山はしろがね

ロシア文学/スキー@稚内(~2017.3)

ドストエフスキー・カフェ

2005-10-28 01:30:54 | ロシア

 北海道大学の望月哲男さんが『ドストエフスキー・カフェ』という冊子を出版された。

 望月哲男『ドストエフスキー・カフェ』東洋書店,2005年。

 東洋書店から出ている「ユーラシア・ブックレット」の1冊。現代ロシア作家がドストエフスキイの小説をパロディー化したり,引用したりしているありさまについて論じた研究である。

 古典文学が現代文学にいかに影響を与えているかという問題は,文学研究上,重要なものだから,この研究もそういう意味で貴重な調査報告書と言えるかもしれない。しかし,この本が提示しているのはそのような文学史的なパースペクティヴというよりはむしろ,ロシア人がドストエフスキーに何を読み取っているのかということ,つまりドストエフスキイの作品の特徴やロシア文化を構成する諸要素である。

 ドストエフスキイの作品を虚心に読み解こうとする者は,こういうアプローチには反発を覚えるのかもしれない。しかし,そういうつもりでいる人も実は,自分のことや自分を取り巻く社会,あるいは文化システムを,ひそかにドストエフスキイに投影していたりもする。本書の場合,現代ロシア作家の創作を入り口とすることで,ドストエフスキイを含むロシア文化の在りようを,我々にとっては他者のテクストとして,教えてくれているのではないか……読みながらそんなことを考えた。

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