サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

デフサッカー日本代表、アディショナルタイムで決勝トーナメント進出逃す…

2017年07月24日 | デフリンピック

アディショナルタイムに入った時点で2-2、そのままのスコアで時が流れていけば、デフサッカー男子日本代表初の決勝トーナメント進出が決まる。

それから15秒ほど経った時のことだった。10人のイタリアにアーリークロスから押し込まれ、日本は逆転を許してしまう。その後、再び追いつく力は日本に残されていなかった。
2-3の敗戦。
決勝トーナメント進出は幻と消えた。

トルコ・サムスンで開催中のデフリンピックグループリーグ初戦で前回準優勝国ウクライナを撃破した日本代表は、第2戦のアルゼンチン戦に2点のリードを許すものの引き分けに持ち込み、グループ首位で第3戦イタリア戦を迎えた。

勝てば1位通過、引き分けでも通過、負けても他会場の結果次第でベスト8進出が決まるという状況でキックオフされた試合の先発は、第2戦アルゼンチン戦と全く同じ。
GK千葉。ディフェンスは右サイドバックに河野。センターバックは、竹内と仲井。左に岡田侑也。
中盤はボランチに中島と東海林。2列目左はキャプテン古島。右には吉野。2トップは林、塩田。

先制したのは日本だった。
前半19分、イタリアのゴールキックからのこぼれた球を、林、(おそらく)古島、中島とつなぎ、中島から右サイドの吉野へ、吉野のスルーパスに抜け出した林がゴールネットを揺らし先制!

直後にはイタリアがシュートを放つが、これが最初のシュート。日本が優勢に試合を進めていた。

日本はチャンスを作り出す。29分には、裏のスペースに抜け出した林がシュートを放つがポストに阻まれ、古島のシュートはクロスバーを超えた。 

そして前半31分、 竹内が倒されて得たPKをキャプテン古島が真ん中に蹴り込み追加点をあげ、2-0とリードを広げる。

 41分には強烈なフリーキックを決められ1点差に追い上げられたものの、流れのなかからは決定的な場面を作らせない。ディフェンス陣はラインを押し上げコンパクトな陣形を保っている。ボランチの2人はバイタルエリアを埋め効果的にパスを散らす。

 
しかし後半に入るとイタリアもチャンスを作り始める。
だがディフェンス陣が体を張って守る。
26分には最終ラインからボールをつなぎシュートまでいき、追加点の香りも漂わせる。

そしてその後、イタリアの選手が退場となり日本は数的有利な状況となった。
サッカーの神様は日本の方に微笑みかける。 

しかしこのあたりから徐々に日本の選手達の足が重くなってくる。
中1日で3試合を戦ってきた疲れだろうか、数が足りているという安心感もあったのかもしれない。

36分、古島が退き西が入る。さらにもう一人フレッシュな選手がほしいという気もしたが、バランスを壊したくないということもあったのだろう。出したくても出せない控え選手の事情もあったのかもしれない。

37分、ディフェンスラインがずるずると下がってしまいイタリアにコーナーキックを与えてしまう。聴者であれば、声でのラインコントロールで防げただろうか。  
そしてショートコーナーからの失点。時が止まったような時間。マークがぼんやりしたままの失点に見えた。
だがまだ2-2、負けているわけではない。日本はこのままでも決勝トーナメント進出。10人のイタリアは勝ち越すしかない。

そして向かえたアディショナルタイム、イタリアに逆転を許してしまう。
日本はクロスを入れた選手には寄せられなかったが、ディフェンスラインは押し上げてオフサイドを取りにいった。しかし後方から飛び出して来てきたイタリアの選手についてきた西と呼吸があわなかった。
ラインの確認をするには互いが見合うしかない。声の連係がないなかでのデフサッカーの場合、両サイドバックの外側が盲点になってしまうだろうか。

そして飛び出してきた選手がアーリークロスに合わせゴールネットを揺らす。

最後の最後でベスト8が遠のき、デフサッカー日本代表の挑戦が終わった。

ウクライナとアルゼンチンの試合は、3-0でウクライナの勝利。ウクライナと日本が勝ち点4で並んだが得失点差でウクライナが日本を上回り2位でグループリーグ通過。ウクライナは+2、日本は0。1位はイタリア。


今大会のチームは、春以降、急速に成長したと思う。前回、大会前に合宿が思うように出来ず苦い思いをした経験は今大会に確実に活かされていた。それがグループリ-グでの初勝利、2戦目での粘りにつながった。しかし決勝トーナメント進出には及ばなかった。

サッカーは、一足飛びに前進することを許してくれないのだろうか?
一歩一歩進むことしか許してくれないのだろうか?

だとすれば悲観することは何もないだろう。着実に歩んで来ているのだから。
この悔しさを無駄にしないで未来へつなげてほしい。

これで代表を辞める人もいるだろうが、この経験を何らかの形でつなげてほしい。
今大会は3試合で終わりだと聞く。前回大会までは順位決定戦もあったため計6試合を経験することが出来た。グループリーグで出番の少なかった選手達も出る機会は多かった。今回は全く出番無しに終わった選手たちもいる。そいういった選手達もつらいとは思うが経験をつなげていってほしい。

もちろん次回大会は女子の躍進にも期待している。 


なんだか偉そうに書いてしまった。今大会は現地に行けなかったが充分楽しませてもらった。
胸を張って日本に帰って来てほしい。


この試合は大会側の公式の中継はなかった。イタリア側がネット中継した映像を見てこの記事を書き込んだ。先日の試合は7台のカメラをスイッチングして配信していたが、今回は小さなカメラが1台だけだ。したがって試合の詳細はあまりよくわからなかったが、わからないところは後で見返してみた。
イタリアサイドがこういった配信をしてくれなかったら映像を見ることは出来なかった。イタリアに感謝です。
そのカメラは試合が終わったらスタンドの上からピッチ上に降りていき日本チームの間をすり抜けながら喜ぶイタリア選手団に一目散に向かっていく。
そしてイタリアの喜びの表情を伝える。カメラ目線で喜びを表現するもんだから悔しいのなんのって。 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レポに感謝 (吉井です)
2017-07-26 09:11:10
このレポをカメラ1台の映像で書いたとは、拍手。ありがとうございます!
Re:レポに感謝 (kazuhiko-nakamura)
2017-07-26 13:14:31
カメラはiPhoneでした。
Re:Re:レポに感謝 (kazuhiko-nakamura)
2017-07-26 13:18:01
ろう者サッカー協会のツイッターも参考にしてます。

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