泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

生きがいについて

2014-01-19 15:40:33 | 読書
 

 新年にふさわしい一冊となりました。
 哲学者がたくさん出てきて驚いたけど、文章は平明で読みやすい。
 内容は、どこまでも深い。「生きがい」にたどり着くまで。
 「生きがい」とは何でしょう?
 生きるに値するもの、はりあい、この世を立ち去りがたくしている心残り。
 また、「生きがい」の「がい」は、「貝」が語源との説を聞いたことがあります。
 貝は、二つが一つにくっついている。私が生きている事実を、受け止めてくれる何か、とも言えます。
 今の私なら、それをやらずしては死ねないもののことでしょう。
 いずれにしても、日本語独特の表現のようです。
 今までの自分の歩みをなぞるように読んだ。そうだよなそうだよなと。
 神谷さんの日記が付されていて、とても興味深かった。
 ぐちのような一言ごとに共感した。もっと時間が欲しい。いや、そんなこと言っているあいだはだめだ。自ら書いているものに対して、ふと湧き上がる懐疑、など。
 さらに、坪内祐三による「『生きがいについて』を読む前に」という小論文も付いていた。そこに引用された日記の言葉。
「漸く落ち着いて勉強が出来るようになった。同時に、自分の中に、自分のものを生み出したい衝動がうちにみなぎる。今まで勉強したこと、これから勉強すること、それらすべてを、自己の生命に依って燃焼せしめよう。(中略)傍若無人に自分であろう。女性的な心情も、男性的な知性も、臆病な私も、がむしゃらな野心家の私も、何もかも私の生命に依て燃やしつくそう。誰に遠慮する必要があろう」
 この本を読んで、より自分の書くものに対して自由になれた。
 誰に遠慮する必要があったのか。
 とにかく書け。書きたいことを。
 せっかく書かれたがっている人たちが、私には見えるのだから。
 より明確に、詳細に描き切れ。
 暗闇を明るく照らすのは、自己の生命でしかありえません。

 神谷美恵子著/みすず書房/2004
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