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観た映画の感想など

イラク 狼の谷

2007-07-09 | 新作
イラクに駐留しているトルコ軍の部隊が米軍に包囲され、テロリストをかくまっていると疑われて連行される。屈辱と感じたトルコ軍の将校は元諜報員のポラットに手紙を書いて自殺。ポラットは復讐のために仲間とともにイラクへ向かい、米軍を牛耳るサム・マーシャルと対決する。

アメリカ人はイラクの一般人を手当たり次第に殺し、臓器を売買するギャングのように描かれている。それに対してポラットの仲間は不死身の活躍。ハリウッド映画のスタイルを反米の文脈に置き直したような作品だ。まるでジェーン・フォンダとマイケル・ムーアの描く「ランボー」、というアメリカの新聞の評の通り。ただ、自爆テロや外国人誘拐を諌める導師を登場させているところから、制作者の立場は必ずしもランボー的ではないことが分かる。

日本でイラクと言えば、シーア派・スンニ派・クルド人の三つ巴、というのが一般的なイメージだろう。しかしこの作品は違う。サム・マーシャルはクルド人、トルコ人、アラブ人の各代表を集めて協議する。とくに米軍とクルド人の蜜月ぶりが繰り返し描かれる。トルコ人の感覚を反映しているように思え、興味深かった。

公式サイト:http://www.at-e.co.jp/ookami/
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評価:★★★★

傷だらけの男たち

2007-07-07 | 新作
「インファナル・アフェア」を撮ったアンディ・ラウ監督が再びトニー・レオン主演で作った作品。

恋人を自殺で失った刑事、ポンは、退職して私立探偵となり、酒浸りの日々を送る。一方、ポンの上司だったヘイは金持ちのチャウの娘スクツァンと結婚し、幸せな生活を送っている。そんな中、チャウが自宅で惨殺される事件が起こる。犯人はすぐに捕まるが、不審に思ったスクツァンはポンに独自の調査を依頼。ヘイも協力することになる。

真犯人がヘイだということを早い段階で示し、その動機や犯行までの経緯をラストに向かって少しずつ解き明かしていくという展開。どこか「インファナル・アフェア」的な雰囲気を残しつつ、ギャング映画的な要素を取り去って人間ドラマとして発展させたような作品だ。

残念なのはヘイを演じたトニー・レオン。一見すると真面目で幸せな刑事で、裏では冷酷な殺人犯で、しかし秘密の過去を抱えている、という役を完全に自分のものにはできていないように思えた。ただの悪役にしか見えず、「インファナル・アフェア」のときのような強烈な輝きはなかった。

この作品はレオナルド・ディカプリオ主演でのリメークが決まっているという。ディカプリオには今度こそトニー・レオンを超える演技を期待したい。

公式サイト:http://drywhisky.com/
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評価:★★★★

キサラギ

2007-07-06 | 新作
清純派アイドル、如月ミキの死から一年。ファンサイトで呼びかけられたオフ会に5人のファンが集まる。ただのオフ会だったはずが、参加者の一人のオダが「彼女の死は自殺と報道されたが、実は他殺だったのではないか」と言い出す。彼は如月ミキがストーカー被害に遭っていたことを指摘。ストーカーとはその場に参加していたいちご娘(男)だという。彼は否定するが、追及されて如月ミキの部屋に侵入した経験があることを認める。

最初から最後まで、ストーリーはオフ会の会場から離れない。5人の会話がほとんど全てだ。しかしアイドルの死をめぐる謎解きがあり、テンポのよい笑いがあって、最初から最後まで楽しめた。何度も爆笑させられた。久々に映画らしい映画をみた気がする。5人を演じた俳優もそれぞれハマっていた。

公式サイト:http://www.kisaragi-movie.com/
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評価:★★★★★

ボルベール<帰郷>

2007-07-03 | 新作
夫と娘とともに暮らすスペインの女性ライムンダが主人公。

ある日、娘のパウラが突然関係を迫ってきた父を殺してしまう。ライムンダは死体を冷凍庫に隠す。その直後、火事で死んだはずの母イレネが姉のソーレのもとに現れる。ソーレは幽霊ではないかと疑いつつ一緒に暮らしはじめる。イレネは過去の経緯があってライムンダに会いたがらず、彼女がソーレの家に来ると慌てて隠れる。

登場人物は女性ばかり。謎を含んだ人間関係がだんだん解き明かされていくという展開。ライムンダ役のペネロペ・クルスが目当てで観に行ったのだが、いま一つだった。淡々としすぎていて私の好みに合わなかった。ちょっと惹かれたのは隣人役のブランカ・ポルティージョ。悲しげな眼が印象に残った。

公式サイト:http://volver.gyao.jp/
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評価:★★★★

ダイハード4.0

2007-07-02 | 新作
アメリカの交通、金融、電力などを管理しているコンピュータ・ネットワークを乗っ取った集団に、ローテク刑事のジョン・マクレーンが立ち向かう。

犯人集団はまずFBIのサーバーに侵入。FBIはブラックリストに載った1000人のクラッカーを連行して取り調べようとする。マクレーンがそのうちの一人であるマットのアパートに向かうと、彼はちょうど犯人集団に殺されかけていたところだった。どうにかマットを救い出したマクレーンは、交通システムを麻痺させ、軍や警察のネットワークを使って指揮系統を混乱させた犯人集団と単独で闘うはめになる。

この作品の見どころは派手なアクション。パトカーでヘリコプターを撃墜したり、トレーラーで戦闘機に立ち向かったり。マクレーンは何度吹っ飛ばされても死なない不死身の男だ。これで無傷なわけないだろ、と心の中でツッコミながら見ていた。もともとこのシリーズは「平凡な男が極限状況に置かれる」という設定だったらしいが、この四作目にそういう部分はほとんどない。三作目までを見ていたらガッカリしたのかもしれない。

公式サイト:http://movies.foxjapan.com/diehard4/
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評価:★★★★★