すと、更に痛々しく感じちゃいます。

本当にこの映画は、脚本が良くできてる。

その上、個々のキャラクターもしっかり確立されてて、

間違いなく今年の日本映画No,1です!!
こんばんわ。 (minori)
2005-11-06 16:57:47
こちらにTBさせていただきましたので

報告に参りましたー。

いやー、この作品練られてて素晴らしかった

ですよ~。そして確かにあの台詞はぐっさり

きますよね(笑)
コメントありがとうございます。 (kazuki-kt)
2005-11-06 21:00:52
minoriさん、コメントありがとうございます。



脚本がしっかり練られていることも驚きますが、

こういう映画が日本でも作られることも

驚きというか、喜びを感じた次第です。



しかしながら、神田のセリフ。

今でも胸にグサグサ突き刺さります。はい。
これは間違いなく今年のベストです。 (健太郎)
2005-12-24 02:49:43
遅くなってしまいましたがTBありがとうございました。

時間軸をいじった作品が好きなので最高に楽しめました。

とても長編初挑戦の監督とは思えません。

こう云った監督が沢山作品を撮ってくれると邦画も安泰ですね。

実は裏で結構なドラマが有ったのになあ~んにも知らない宮田君は幸せ者ですね。

実は結構苦労している組長さんと組長のお友達の何でも屋さんがツボでした。

ホントいい作品ですね。

タランティーノ監督のパルプフィクション的ですけれど、「平凡な男の一夜」の裏でこれをやったのは凄い。



文章で説明出来ないのが残念です。

沢山の人に観てもらいたい傑作です。
コメントありがとうございます。 (kazuki-kt)
2005-12-25 20:28:49
健太郎さん、コメントありがとうございます。



時間軸を弄りつつ、同時進行もしているドラマって、

脚本作りが大変なんだろうなと思います。

監督・脚本の内田けんじの次回作が本当に楽しみ。



平凡な日常にもドラマがある。

そういう市井の視線もありそうでなかった映画でした。

誰が何と言おうと、05年の日本映画のベストです。
TBありがとうございました。 (sabunori)
2006-04-15 17:53:54
こんにちは!

この作品、私は観よう観ようと思いつつ劇場公開を逃してしまい、DVD鑑賞となってしまったのですが・・・くやしかったです!こんなにおもしろい作品を劇場で観て他の人達と一緒に楽しめなかったなんて!

なにしろ脚本のうまさ&セリフの楽しさが秀逸でしたよね。

もしかしたら私達の日常生活も自分が知らないだけで実はこんな風に複雑な出来事が起こっているのかもしれません。
コメントありがとうございます。 (kazuki-kt)
2006-04-16 23:40:34
sabunoriさん、こんにちは。



この作品、名古屋ではレイトショーで公開されました。

評判のいい噂は知っていましたが、

脚本の素晴らしさには惚れ惚れさせられました。

日常生活でもドラマになるという視点が素晴らしい作品でした。

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