というおもしろい仕事があることを昨夜知った。ある29歳の女性が大分市で遺産整理人をやっている。この人は何をやってもうまくいかず、挫折感に満ちていたが、仕方なく入った遺産整理の会社でこの仕事のおもしろさに目覚めて一人で会社を立ち上げ、社長一人の会社をつくって遺産整理を引き受けている。
なぜ、人生の挫折感に満ち満ちていたこの人が遺産整理の仕事に関心をもったかというと亡くなった人の生きざまを遺産整理の仕事を通じて知ることができるようになったからだという。
やはり、もう亡くなった人で、その生前には個人的に知り合いでもなんでもなかった人の遺産整理の仕事ではあるが、やはり詳しく丹念にその遺産を調べて整理をしていく過程でその人その人の生きざまがわかって来て、人間に対する関心がわいてきたという。それで遺族にもその死者の生きざまをできるだけ伝えたいと思うようになった。
昔、中国の三国志の中で諸葛孔明が亡くなった後だが、彼は生前に一計を案じていて、死後も魏の大将、司馬仲達を計略にかけたように見せかける。「死せる孔明、生きる仲達を走らす」といわれる。
要するに、死者でも、生者である私たちを動かす力をもっている。それもその人が生きていたときには全然、まわりの人に影響を与えることなど考えてもいなかったのに。