ご無沙汰しています。和 建築設計工房の岩岡です。
今回は、前から気になっていた、古い蔵がギャラリー&カフェに
再生されたので一寸、見てきました。
私がこの蔵を知ったのは、2002年頃で、幾度かの大雪で屋根の軒先が傷んで
しまったのを知っています。早く修理してほしいと願っていたら、いつの日か
遂に綺麗に生まれ変わっていました。
オーナーのお話によると、100年前の蔵をこの地(ニセコ倶知安)に移築したそうです。
移築してから10年程の準備期間を経て、『ギャラリー&カフェ 布釉木(ふゆき)』を
サンモリッツニセコヴィラⅠ内にオープンしたそうです。
内部は、1階がカフェで2階がギャラリーになっていて、2階で100年前の構造材等を
見ることができました。スナップ写真を何枚か撮らせて頂きました。
では、ご覧ください。
目の前に「自分が生まれるずっと前に、建築材になっていた木材」が
今でもしっかりと、建物を支えていると思うと、何とも言えない気持ちに
なりました。
2階天井の棟木と垂木の様子です。
材寸が非常に大きいです。
このように材が見える場合、「がっちりしている強そうだ」と言う、安心感も
大切な要素であると思います。
窓回りの様子です。窓の動作に支障をきたさないよう、窓上には
まぐさ(窓の左右の柱に梁を架けて、積雪荷重等を窓に負担させない
ための材)が架かっています。
窓の前に展示されている陶芸作品が、この空間にぴったり馴染んでいました。
2階ギャラリーの床の様子です。
床板の一部が新しい板材になっています。
思い出しました。以前、文化財の修復工事に携わった時のこと、
「どうしても再利用できない材だけを取り換えて、できる限り創建時の材を使う」
あの想いと同じです。
そして、あえて古色をつけて周囲と同化させるのではなく、「ここは、やむなく
交換している」ことを示しています。
このことは、いろいろな意味で、現代の私たちにも大切なことではないでしょうか。
追伸 : 布釉木さん、また、コーヒーとシフォンケーキを頂きに行きます。