美城丈二@魂暴風;Soul storm

僕が見た、あの日(と今日)の悲喜哀感。
A writer;美城丈二Another face綾見由宇也

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「まっく×美城」その②太宰治「消え去らぬ抒情」

2006-07-08 06:50:46 | きたー!!「まっく×美城」
 北の国には、「死にたくなったら行けばよい」と想い続けていた。のち、二度ほど、その地を踏んだが、「もう、まったく、そんな心地など露もなく・・・」僕はとある寒村の木枯らしに凍えていた。南国生まれの僕には、その土地で交わされるなまり自体に違和感があり、細身に滲みた。ここに、「僕の、安住の棲家は無いな。」素直にそう、想った。僕は旅人。北国のひとの、本当の過酷を知らない。読み、書き、それらはきっと想像の域、でしかなく、僕は僕の描いた絵空事にものの見事に、この両足をすくわれる結果となった。
 「人間は、耐えてこその色なのです。耐えるからこそ、そのひとの色、つまり味が出る。生まれつき、その色を成す、ひとなどいない。そういうことです。」あるひとがあるとき、そういって、ある死にかけたひとを諌(いさ)めた。ふと、僕はその言葉を想い出して苦笑い、した。耐える、まこと、この美学が現代では空虚となしているように想えたから。僕は間違っているとさえ、想えた。僕はそこから逃れたいとさえ、想った。

  ・・・太宰と物語と絵空事。

 彼は恒にニヒルに嗤(わら)い、この僕を悩ます。「暗い奴の脳は、どこまでいっても暗いんだ。」僕の師は、そう言って太宰を評した。僕は斜め読みしていると、暗に否定されたわけだ。

 北の国には雪が降っていた。だが、この雪を取り除いたならば、そこには何が残るというのか。僕はその疑念に行き着いて、ようやくはっと胸を射抜かれる想いがした。・・・イメージ、この概念の、ああ、なんと横柄なありようであろうことか。僕は遂に、そこから逃れえた。その時、太宰が、北の国が、あまりに眩しくて、それはまさに神々しきさま、となった。その日からいまだに僕の中で、太宰と北の国は消え去らないでいる。
 
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浮遊する死の隣の怪人:美城×まっく (想)
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