カヤックと過ごす非日常

大人は水辺で子供に返ります。男は無邪気に、女はおバカに。水辺での出来事を通してそんな非日常を綴っていきます

845.参らせ米入瀬 ― 白龍のダム湖

2017年06月14日 | Weblog

先日、久しぶりに「チーム・クラブ」で姉川ダム湖を漕いだ。

      サッチモさん、よろしく!
      チェブロさん、今日は一緒に漕ぎますよ!
 
      あれ? どこかで会いましたよね。
      顔は覚えているんですが、お名前は何でしたっけ・・?

      あぁ、そうそう、オージーさんでしたね、いつぞやはお世話になりました。
      お久しぶりです、お元気そうで何よりです!    

そんな面々と漕いだ日の記録。

 

2,3日前の予報に反して雨はどこかに行った梅雨の日、うす曇りの空は日焼けを気にせず、暑さに悩まされず、漕ぐにはちょうど良い天気となった。

途中で合流してから出艇ポイントを目指す。遠い記憶の片隅に、見たような気がしないでもないが、、と言う景色の中を進んで、いや、しかし、このダム湖は漕ぐのは初めてだから、見たような気がするのは気のせいだろう。来てはいない、 はず・・。

 

 姉川ダム湖 白龍湖

 初めて来たはずなのに
 なぜか懐かしい景色

 

 今日はこの水を漕ぐ

 

 

 

ダム湖はどこもよく似ている。山が迫り、緑濃く、ダム前には大きくフェンスが張られ・・ どこかで見た気がする光景だが、初めて漕ぐ場所だから見るのも初めてのはず・・。 出艇ポイントは、これは確かに初めて来た。よく整備され、子連れで水遊びをするにもってこいの公園だ。「クマ出没注意」の立て札があった。「たとえいたとしても、みんなでワイワイ言ってたらクマも近寄らないよね」と話をしながら歩いていたのだが、後日、ちょうどこの時分、この近くでクマが出た事を知った。

               危なかった!

 

漕ぎ出してじきにダムに近づいたのだが、その岸に「アッシー」が現れる。

 

 姉川上流に棲むと言う「アッシー」

 これはまさしく アッシー です

 

 

 

 

 

 

その姿を見た人はごく少ないが、確かにアッシーはいると言う。その動かぬ証拠をチームクラブの写真に収めさせてくれた。 心無い誰かに捕まらないようにと願い、アッシーに再会を約束して先へ進んだ。

姉川ダム。ダムとしては小さい方だろう。しかし大きな河川がない滋賀県、だから余計にこのダムが巨大に見える。

ダムを離れると、そこはもうグリーンワールド。深く浅く、光に影に、この色しかないと言う極め付けの色を山中に吹き付けて木々が茂る。 次第に薄日がさしてきて、いよいよ木々の緑が極まって来る。

何もない。 人の匂いのする物は何もない。目にも耳にも霊山の吐息以外、何も存在しない。 白い葉はマタタビだろうか。エゴ、ウツギ、ノバラ、翡翠の中に置き忘れたように白い花が浮かび上がる。それにしてもエゴの木が多い。庭木としてよく見る木だが山に自然に生えているにしてはいたる所にある。 初夏の日差しの中で小さな花が初々しい。

 今はダム湖の水位が下がっているようだ。水面から1メートル程高い所に水際の線が残る。その頃ならこんな花に顔を埋めて漕げるだろうのに、その水辺を想像する。イモムシがいると困るのだが。

細く入り組んだダム湖。小さな鼻を越えると、もうどこにいるのかわからなくなる。「ホワイトアウト」とは言うが、これは「グリーンアウト」と言えるだろう。それでも水辺に沿って行けば必ず戻って来れる。だから、初めての湖面でも安心して行かれる。今回はサッチモさん、と言う頼れる案内役がいるので、私はただただ、浮かぶだけ。あ、パドルは動かしたが。

湖面はいよいよ狭まり、いつしか川となって流れてくる。その川を少し上るとそこは渓流となる。これ以上先はカヤックでは(私では)上れない。

サッチモさんが、「この先にぜひ見せたい景色がある」と言う。どんな所なのだろう。川の水は冷たかったが、ここまで来てその「ぜひ」と言う景色を諦めることなどできない。行きましょう!

 

 うっ! 冷たい!

 でもここはまだ歩きやすい所

 その先は
 もっと岩で、もっと深く、もっと・・

 

 

 

 

伊吹山の麓を流れる水は冷たい。瀬音を立てて流れる水に膝まで浸かり、苔の滑る岩に尻もちつき、岸のヨシにしがみついて、枯れ枝を杖代わりに頼り、時に手を引いてもらい、ここまで来る。

 

 苦労して来た甲斐があります

 まるで奥入瀬渓流のようです

 

 

 

 

 

 

案内してくれたサッチモさんが「ね、奥入瀬みたいでしょ。米原(まいばら)の奥入瀬(おいらせ)だから、米入瀬(まいらせ)だね」と言う。 米入瀬とは良い名前を付けたものだ。

そんな瀬音を聞きながらの昼食。瀬音以外聞こえるのはカジカガエルの声だけ。深山深く分け入った訳ではないのにこの自然感。 ゆったりダム湖を漕いで、ちょっぴりスリルの瀬遊びして。緩急揃ったフィールドだ。

瀬を上り、瀬を下り、スラロームで岩を交わし(私は見ているだけだったが)、 ひっくり返る人もいたりして・・

 

たっぷりとマイラセを楽しんで、まだ高い陽の中、また漕ぎ出す。 ダム湖にはエゴの木が多く見られたが、こんな木もあちこちに見る。

 

 イタチハギ

 イタチみたいな色だから?

 

 

 

 

 

 

外来種で増えすぎると困るが、緑化に役立っていると言う。 食料として役立つ反面、在来種の天敵となっている魚もいる。人が都合よくしたつもりの事が知らない内にしっぺ返しを受けることがある。人の都合は、自然の都合の手の中で転がされていることに、いつ気が付くかなのだろう。気が付いた時には既に手遅れの事が多い。

ダム湖の中ほどに浮島がある。周囲をシートで囲われた島だが小さな階段が付いている。今は木々に覆われて通れないが、誰かが、何かの目的のためにわざわざ階段を作った。誰が、何のために・・ 気になる階段だった。 浮島にはよく天神様がおまつりしてあるが、この島にもおいでなのだろうか。その参拝のための階段なのだろうか。

初めて見るはずの島だが、なぜか気になった。 その島も後ろに去り、また静かな湖面となる。

人工的な植樹がないのか、それとも広葉樹を植えたのか、針を並べたような針葉樹が見当たらない。ここは紅葉が見事に違いない。 今はただただ緑の衣を被せた山が湖面をまた、深く染める。まるで絵具を流したようだ。

そんな湖面を行くと、ぐるりと回って、おやもう元の岸に来たようだ。 全身が初夏の色と匂いに包まれてダム湖漕ぎは終わった。 薄曇りだった陽もすっかり夏の色に変わり、水辺の彩も見事になった。

 

初めて漕いだ白龍湖。初めて見たはずの姉川ダム湖。 家に帰って以前の写真を調べていて驚いた。どこかで見たような気がすると思っていたが、実際行っていたのだった。何年か前のことだが、伊吹山へドライブに行った時、きっとその通り道に「ついでに」見たのだろう。全く記憶に残っていなかったが、確かにあのダム湖を見ていた。

その時撮った写真が出て来た。

 

 あの気になった浮島です

 今よりもっと水位が低い時でした

 

 

 

 

 

 

写真を見て初めて、「初めて見たのではない」と気が付いた。 私にとって漕がない水辺は「行ってないのと同じ」であることを、改めて悟った。 それにしてもあの導入路のような道は今もあるのだろうか、島の周りをぐるりと回ったがそんな道は見なかったのだが。それとも工事が終わってあの道も取り払われたのだろうか。 その謎を調べに、今度は意識して、3度目のダム湖へ行って来なくては。

 

         参らせ、米入瀬。参らせ白龍湖

         行く!

 

 

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 844.三つ、四つ、五つ、六つ... | トップ | 846.遠いようで近い島(1)... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む