風倶楽部 絵本の会

風の吹くまま気の向くままに。月に1度吉祥寺で集まって絵本について語り合ったり作ったりしています。

第三回「私のとっておきの一冊」その2

2016-05-22 09:35:21 | 議事録

第四回のお知らせ

6月11日(土)
17:30〜20:30
本町コミュニティーセンター 3階、第二会議室(25名まで入れる広めの部屋です)

テーマ「写真絵本って何?作ってみよう写真絵本!」(ワークショップ形式)
・・・・・・
どこからが写真絵本なの?図鑑との違いは?ドキュメンタリー以外で写真絵本ってある?自分の中で写真絵本だと思うものがあれば持ってきて紹介する。
みんなの「とっておきの1枚」写真に文章を加えたり加工(コラージュ)したりして写真絵本を作ってみませんか?
※6月9日までに下記のアドレスに写真を送って下さい。(※を@に変えてお送りください)
全員分の写真をプリントアウトしておきます。
yatamiho※hh.iij4u.or.jp
・・・・・

第三回「私のとっておきの一冊」その2
2016年5月14日(土)17:30~20:30
場所:吉祥寺御殿山コミュニティセンター

発表者自身で記事をまとめました。
1.タイトル
2.作家名
3.出版社名
4.出版年
5.コメント

ナシエ(イラストレーター)


1.『サンタクロースと小人たち』
2.マウリ=クンナス (著), いながき みはる (翻訳)
3.偕成社
4.1982年
5.
フィンランドの有名な絵本作家、マウリ・クンナスの絵本で、フィンランドの北方にあるコルバトントリ(山)に住むサンタクロースやトントゥたちの一年の生活を描いたお話。
子どもたちから来た手紙を読んだり、プレゼント制作を手分けして作業したり、(夏はフィンランド特有の夏季休暇を取っていたり!)
クライマックスはみんなで世界中に、クリスマスプレゼントを届けに行きます。(届け終わったあとはフィンランド発祥のサウナへ☆)
「サンタってどこにいるの?どう暮らしているの?」という子どもたちの答えに、サンタクロースの国“フィンランド”を代表して、説得力があり、リアルにイメージできる絵本を展開しているのが、この絵本の魅力かなぁと思いました。
マウリ・クンナスの絵本はどれも、フィンランドの文化や生活様式など、事細かに記されてあり、パッと見るだけで雰囲気を感じ取れるので、フィンランド好きの方にも見てほしい絵本です。


倉田恵理子(翻訳家・白百合女子大学児童文化学科非常勤講師)


1."Grandpa Green"
2.文・絵:Lane Smith
3.Roaring Brook Press
4.2011年
5.タイトルの "Grandpa Green" は、語り手の男の子のひいおじいちゃんです。ひいおじいちゃんは庭師で、植木を剪定バサミで芸術的な姿形に整える「トピアリー」の達人で、広い庭には、ひいおじいちゃんの数々の力作が並んでいます。
実はこのトピアリー、ただのトピアリーではありません。なんと、ひいおじいちゃんの生涯に沿って作品が作られていて、生まれた時から今現在まで、ひいおじいちゃんがとのように生きてきたのかを読み手に伝えてくれるのです。
アメリカでイラストレーターとして活躍しているレイン・スミスが、文章も自身で手掛けた絵本。彼が絵を担当した中でも、インパクトの強い作品である『くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話』(ジョン・シェスカ文、ほるぷ出版)と比べると、とても明るく爽やかな印象を受けます。
邦訳版も発表されていて (『グランパ・グリーンの庭』(青山南訳、BL出版)) 、また、2012年にはコルデコット賞・オナー賞に選出されている作品としても知られています。

タカハシカエ (イラストレーター) Twitter@kaerimichi_t

photo:saito

1.『雨ニモマケズ』
2.作:宮沢賢治 画:小林敏也
3.好学社
4.2013年
5.パロル舎からでたものが絶版のため、好学社から復刊されたものを持ってきました。特色を使ったり、紙もデザインも小林敏也さんのこだわりがたくさんちりばめられた、美しい絵本です。パロル舎と好学社と同じ本でも色味がちがったりするので見比べるのも楽しい。『雨ニモマケズ』だけでなく、宮沢賢治画本シリーズはどれも美しくて大好きな絵本です。

やたみほ(編みメーター)

1.『ギャバンじいさん』
2.作:舟崎克彦 絵:井上洋介
3.パロル舎
4.2006年
5.風倶楽部の創始者、舟崎克彦さん作の絵本です。2013年せんがわ劇場で行われた白百合女子大学企画の地域交流イベントでは、ご本人が絵を描かれ、スクリーンに投影しながら朗読をされました。今回その映像を皆さんにお見せしたかったのですが残念ながらプレーヤーがなかったので、次回上映させて頂けたらと思います。

甲木善久(評論家)さんがご紹介くださった本3冊
『てんのくぎをうちにいったはりっこ(こどものとも傑作集)』
作:かんざわ としこ 絵:ほりうち せいいち
福音館書店 2003年

『みみずのオッサン(絵本・こどものひろば)』
作・絵:長 新太
童心社 2003年

『バムとケロのさむいあさ』
作・絵:島田ゆか
文溪堂 1996年



第三回「私のとっておきの一冊」その1

2016-05-19 11:23:57 | 議事録

illust:nashie photo:saito

第三回「私のとっておきの一冊」その1
2016年5月14日(土)17:30~20:30
場所:吉祥寺御殿山コミュニティセンター

発表者自身で記事をまとめました。
1.タイトル
2.作家名
3.出版社名
4.出版年
5.コメント


中川純子(イラストレーター/ライター/ネイリスト)


photo:saito


1.『クッツケロ』
2.作・加藤志異、絵・本秀康
3.学研教育出版
4.2015年9月
5.なんでもくっつけてしまう、ふしぎなカエル、クッツケロ。呪文を唱えておならをすると、ザリガニとニンジャがくっついて「ザリガニンジャ」に変身! それから色々くっついて…⁈
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
絵本作家・加藤志異さんによる文章と、『まじかるきのこさん』などで知られる本秀康さんによるイラストで、とても楽しい絵本です。小学校で読み聞かせをしたところ、子どもたちから「面白かった!」と好評でした。お二人で作られた絵本には他にも『とりかえちゃん』(文溪堂)があり、どちらもユーモアと温かみにあふれています。
「妖怪になるのが夢」と言う個性的な作家の加藤志異さんですが、誰でも絵本づくりが体験できるワークショップを開催されています。加藤さんの読み聞かせもインパクト大です。絵本づくりをとても楽しく、身近なものに感じさせてくれる素敵な作家さんだと思います。

横田沙夜(画家)

photo:saito

1.『ペラペラの世界』
2.江嘉男(文) 上野紀子(絵)
3.私家版
4.不明
5.ねずみくんのチョッキで知られるお二方の自費出版で出された絵本です。
ペラペラの世界になぞらえて、セルロイド紙に印刷された透明なページは白い紙を下にひかないと読めない程ペラペラ。
内容も戦争、兵士、爆弾兵器と少々重い内容ながら、上野紀子さんによる繊細な絵が世界観を増幅させてくれています。

深民麻衣佳(フランス児童文学研究者)

photo:saito
1.『ピエールとジャンヌのパパ!お話しして!』
2.作:ルイス・トロンダイム 画:ジョゼ・パロンド 訳:猪俣紀子
3.くらしき絵本館
4.2008年
5.装丁は絵本、中は正方形のコマのずらっと並んだマンガというちょっと不思議な作品。
ピエールとジャンヌの兄妹がパパに寝る前のお話をねだるのですが、ピエールはモンスターが好き、ジャンヌはお姫さまが好き。全く違う二人のリクエストを取り入れて、お話がとんでもない方向へと転がっていきます。
そんなおかしなお話も魅力ですが、パパと子どもたちのやりとりも思わずクスッと笑ってしまう可愛さ。読んでいて和む本です。

相馬奈於 (児童文学研究者/翻訳家)

1.『ふゆのはなし』
2.エルンスト・クライドルフ作・絵、おおつかゆうぞう訳
3.福音館書店
4.1971年
5.スイスの絵本作家エルンスト・クライドルフは、花や虫、妖精やこびとをやわらかく丁寧に描き、独特のちいさくて不思議な世界観をつくりあげます。この『ふゆのはなし』は、3人のこびとが雪のなか、親戚の7人のこびとをたずねにいくというお話。物語自体は長めで心揺さぶられるようなものではないけれど、その淡々とした”ふゆのはなし”に添えられた絵が、雪のなかのこびとの世界をとても魅力的に描きだしていて、この絵本のなかに入っていけたらなあと本当に思います。たぶん私がいちばん最初にすきになって、ずっといちばん好きでありつづけてる絵本です。

saito(会社員)

1.『ちびくろ・さんぼ』
2. ヘレン・バンナーマン (著), フランク・ドビアス (イラスト), 光吉 夏弥 (翻訳)
3.岩波書店
4.1953年
5.子どもの頃から持っていたもので、クレヨンで色が塗ってあったり、表3に名前が記入してあったりする。
後半に双子の弟のお話があり、そのイラストがフランク・ドビアスではなく、日本人の岡部冬彦によるものであることに、数年前に気付いて驚いた。更に、岡部冬彦は、『きかんしゃやえもん』の作者であったのも驚きであった。
因に、岡部は、イラストレーターの水玉螢之丞の父親であることが今回の会で指摘され、そちらも大きな収穫であった。