カヤックと過ごす非日常

大人は水辺で子供に返ります。男は無邪気に、女はおバカに。水辺での出来事を通してそんな非日常を綴っていきます

848.お久しぶりの北山川 (1) ― 漕ぐ前のお楽しみ

2017年07月29日 | Weblog

暫くブログを留守にしていた。カヤックに縁がなかった訳ではないのだが、野暮用続きで記録する時間がなかった。しかしそろそろ記憶が朧になった来た。すっかり忘れる前にカヤックの記録だけはきちんと記しておかなくては。と、慌てて書き出した記録。

 

ちょっと前、久しぶりに、2年ぶりに北山川へ行って来た。11年前に初めてこの川を漕いでから今回で8回目。その間、いろいろな事があった。

誰かの新艇の進水式で献酒をした。ヤマボウシの白い部分は葉か花か、議論が沸いたことがあった。荷物を持って長い階段を2往復した後に貧血を起こした夏の日があった。飛び込も何度もした。珍しく大きな瀬ができている年には沈をした人の後に漕ぐ時、それまでは感じたことがない沈の怖さが湧き上がった。初めてタンデムに乗ったのもこの川だった。 いろんな事があった。

しかし漕ぐだけではなく、ここ4,5年は熊野の探索にも活動の道を広げ、北山川・熊野川、広く新宮川水系の山や里もずいぶん知るところとなった。今回も漕ぎの前に熊野を楽しみ、漕ぎの後にも熊野を楽しんだ。

今日の記録は「漕ぎの前」の記録。

 

集合は明日なのだが、その前に自主調査?のため、1日早く現地入りする。 熊野では行く途中でも現地でも、見たい物、行きたい所、調べなくてはならない事、数え切れないほどの項目があるのだが、今回はあれとこれとそれと・・

熊野に来る時の定宿としているお宿があるのだが、そのお宿と集合場所を結ぶ途中の道が工事のため通行規制があった。その時間調整が面倒だったので今まで通ったことがない道を使うことにした。そのおかげでと言うか、思いがけない所に行くことができ、また1つ、いや3つくらいは熊野の見聞が広がった。

まずはこんなダム。

七色ダム。ずいぶん昔、北山川へ行く時に、夜の山道をくねくねと走って行った時、このダムの傍を通ったはずなのだが、何せ夜中の事、どんなダムなのか知ることはなかった。 そうか、こんなダムだったのか。 ダム本体の上が道になっている物もあるがここはゲートの中ほどに車道がある。 ダムカードは以前から知っていたが、最近は「ダムカレー」なる物に人気があるとか。もしこのダムをカレーにしたら、車道上のゲートはどんな物で作るのだろう。キュウリを櫛形に切って差すとか・・

しっとり雨に濡れたダムは緑の木々に埋もれ静かに建っていた。

 

更に進むと、この道を通ったならこの場所は外せない、と言う名所。

小雨に煙る北山川と熊野の山。低く垂れこめる雲は現実世界と虚構世界の境に帳を下ろすかのようだ。ジブリの世界の獣の神が潜んでいそうでゾクッとする。

ここに建つ古い店。この店の窓際に座り、川を見下ろしながら一服する。 

すりガラスが遥か昔の思い出を呼び起こす。子どもの頃、親に連れられて行ったおばさんの家の縁側のガラス戸を思い出す。 実は、明日、みんなでここでランチをする予定になっている。ではあるが、それは明日の事、今日は今日でここで抜け駆けでランチする。

前回、2年前に来た時は工事中で二階を見ることはできなかった。今回はその二階からの眺めも期待して来た。 

 小雨の雫越しに見える川は霞のように煙りジェット船のけたたましささえ聞こえなくする。 廊下の手すりの木組みにも、初めてなのに懐かしさを覚える。 

かつてはホテルと言う洒落た名前の宿屋のこの手摺から、どんな人がこの川を眺めていたのだろう。 筏を流す筏師が素泊まりでと泊ったのだろうか。世俗から逃げて来た文豪が虚ろな目で見ていたのだろうか。海辺の町からやって来た豪商とその連れの女もいただろうか。 日本髪を結ったきれいどころが着物の裾をさばきながら歩いていたのだろうか。 熊野詣の旅人が脚絆を解いていたのだろうか。小さなカヤックを漕ぐ人は・・ 思えば思うほど遠い昔の光景が目に浮かぶ。

さて、この店はまた明日、みんなと賑やかしく来よう。 ではそろそろお暇しなくては。

 

今日の宿へ向かう道に、以前から寄ろうと思っていた店がある。 旧小学校を利用して営まれているカフェとパン工房。 パン屋は営業時間外だったがカフェに入って、また一服。

 

 校舎から出る煙突が風情を高める。あの煙突から煙が出ることはあるのだろうか。 桟の入った窓も今見るとワッフルのようでモダンレトロ。いや、板チョコだろうか。強い風が吹くと、桟とガラスの間の隙間がカタカタと鳴った、子どもの頃のガラス窓を思い出す。

そんな校舎もそろそろ出発しなくては。 だんだん今日のお宿に近づいてくる。

と、宿の近くまで来て、そうだ、ここまで来たならあそこへも行ってみよう。 と行先を変え、こんな所へ寄ってみる。

念願のつぼ湯。 

小さな川沿いにある小さな湯小屋。1組1回30分で、混む時は2,3時間待ちとのこと。ずいぶん昔に来たことがあるのだが、順番待ちに時間が架かるので、外から眺めるだけで諦めた事があった。そのつぼ湯に待たずしてご入湯。

 

 川湯温泉 つぼ湯

 熱い湯が湧いています

 30分貸し切りの露天風呂

 いいお湯でした

 

 

 

 

「いいお湯」と言ったのだが、とにかく『熱い!』湯かき棒やうめ水もあるのだが追い付かず、とうとう湯に浸かることはできなかった。それでも何度も何度も湯を浴びて貸し切りの贅沢を堪能した。 

それにしても、パンフレットなどではきれいなお姉さんが肩まで湯に浸かっている写真を見るのだが、あのお姉さんはよっぽど熱さに強いのか、よっぽど水をうめたのか。それとも、もっと湯船の奥の、下の方からかき回したら入れるほどの温度になったのか。 これは次回確かめなくては。

 

そうこうする内にお宿入りの時間となった。宿の入口に飲泉場があり、その湧き口に目が行く。 温泉成分が不思議な模様を作り出す。溶岩がとろりとろりと流れ落ちるようで、ここは時間の流れが足踏みする。これが大きくなるとパムッカレのようになるのだろうか。

このお宿には初めて泊ったのだが、この川には以前にも来たことがある。 冬に「仙人風呂」が開かれる川だ。 大らかな河原での仙人風呂に入ったのも懐かしい。 河原を掘るといたるところから温泉が湧くと言う川だ。

お宿の風呂にも露天がある。 一応男女別の湯船ではあるが、そこはそこ、大らかな大塔川。そこそこに、かなりの大らかさのご入浴となる。

 ところで、ここは漕いでも良いのだろうか。 鮎釣りの時季になると、「川下りご遠慮ください」の札が立つ川がある。海水浴の時季になると、「出艇禁止」と書かれる浜がある。 神聖な祭り事が行われる場所には「立入禁止」のブイが無くても、入らない。 水辺の温泉には「接近禁止」と言われなくても、ほどほど以上には近づかない。 

漕いで、河原を掘ってマイ露天風呂に浸かり、温泉玉子を作ってランチとしゃれこむ。この川、漕いだら面白いだろうな・・

そんなこんなの1日だった。 漕ぐ前に、漕ぎ終わったような充足感に包まれた。

さて、明日から、本気で川を漕ごう。

 

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