先週から大学の学生たちが風邪をひいて,バタバタと倒れているので,まずいなと思っていたら,自分も風邪をひいてしまった。ストーヴを常時焚くようになったので,空気が乾燥し,喉や鼻の粘膜が弱ってしまったのだろう。しかし,仕事がたまっているので,年末まで倒れるわけにはいかない。 昨日の午後,翻訳の推敲を少ししてからずっと,NHKに頼まれた仕事(ロシアのテレビ局についてのデータの更新のようなもの)をやって . . . 本文を読む
北海道大学の望月哲男さんが『ドストエフスキー・カフェ』という冊子を出版された。
望月哲男『ドストエフスキー・カフェ』東洋書店,2005年。
東洋書店から出ている「ユーラシア・ブックレット」の1冊。現代ロシア作家がドストエフスキイの小説をパロディー化したり,引用したりしているありさまについて論じた研究である。
古典文学が現代文学にいかに影響を与えているかという問題は,文学研究上,重要な . . . 本文を読む
パーヴェル・ネルセシアン,行ってきました。プログラムは他の都市と同様,バッハとメンデルスゾーンとショパン。
どんな人なのだろう,子供相手に音楽教室をやって金をかき集めるような人だったら嫌だなあ,と思って出かけてみると,あれ?ノーネクタイの黒いシャツに黒いジャケットというラフな格好で,黙々とピアノに向かっていらっしゃる。
極東の田舎町でワルツを弾く痩せた姿は,まるで「戦場のピアニスト」。地 . . . 本文を読む
数日前に,とある方から電話がかかってきた。モスクワのピアニストのコンサートがあるので,ぜひ来てほしい,知人や学生にも声をかけてほしいと言う。ホールが空席だらけになりそうで大変だ,とお困りのご様子。
人口4万人の街で1293席の大ホールを埋めるのは,そりゃ大変だろう。最近は知らないが,僕が暮らしていた時分の東京だって,ピアノのコンサートは普通,500席程度の小ホールで開催されるものだったし,そ . . . 本文を読む
連休明けの大学に行ったら,一部の窓がハエだらけである。外が寒くなってきたので,入り込んできたのだろうか?
ロシアの現代芸術家にはカバコフとタラソフみたいに,ハエを主題にした作品を作っている人がいたりするので,多数のハエを見ても嫌悪感を催すどころか,懐かしさを感じるようになってしまったのが,我ながらちょっとまずいかもしれないと思う。
2003年の3月にペテルブルグに行ったら,ロシア美術館で . . . 本文を読む
北海道大学スラブ研究センターから『現代文芸研究のフロンティア(VII)』が刊行された。僕の文章も2つ載せてもらった。 「掘り起こしから回顧へ――最近のウリツカヤの創作をめぐって――」184-190頁。 「現代ロシア文学と麻薬」191-196頁。 なお,以下のURLで読むこともできる。http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/coe21/publish/no9/content . . . 本文を読む
学会2日目。終わってから知り合いの人たちとコーヒーなどを飲んでいる時、ソ連ではクローン人間の実験を極秘でやっていたのでは、という噂話が話題となった。で、思い出したのが、ロシアの現代作家ソローキンのこと。小説『青い脂肪』やオペラ『ローゼンタールの子供たち』で好んでクローン人間を題材とするソローキンだが、それはSF的な関心や時事的な関心というよりは、ソヴィエト的な素材への関心なのかもしれない。こうい . . . 本文を読む
田舎に住んでいるというと,都会の人に「子育てにいいですね」などと言われることがある。まあ,社交辞令だと思うのだが,そのベースには「都会と違って自然があっていいね」という考えがあるのだろう。といっても,日本の都会は外国と比べれば緑地が多いし,ほんの1時間も電車に乗ればけっこうな自然と出会うことができる。
実のところ,田舎が子育てにいいとはあまり思えない。人口が少ないということは教育機関の選択肢 . . . 本文を読む
10月12日夜10時から,ズヴャギンツェフ監督の『父,帰る』が WOWOW 初登場らしい。ヴェネツィア映画祭でグランプリ(金獅子賞)に,日本でも『キネマ旬報』で2004年の3位に選ばれている有名なロシア映画ではあるが,未見の方はこの機会に是非。 2人の少年のもとに,12年間,不在だった父親が帰ってくる。厳しく無愛想な父親に対し,少年たちは反抗する。父親は少年たちと共にどこかの島に行き,何かを掘 . . . 本文を読む