日本同様にこちらでも異常気象が続いている。日によって温度の変化が激しく、30度を超えた暑い!と思うと20度に翌日とどかなかったりする。一日のうちでも寒暖の差がかなりあって、体温調節が大変だし、洋服もそのたびに着替えたり、脱ぎ着を考慮しなくてはならない。雨も今までは霧雨で傘も必要ない程度だったが、最近では粒の大きな雨が落ちることも有り、ドイツ人たちはそのたびに大騒ぎをしている。日中暑い日、夜になりしのぎやすくなると、サンルームに腰掛けて、暗い中暫く涼む時がある。大抵は薬の副作用の熱がなかなかひかないときで、近所の子供もうるさくない時刻、時折通る深夜バスのエンジン音ぐらいが関の山、ゆっくりといろいろな事を考えることが出来る。霧雨がその時刻降ることが多く、先日は、遠くで稲妻が光っていたが、音は無い。深い闇の中で静かに過去と現在を追いかける。ほんの1時間ほどだが、なにか自分にはかけがえのない時間に思えてならない。
ネットで注意が廻ってきたが、空き巣被害が多発しているようだ。研究者用短期滞在施設で入れ替わりが激しいのと、無防備な人がいるので、狙われやすいようだ。この季節は、ドイツはほとんどクーラーが無いので、ドアを開け放している住人がいて、集合住宅なので、泥棒も一気に仕事が出来るため稼ぎ時のようだ。昨日白昼、いきなりドアノブに手がかかり、開けようとした人間がいた。夫が反対側の窓から顔を出し、「何ですか」と聞くと、黒い鞄を持った男性が、部屋を探している、513だ、と言う。しかしここは限定された人間が、大学を通してはいるので、業者は関与しないはずだし、第一、4階建てで、この番号の部屋はそもそも存在しない。おかしいとは思ったが、顔もしっかり見たので、空き巣ならもう諦めるだろう、と夫は言う。ドイツの法律で、これでもしドアが開いて被害を受けた場合、鍵をかけて置かなかった住人の方の非になるそうだ。ろくな物も持ってきてはいないが、とられれば不愉快で、手間もかかる。戸締まりはきちんとしておこう。
ハウスマイスターと呼ばれるいわゆる管理人がここにはいるが、来るたびに毎回「あんたたちは助かる。本当に良い」といわれる。どうも、とんでもない住人がたくさんいて、苦情や要望の対応に四苦八苦しているらしい。民族的な違いはあるが、個人の問題がやはり大きいように思う。少なくとも国際社会で学者として生活するのだから、それなりに見識や自覚があって当然の事だと思うのだが、昨今その質が低下しているようである。ドイツでは生活時間帯が決められていて、常識的に夜8時を過ぎると音に気を遣うのだが、その自覚が無い。気をつけてみていれば判断もつこうが、それも無い。通路に新聞を山積みしたり、ゴミを散らかしたり、枯れた植木を出したりするうえに、ドアを開放しているので、通る方が気を遣う。子供は大声で叫んで走るし、挨拶もろくろくしない。もっと驚くのは、人の家の軒先で母親がタバコをくゆらせたりしている。先日は朝から中庭に運動会の時のようなシートを敷いて食物を持ちだし宴会をしている。側の住人はたまったものでない。ところがおそらくこの人たちは注意してもなぜなのかわからないと思う。以前なら、学者家庭は、金は無くとも文化ステイタスだけはあった。だから、このようなことは常識的な判断で決して行われることが無かった。しかし今は、事細かく、1から10まで書いて、噛んで含めるごとくオリエンテーリングでもしないと、駄目らしい。嘆かわしいことである。
ドイツは犬社会だが、いままで何かが違うといつも思っていて、先日夫に話していたときにやっとわかった。日本でよく見る服を着せられた犬や、頭をリボンで飾られた犬、長靴を履かされた犬などが全くいない。みな自然な「素裸」なままである。夫によるとあれは虐待だ、という。まあ毛の無い犬もいるので、なんとも言いがたいのだが、PRに制服を着せられたり、法被を着せられたりするのはやはり迷惑だろう、とは思う。以前テレビの看板犬が、車の車内の冷房が切れて亡くなったことがあった。サモエドだったが、もともと寒い地域の犬で、日本にいるだけでも相当大変だろうに、そのうえ、最近のこの異常な高温、車内などとんでもなく暑かったろうと思う。こちらも暑いし、クーラーも無いが、朝晩は涼しく、ゲリラ雨も無い。蚊も蝿も蝉もトンボも無く、蜂と小さな蝶がいるくらいである。鳥もカラスはいるが、あとは雀とアムゼルくらい。ゴキブリなどの害虫もいない。しかしこんな時期もあと一月で、あとはじとじとと暗く寒い季節がやってくる。日の出も少し遅くなってきた。
朝刊の紙面を見て、ああ始まったか、と思った。食品の値上げなど相次ぎ、政権の変化による影響が出だし、生活しにくさに拍車がかかり、今度は介護保険料と認定基準を引き上げ、利用者を減らし、あげく社会保険から分離させ、市町村独自の提供に委ねるという。その上利用料金の限度枠を引き下げる。加えて、大病院の紹介料や利用料を一律加算、軽い患者の受診を減らす目的という。高額医療費も支給が減る。これは皆ひっくるめて考えて、貧民は利用するなということである。医療、福祉などにかかわる金は、スマホやゲームなどの遊興費とは種類を異にする。現在でさえ多額の医療費を払い、介護保険の利用もなかなか認められずに、交通費やレンタル料に自己負担でお金を払い、配達してくれる生協のカタログから一円でも安い品を買う私たちを、高額所得者と決めつけられるのだろうか。今はまだ良いが、定年後などどうなるのだろう。医療と生活を考えると都会にしか住めないが、そんな老人が増え、行政の手が届かず、港区では孤独死が問題となっている。選挙に行った人はそのことを、本当に真剣に考えたのだろうかと、かなりの疑問を感じる。
英国のロイヤルベビーが誕生した。他国の事ながら、案の定日本では、あやかり商戦が勃発しているようだ。海外は退院も早く、また名前も一早く発表された。以前、男児は体が弱い、育てにくい、やかましいのが主観的意見だったが、友人の子供を観察し、また親からの意見をまとめ考えてみると、人格や性格の差があるものの、どうも女の子に手を焼く事が多いようだ。まずあの子供特有の奇声だが、みなあげるわけではない。上階の女児の他、先日越してきたスペイン人の子供もあげるが、これも女児。そういえばベビースイミングで同じような子がいたが、これも女児。この声は女児特有の物なのだろうか?拒否して言うことを聞かないのも多く、居所の隣にいつもぐずって泣いていた子がいた。とにかくじっとしていない。これも女児。友人の話を聞くと、集まって母親会などの時、うるさいしじっとしていないという意見があるのは、大抵女児。成長してからも、何を考えているのか判断がつかないと手を焼くのも女児が多い。話をしていても男の子の方がわかりやすく、素直でかわいい。親もはっきりとは言わないが、(言う人もいる)男児の方がかわいく育てやすいという。学齢に達してからの、受験や就職は男児の方が大変と聞く。他方、ワーキングホリデーで来独し、親がかりで暮らす多くは年齢制限ぎりぎりの女性が多い。まとまりのつかない勝手な見解だが、なにか時代や考えの背景を垣間見ているような気分になる。
最近はこちらでも増えてきたが、野菜を生で食べる習慣はこちらではあまりなかった。野菜はあっても、ほとんど煮て食べるもので、シチューなどに少量入るか、付け合わせにジャガイモなどの温野菜、ザワークラウトが関の山である。トマトとキュウリとパプリカだけは生で、大きく切ってチーズやハムなどとと食べる。どれも肉厚で、本来の味がぎゅっと凝縮している感じがする。野菜で困ることはなくなったが、これだけは決して日本にはかなわない、というものが、葉物、特にレタス、そして大根である。レタスはまず鮮度が違い、すぐ赤くなる上に、玉が硬い。味は淡泊で歯触りも堅い。値段も高い。キャベツも白菜のような物も生食には適さない。そのためこちらでのお勧めはチコリである。大根は小ぶりで水分が少なく、味のないたくわんのような物で、生では食べず、ボルシチのようにゆでて食べる。前述のトマトなどもゆでて食べるのが多く、日本の物よりは皮が固い。ズッキーニなどとゆでてもおいしいし、バーベキューの時に焼いてもおいしい。あとは長ネギ。これは西洋ネギで代用しようにも味が違い、すき焼きなどには入ってはいるが、味気ない。私はこちらでラーメンとかは食べたことが無いのだが、薬味も同じだろうか?食べたくは無いが、見てみたい気はする。しかし値段を考えると、私はインビスのソーセージで満足である。
日本よりしのぎやすいとはいえ、日中の陽射しは同様に強い。私はあまり気にしないのだが、神経質な夫は、帽子などで対策を試みている。日焼け止めクリームをスーパーで買い、早速塗っていたが、大騒ぎで洗面所から出てきた。見れば顔が公達か、バカ殿のように白塗り、思わず吹き出した。その後一生懸命洗っていたが、なかなかとれない。ドイツの物はクリームも強力らしい。昨日手の方のテラピストにそれを話したところ、大笑いになった。彼女は、ドイツ語しか話さないので、夫との雑談が楽しみらしい。なんでも近々90過ぎの母親の誕生日パーティーが有り、ケーキを焼かなくてはいけないので、多忙なため、仕事の予定を先延ばしたいなどと言っていた。日本で保育園に子供を預け、働く母親たちが聞けば何ともうらやましくなるような話である。帰宅後、テラスルームで窓を開けて、瓶ビールと残り物のサラダで食材は慎ましいながら、環境は贅沢な夕食をとった。それでも明るいので洗濯を済ませた。こちらは湿度が無いのですぐに乾き、翌日朝には取り込むことが出来る。浴室乾燥を何時間もかけても生乾きの日本とは大変な違いである。
土用の丑だが、日本では鰻が高値らしい。もちろん、こちらで鰻の蒲焼きを食べるなどという贅沢はまず許されない。そもそも蒲焼きなど無い。鰻はハンブルクで大味な物がぶつ切りにされてスープで提供されていると聞くが、見たことも食べたことも未だかつて無い。ドイツは、魚が高級だし、種類が限られる上に、おいしくないのが普通だったが、だいぶ改善された。昨日夫が3種の魚のグリルなる物を注文して食べていたが、なかなかの味だったそうだ。どうしても食べたくなると、ギリシャレストランに行くとリーズナブルな値段で、白身の魚のグリルは食べられるが、オイルなどがたっぷりかけられた物で、シンプルな塩焼きなどは無い。夫が昨日食べた魚のあるレストランは、ドイツレストランだが、いつも地元の客で賑わっている。ナイフを落とす音がしたので、ふと見るとかなり大足の裸足の女性。驚いたことにそれを拾い、平気で食べている。もちろん屋外のテラス席、ドイツも随分変わったものだ。と思っていたら、同宿の方が、来独していたお母様を伴って現れた。ここはアパートから近いので、このようなことがよくある。季候の良い夏の宵、まだ薬の副作用が消えず辛かったが、しっかりビールだけはいただいた。
テラピスト夫妻から湖水浴に誘われているのと、水泳を推奨されているので、水着を買いにクーダムに行った。ずっと水泳をしていたので、日本の自宅にはたくさん水着があるのだが、しばらく遠ざかっていたので、持参してこなかった。こればかりは拘りがあって、あるメーカーの競泳用の一番薄い素材で、カットが深くてパットも何もついていない物であるが、海外でそのメーカーはもちろんあるのだが、サイズやデザインがよくわからない。デパートでスポーツ専門の店がクーダムにあるので、調べてそこへ向かった。やはり日本とはサイズが違うが、日本よりこまかに別れている。私の場合は36(日本の9号より少し小さいがこれが最小)で探した。競泳用には数が少ない上にサイズの数が少ないので、わがままを言ってはいられない。バーゲンの時期で、普通でも日本の半額以下の値段だが、それがまた半額になっていた。サンダルも半額、帽子とゴーグルは定価だったが、それでも日本の半額以下、とてつもなく安い。ただし、度付きのゴーグルや、おしゃれな物は一切無く、どれもこれもシンプルを通り越し、なにかごつい感じである。夫は海水パンツとジム用のパンツ、サンダルにキャップを購入、二人合わせても150ユーロ程度である。しかし帰ってレシートを見ると夫の物はすべて定価、私の物よりずっと高い。これは何の違いかわからないが、何に対してもそうで、いつも高い物を買えない私の性分が出てきてしまう。たまには夫より等価な物を買い、夫より高いものを食べたく思うが、どうもうまくいかない。夫の方はちゃかりしていて、買い物や食事をし、お金が足りなくなると、無心される。収入の無い私は、しかたなく、こっそりお小遣いをくれる義母からのへそくりをつかうことになる。恥ずかしながら、まだまだ親の暖かい世話になっている私たちである。
友人のお宅で弟さんと、お母様がお見えになっている。弟さんの夏休みを待っていらしたようだ。ヨーロッパはツアーが圧倒的に多いのだが、その理由は言葉のトラブルと、距離が長く、滞在も長いので、効率的で安上がりに済む、という理由からかと思う。向かう先に知人や親族がいて、それを訪ねるとなると、個人旅行となるが、そうなるといろいろ問題が生じる。まず航空機だが、空港に到着したら、ただ書いてあるとおりに進んで行くだけ、と言っても、慣れた人間や、若者ならまだしも良いが、なにかトラブルでもあるとお手上げである。直行便があればそれでも何とかなりそうだが、トランジットが入るとどうしてもどこかの空港で少し面倒な手続きをしなくてはならない。その意味で、このように言葉に困らない弟さんなどが一緒だとかなり心強い物となる。どちらの親もほとんど海外の経験が無い我が家族の場合は、日本の旅行形態しか彼女らは知らないので、説明に困ることがある。今回の我々の出発の時も飲み物を持ち込めない、といったら、航空機の中で買えるのか、という。昨今では日本でもあるいはアメリカ線などでもそんな航空会社があるとは聞くが、ヨーロッパ線ではまだ私は知らない。そうはいっても、私も料金やマイレージの関係上、そういろいろな航空会社を利用しているわけでは無いのだが。ただヨーロッパ線は長いし、トラブルが比較的少なく、機内もそこそこ快適なメジャーな航空会社をやはり推奨したい。しかし、たとえ直行があって、どんなに便利であっても、二度と使いたくない航空会社はいくつかある。こんな弟さんのいない我が家では、どんなに親が来たくても少し無理なので、友人をうらやましく感じる夏の宵、ワインでも差し入れようかと思う。
ハンバーガーは、言わずと知れたアメリカの代表的な食べ物だが、ヨーロッパにももちろんある。大学の近くのイタリアレストランで、巨大なハンバーガーが提供されているのを見たことがあったが、実際に頼んだことが無く、これを食べるときは、もっぱらZOO駅のマク○ナルドで夫はファストフードを食べないので、一人でというのが定例パターンだった。私は好きで時々無性に食べたくなり、もう閉店したが、銀座のマク○ナルドでお昼にビッ○マックセットをよく食べていた。ところが珍しく、昨日昼に、夫がテイクアウトしてハンバーガーを買ってきた。まず驚いたのは、中型のフライパンほどの容器に入っていて、開けると隙間無くどーんとハンバーガーが鎮座している。某マックのように、上に重ねられて大きいのは想像がつくと思うが、横に広いのだ。肉は一枚だが分厚く、3センチ以上はあり、チーズや野菜が申し訳ない程度に入っているようにみえるが、少ないのでは無く、肉とパンが大きいのだ。4分の一食べるのがやっとで、その後胸焼けがして、夕食が入らなかった。恐るべしドイツのハンバーガーである。ちなみにフライドポテトも、あふれんばかりについてくる。東京で相撲部屋の多い地域に住んでいたことがあるが、そこのマク○ナルドでは、ちゃんこ鍋の味に満足できない現代っ子の力士や、外国人力士が大量のハンバーガーをよく食べていると聞いたことがある。味はマッ○のそれとは比べものにならないほどおいしいが、量とカロリーを考えると決してファストフードでは無い。ピッザもよく一かけらずつファストフードで売られているが、そのひとかけら、日本の小型のピザの半分はある。ここではタッパを常に持ち歩くのが賢明なようだ。
ヨーロッパは地震も少なく、湿度も無いので、戦火などの人災による以外、住宅が破壊するような自然災害は無い。そのため、一世紀を超える住宅は普通であるが、当然エレベーターとクーラーは未設置である。エレベーターはそれでも、別途屋外に作るケースがあるが、それも比較的近年の戦時以後くらいの建物で、それより古いと内部にらせん状の階段が有り、スペースも限られ、壁も抜くことが出来ないので、設置が難しいようだ。クーラーは近代的なホテル以外はあることはまず無い、と考えて良い。もちろんこの国の気候条件を鑑みても必要性は今のところ無い。以前軽井沢の老舗ホテルにはクーラーの設置が無かったが、現在の日本では軽井沢といえども、クーラーなしはかなりきつかろう。クーラーのスイッチを入れないのを自慢としている方たちがいるが、熱射病になっては大変である。電気代や冷えすぎの健康問題以上に深刻である。ところで、あるところで読んだが、住宅の借り手募集欄に時折、お手洗いが室内に無い、という但し書きがある物件が時々あるという。昔は住宅に使用人が同居していており、その使用していた部屋を貸すらしいが、問題はその方たちは、住居内のお手洗いの使用は許されず、彼らの物は、別途外に有った。前述の通りで、現在も住宅の中に水回りも設置することは難しい。そのためその都度洋服を着替え、部屋に鍵をかけ外のトイレに向かうのだが、冬は大変である。日本でも外にトイレがあったし、中国に旅行した友人もそれが普通であったとという。ただ違うのは、ドイツはどんなに古くとも水洗であるようだ。
こちらは水やジュースなどのソフトドリンクが高価なのと、アルコールの値段が逆に安いので、ビールやワインを飲む機会がどうしても増える。ちなみにアルコールビールもノンアルコールも値段は同じ、店では500Lが3ユーロ50前後くらいである。あまり酔いを感じないのは、麦芽以外の物が入っておらず、アルコール分が4.7%くらいとかなり低めである。冷えていないので(気候も暑くないからか)スムースに入り、味も苦みが無いので、料理を選ばない。夫はこちらでもワインが多いが、私はもっぱらビール党である。法律でビールの成分や量は決められており、まずいことはまず無く、泡で量が少ないことも無い。すばらしいつぎ方と細かな泡の具合は、さすがといえる。ただ、ラドラーや、ベルリナバイセのようなビールカクテルはあまりお勧めしない。やはり純粋にいろいろな種類のビールを飲み、好みの物を見つけよう。私はやはりデユンケルシュバルツ・・バイエルン好きである。
リハビリサイクリングも三度目、今日は天気が少し怪しまれたが、テラピストも自転車に乗車し、夫も何十年かぶりにサドルにまたがることになった。大きな公園を巡る格好のコースで、おおよそ1時間必死にペダルをこぐが、脚力が無くどうしても遅い。テラピストに「寝てるな、起きろ!」と促される私に反し、夫はびょんびょん飛ぶように走る。昨日までストレスをためて、当たり散らしていたが、彼にも、よいストレス解消になったようだ。15年前に夫と初めて散歩した公園にも行ったが、走るのに必死で、そんな感慨にふける余裕も無く、道も風景もわからず、ひたすらテラピストのクリーンな黄色のパンツを追いかけるのみ、と言いたいが、実は人参がぶら下がっていて、中休みにアイスを食べる、というのだ。やっとその時が来て、3個もクーゲルの入った特製アイスと、テラピストの注文したカプチーノについていたビスケットまで頂き、後半戦に備えた。話せば、ずっとドイツ人と思っていたが、彼女はイタリアから来た事がわかった。独、英、仏は話すのはわかっていたが、伊は予想外だった。夫が私に何を話したか、わかったかテストだ、彼女はどこから来た?と言うので、イタリアだ、と答えたら二人とも驚いていた。全く失礼(?)な話で、これだけ長期間やっていれば、話すのには難があるが、文法と聞き取りは何とか少しは出来る。しかし、都市名が「マイランド」と聞き取れるが、場所がわからない。どの辺の地域か、後で夫にきいたら、なんとミラノのドイツ名で、これには参った。参ったことがもう1つ、ヘルメットが頭に入らない。日本人は体はずっとドイツ人より小さいが、唯一頭だけは大きく、それを認識していなかった彼女も驚いた。洋服も当然襟ぐりが小さいので、Tシャツなど、かぶり物の購入時は、気をつけなくてはならない。ところで、猛暑、大雨の日本とは逆に、こちらは涼しさを越して少し寒い。なにか申し訳ない気持ちになってしまうが、それもあと一ヶ月あまり、8月終わりには暖房の入る季節になる。