かわずブログ

数学とタイピングと私。

第3回関西すうがく徒のつどい

2013-03-20 15:50:56 | Weblog
第3回関西すうがく徒のつどい(公式サイト:http://kansaimath.tenasaku.com/)に参加しました。

参加した理由など
宇宙賢者(@the_TQFT)とみやや(@nolimbre)さんが講演されると聞いて参加することに決めた。
他にもalg_d(@alg_d)さんや相転移P(@phasetr)まで講演をするとなっては参加したくならないわけがないのであった。
講演者にこれだけの人たちを集められ(るだけのことをしてき)た運営の方々は本当にすごいと思う。

聴いた講演について
みややわぎょー(@nolimbre)さん「数論幾何への誘い」
F_q係数の多項式がk個与えられたとき、その共通の根はF_qにいくつあるか?また、F_{q^r}にはいくつあるか?という問題から始まって、Weil予想(の一部)、数論的コホモロジーの話など。
予想の内容を非専門家にわからせることも難しいと思われる話を、部分的なものとはいえ正確にわかりやすく話せるみややさんの実力はさすがだった。

市民(@phasetr)「色々な反例を作って遊ぼう」
数学をするときの楽しみ方というか態度について、自分で問題を見つけることが大切であって、そのために有名な定理の反例を探すということが、何か思いついた問題を正確に述べる練習にもなるし、楽しいのではないかという話。
数学的な内容(も当然ながら重要だけど、それ)だけにとどまらないことを伝えようとされていたようで、自分自身そういう話ができるようになりたいと思った。
"Counterexamples in Analysis"という本が面白いらしい。
 ※3/20 23:30ごろ追記
 相転移P(市民と同一視してよい)がこのことについて文章を書いていた。
 http://phasetr.blogspot.jp/2013/03/blog-post_20.html

ふぇいく(@st_fake)さん「フェルマーの二平方和定理と二次形式」
素数pが2つの正整数x,yでx^2+y^2と表せるためには、pを4で割って1余ることが必要十分であるということ(二平方和定理)(とその類似)を証明することを目標とした話。
ふつう(?)、このことの証明にはガウス整数環Z[i]を考えると思うが、そうではなくて、二次形式を考えることでZからはみ出ることなく(厳密にはZ[x,y]に行ってる気もするけど)証明できていて、しかも類似の結果が全く同様に得られるのが面白かった。
"Primes of the form x^2 +ny^2"という本に載っている話らしい。

宇宙賢者(@the_TQFT)「古典的ミラー対称性入門」
ある多様体へのRiemann面の埋め込みの数え上げと、(全く関係ないように思える)別の多様体の上の積分とがなぜか一致してしまうという話(だと思ったがそれはほんの一部で本当はもっと深い、わけの分からない結果があるのかもしれない)。
圧倒的なオーラを放ちながら楽しそうにお話していて、マネできるものならまねしたいものだと思った。

聖ステパノ大王(@2222_42)さん「普遍論理としての圏論について 副文を考える」
ある性質を満たす圏は普遍論理(哲学の用語)であるという話?実は難しくてよく分からなかった。たぶん哲学かロジックに慣れていないと分からない話だったのだと思う。
圏論は代数学を起源としているというようなことを仰っていたような気がするが、そうなんだろうか。

アルゴドゥー(@alg_d)「数学の諸定理と選択公理」
関数fが点aで連続であることと、aに収束する点列の行き先がf(a)に収束することが、選択公理がないと同値にならないという話から始まって、可算選択公理の話、従属選択公理の話、R/Qに全順序が入ればLebesgue非可測集合が作れるという話、Banach-Tarskiはぜんぜんパラドキシカルでないという話など。
kenoさん、山元さんとのやりとりも面白かった。
alg_dさんの話を聞くたびに思うが、話がうまい。見習いたい。

のうこ(@noukoknows)さん「つくってあそぼう!うごく数学のもけい -A Very Natural Introduction to Gentzen's Natural Deduction-」
何か証明できないことがあったとき、「たまたま頭が悪くて証明できない」のか「原理的に証明できない」のかを判別するには、証明とは何か、証明できるとはどういうことかを定義する必要があって、その方法を紹介する話。
私のような門外漢にも分かりやすい説明で、のうこさんが「ここまで分かりますか?」などと言うたびにうなずきまくっていたが、他の人はあんまりリアクションしていない様子だった。喋ってる側としてはけっこう気になるので、みんなもっとリアクションすると良いと思う。

モルフィー(@Morphy_x)さん「位相入門」
入門とは名ばかりの、ベクトル空間の間の(線形とは限らない)写像への微分の一般化(BGN微分というらしい)の話。
ベクトル空間からベクトル空間への写像が微分可能であること、そのときのderivation、方向微分を定義して、C(複素数体C上の1次元ベクトル空間)からCへの"微分可能"な関数は"Cauchy-Riemannの関係式"を満たすことをチェックするなど。
もうちょっと用意していた話があったようだったので、また機会があれば続きも聞いてみたい。

のーてぃ(@conoughty)さん「産業のための数学」
ホモロジーの(数学への、ではなく産業への)応用の話。
限られた場合については非常に有効な応用が実現されているけど、まだまだ数学的に課題が多いという印象。産業のための数学という分野は、直接の興味はあんまりないけど、興味を持つ人は多そうだし、そういう組織も九大などにできているようでこれから触れる人も増える気がしたし、どんどん活発になっていってほしい。
「ホモロジーはこういうもので、応用としてこういう場合に使える」という話だったけど、使えるという話ばかりでどう使えるのか分からなかったので、たとえば具体的に何か計算を紹介するなどしてほしかった。


メモと雑感
0日目
友人たちと昼ごはんを食べてからいったん帰宅。
服などを持って京都へ。
飛行機で伊丹空港に20時ころ着、バスに乗って京都駅に21時ころ着。
京都駅近くの、めっちゃおいしいらしいラーメン屋さんを紹介してもらっていたので行ってみたが、店の外に20人以上並んでいたので諦めてなか卯で晩ごはんを食べた。
ホテルは京都駅近くにちゃんと予約できていた。寝た。

1日目
京大に行くのは初めてだったので、時間に余裕を持って言ったら開場前に会場に着いた。
部屋その1では運営の方々が打ち合わせ中?だったので、開場まで休憩室にいることになった。
休憩室には関東つどいでお会いしたたまぽん(@KhronosTamapon)さんがすでにいたので、喋ってた。
たまぽんさんと喋っていると、負久島(@waheyhey)さんが休憩室に来たので挨拶した。関東つどいでも見かけたがタイミングが合わず話せなかったのだった。
開場したので部屋その1に移動すると、宇宙賢者や相転移Pがいた。受付を済ませて名札を作成するなどした。
はじめに運営の方々の挨拶。代数トポロジーの光とかぴよぴよとか圧倒的宇宙賢者とか、皆さんキャラが立っていて良かった。
関西つどいでは部屋が2つあって、それぞれの部屋で違う人が違う話をしていて、聞きたいほうを聞けるということになってたが、私が聞いた話は上に書いたとおり。
最初の講演はみややさん。予定していた話は終わらないという予定のとおり、いくつかの話はカットされたが、とても面白かった。
ちなみにみややさんの裏番組は山元(@hymathlogic)さんの「Coarse幾何入門」で、そっちも聞きたかった。残念。
昼休みは相転移Pとかalg_dさんとかそのあたりの人たちと京大の食堂でごはん。たしか塩ダレカツ丼なるものを食べた。おいしかった。
次の講演は相転移P。講演前に話しかけたらけっこう緊張している様子で、「帰りたい」などと言っててかわいかった。
次の講演はふぇいくさん。二日間寝てないとのことで、テンションがすごいことになってた。
次の講演は宇宙賢者。謎の物理的な観察から数学の謎すぎる対応が分かって、物理の人はすごいと思った。
1日目最後の講演は聖ステパノ大王。「気軽に大王とお呼びください」とか言ってて面白かった。内容は、ちょっと基礎知識が不足しすぎていてよく分からなかった。
懇親会は食堂の2階。アルコールはなかったが、料理がたくさん、飲み物もたくさんあってとても良かった。立食だったので「かわず」と書いた名札を装備して各テーブルを回るということをしたが、けっこうチヤホヤされて良かった。
懇親会後はみややさん、かいくん(@kaikrukrull)と飲酒。おいしい日本酒を飲んだ。

2日目
最初の講演はalg_dさん。相変わらず話がうまい。
昼休みは宇宙賢者、みややさん、相転移Pとひらがな館なるお店でごはん。チキンカツ的なものを食べた。おいしかった。
次の講演はのうこさん。とてもよく噛み砕かれていてよかった。こういう全然知らないことへの入門的な話は嬉しい。
次の講演はモルフィーさん。なるほど感はあったけど、この一般化によって何が嬉しいのかがよく分からなかった。あとどう考えても位相入門ではなかったw
最後の講演はのーてぃさん。のーてぃ「射影空間みたいな変な空間は」宇宙賢者「いや!射影空間は!最も基本的な空間です!」が面白かった。
閉会後、全体写真を撮ったりHausdorff山田(@NoriMathTp)さんの耳元で奇声を発したりした。
解散後、宇宙賢者、のーてぃさん、梵(@bonnou_bonjin)さん、鈴木(@mszk_p)さん、山元さん、ゆきみ(@yuki_migo)さん、ささくれ先輩(@ysgr_sasakure)、めそ(@mesology)さん、食パンの耳(@bread_crust)さん、sappy(@__sappy__)さんと棒野なる串揚げ屋さんでごはん。ビールにめっちゃ合いそうだったが、定食もおいしそうだったので定食にした。誰も酒飲んでなかった。
のーてぃさん、めそさん、sappyさんと別れて残りのメンバーでカラオケへ。
途中で同じフロアの違う部屋に、ことりんさん、end・K(@end313124)さん、モルフィーさん、四時(YohjiGureito)さん、eno(@eno____zzz)さん、Mr.調和解析(@ROUNIN__MAIDEN)さんが来た(誰か抜けてるかも。抜けてたら教えてください)。
梵さんが歌ウルトラうまくて何者なのか気になった。
ささくれ先輩がエシディシに似ていて、モノマネもできるということでエシディシ先輩というのが誕生した。
ゆきみさんが魔王(シューベルトの)をウルトラ魔王っぽく歌っていて、魔王ゆきみんというのが誕生した。
宇宙賢者とエシディシ先輩が最初から最後まで絶え間なくひたすらタンバリン叩いていて、体力すごい。
「マクロス」とか「いちねんせいになったら」を歌ったらうまいうまいと褒められた。

3日目
朝5時まで奇声を発し続けた。
ホテルに戻ってシャワーを浴びるなどして荷物持って北海道に帰った。


ある程度まとまった感想など
楽しかった!交通費と宿泊費を出して行くだけの価値はあった。
ただ、同じ時間の講演をどっちも聴きたいというのが多くて、仕方がないことではあるけどけっこう困った。
講演の内容の楽しさもさることながら、ふだんtwitterなどで親しくしている人とかそうでもない人にお会いできたのがとても良かった。特に宇宙賢者にはお見舞いのとき以来久しぶりにお会いしたが、圧倒的にお元気そうな姿を見ることができたので、それだけでも今回は行って良かったと思う。
それから、これが一番言いたいのだけど、やっぱり数学は楽しい。今後も少しずつでも数学は続けようと思った。

ことりんさんをはじめとする運営の皆さん、講演者の皆さん、チヤホヤしてくださった皆さん、ありがとうございます。
こういうのをきっかけにして世の中に数学する人がたくさん増えてほしい。というか楽しく数学の話できる人が増えてほしい。