もう先月のことになってしまいましたが
5月19日に金沢湯涌江戸村で行われた旧園田家移築現場見学会へ行ってきました。
この日は午前と午後2回あり、午前の部に参加しました。
今回の見学会は屋根だけでなく旧園田家全体の工事の途中を見学するものです。
まずは園田家の成り立ちなど歴史的背景なども拝聴。
前回4月7日に行われた見学会の記事でもふれましたが
旧園田家は金沢市二俣で藩の文書に使用した加賀奉書の紙漉きを生業にしていた家です。
そんな家柄ですから、紙漉きの工房部分にも戸室石を使うことを許されていたそうです。
(戸室石は医王山の手前の戸室山で採れる石で、
青戸室、赤戸室とあり城の石垣や兼六園にも多用されています。)
この石は和紙の原料の楮(こうぞ)や三椏(みつまた)をほぐすのに
砧で叩く台にしたのではということでした。
4月ごろはまだ壁も竹小舞でしたが、もう土壁も塗られていました。
土間やオエの天井部分。
根曲がりの松を上手に使って、柱を組んでいます。
右下に茅葺屋根を支える、こまじりも見えますね。
こちらは居住部分だったところ。
補強のために鉄骨がみえます。
鉄と木、どちらが長持ちするかしらと思ったり。
かなり傷みもあったそうで使える部材を使いつつも、
新しい木材も使用。
この突き当りが笹葺き部分になりますが、そこは仏間で仏壇が据えられていました。
白峰の家の作りでもみられるのですが、
万が一火事があったおり、すぐに仏壇を運び出せるような構造になっています。
白峰も二俣も共に浄土真宗の信仰に篤い地。
特に二俣は二俣本泉寺というお寺もあり蓮如も3年あまりここに滞在されたので尚更に。
ところで旧園田家のあった二俣では今も和紙が漉かれています。
和紙職人の坂本さんによると、子どもの頃笹葺きをしたことを覚えていらしゃるそうです。
それも棟によく使ったと。
雪の多い山間部なので春になると雪の重みで棟がずれるため、
直しやすい笹にされていたとか。
直接お聴きしたのではないので、いつかお話を伺いにと思います。