川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します

2016-11-12 23:57:04 | Weblog

2016/09/13
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警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します



大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件
通報を好機にして特定政治陣営に打撃を図る
もう20年から昔のことだったと思います。あるとき、会社で何十万円かのお金がなくなって、地元警察署に盗難届を出しに行きました。応対してくれた警官は初対面でしたが、お互いにうちとけた感じになってよもやま話に転じました。

庶民的で好感の持てる警官はこんなことを話しました。匿名の通報者の存在です。選挙には匿名の通報者が次々現れるものだというお話でした。

選挙になったら電話がしょっちゅうかかってくる。今どこそこの家へ金持っていっとる、今どこそこの家へ戸別訪問しとる、というような電話が次々入ってくると言います。そのたびにパトカー出さんならん。そんなもん電話かかってからパトカー行ってもなあ、誰も居よらへんのはわかってんのや。それでも電話かかったらパトカー行かんならん。

今年2016年7月の参議院選がらみで起きた大分県警別府警察署ビデオ盗撮監視事件で、この話を思い出しました。

ビデオ盗撮監視事件のきっかけは、特定の政治的陣営をを貶めようとする匿名あるいは匿名とされる通報者によるものであり、警察は渡りに船とばかりに乗ったのではないか。匿名あるいは匿名とされる通報が、警察の政治的取り締まりに「情報提供があったからという正当性」を与えているのではないか。

連合大分の公開質問状への9月9日付け大分県警回答書では、ビデオ設置の動機・目的・経過を次のように述べています。

(9月9日付け大分県警回答書から)
別府警察署では、第24回参議院議員通常選挙の違反取締りにおいて、①公示日(※6月22日)より前に、公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物が、これに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手したことから、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取する目的で、平成28年6月18日の夜に、別府地区労働福祉会館敷地内にビデオカメラ2台を設置し、同会館関係者に発見される同月24日までの間、断続的に同敷地内を撮影していました。

毎日新聞西部朝刊は次のように伝えています。

(毎日新聞西部朝刊2016年8月14日付から)
大分県警別府署が野党支援団体の施設の敷地に無許可で隠しカメラを設置した問題で、②同署の目的が選挙運動を禁じられた自治体の特定公務員「徴税吏員」の出入りを確認するためだったことが、捜査関係者への取材で分かった。③署に事前に情報が寄せられたが、カメラを設置した参院選公示前後の6月18~24日の間、この公務員の出入りは確認されなかったことも判明した。

 徴税吏員は地方税法に基づき首長から委任され、税金を徴収するなどの権限がある。県警は2013年の前回参院選後、県内の別の市の税務課職員を公職選挙法違反(特定公務員の選挙運動の禁止)容疑で書類送検しており、今回も同様の立件を狙ったとみられる。

上の①~③下線箇所から、特定公務員「徴税吏員」すなわち県税事務所や市町税務課の職員を目標の一つに定めていたところへ、個人名を特定した通報があったのでしょう。それは匿名の通報者であったかもしれないし、警察の意を受けた通報者であったかもしれません。

いずれにしても、私が昔に聞いた話のように、通報があってパトカーが出動するというような単純なものではありません。特定の政治陣営に的をしぼり、きっとやるだろうという予断を持って、計画的に網を張って待っていたのです。


ええ話あったら頼んまっせ
上の盗難届を出しに行ったとき受け付けてくれた警官は人の好い庶民肌でした。よもやま話をする中で、「ええ話あったら頼んまっせ」とも言いました。

この話の流れは選挙のことでなく、市町村の首長・議員・公務員の不始末に絡んでのことでした。私は汚職のことと受け取りました。奈良県で公共土木工事は主要産業でしたし、工事業者と公職者の間で贈収賄が珍しくありませんでしたから。1990年代の古い記憶がよみがえりました。


1996年(平成8年)新進党選挙
職務質問で足止め 特定政治陣営に打撃を図る
もう一つ、警察が一方の政治的陣営に打撃を与えるやり方を見聞した経験があります。

1993年(平成5年)8月、細川内閣発足、自民党下野
1994年(平成6年)6月、村山内閣発足、自民党・社会党・新党さきがけの
           連立政権
1994年(平成6年)12月、新進党結党大会、初代党首・海部俊樹
         結成時の所属国会議員数は214人(衆176人、参38人)
1995年(平成7年)12月、新進党党首選、党首・小沢一郎
1996年(平成8年)10月20日、政権交代を賭けた第41回衆議院議員総選挙
         解散前よりー4議席、政権交代成らず

この平成8年衆議院選挙は、自民党と新進党の政権を賭けた激しい選挙戦になりました。もちろん、選挙戦の渦中にあってはどちらが勝利を得るのかわからないほどの激戦でした。

奈良3区の選挙では、自民党・奥野誠亮と新進党・森本晃司の対決になりました。奥野候補は奈良県では自民党の天皇とも言われる大物議員で、これが落ちれば奈良県の自民党がつぶれるようなもので負けられない。当時、新進党の人気は高く、「奥野危うし」と囁かれる選挙情勢でした。

新進党は「小沢党首来る」というようなビラをあちこちに貼っていました。投票日3日前だったと思います。たぶん10月17日木曜日、奈良3区に異変が起きました。警察が一斉に、新進党支持者の尾行や職務質問をしました。

そのうちの一人の話を直接に聞きました。

ショッピングセンター近くを原付バイクで通りがかったところ、電柱に貼られた「小沢党首来る」というビラが垂れ下がっていたので、剥がれている部分を貼りなおした。どのようにして貼り付けたのか子細は聞き漏らしました。しかしその人は、選挙事務所の関係者でもなく運動員でもない、ただの新進党支持者でした。

何事もなく家に帰ったら、すぐに刑事が2人やってきた。貼りなおしたところを見ていたうえに、原付バイクのナンバーを控えたらしく、家に来た。ナンバーで住所を調べて来たのか、尾行して来たのかはわからない。二人の刑事は、たいしたことを聞かなかった。何をしていたのかとか、なんでそんなことをしたのかとか、を聞き取って帰って行った。

話してくれた人はたいへん怖がっていました。通りがかりに見たビラが垂れているのを見て、ふと気が向いてを貼りなおして、家に帰って来た。刑事が自分を見張っていたということと、刑事が自分の住所を知っていたということで、その人は怖がっていました。

ずっと後に、奈良3区の地域で似たようなことが一斉に起こっていたと聞きました。

投票日3日前(だったと記憶しています)の異変。
警察はただ単に職務質問をするだけ。
普通に生活をしているただの支持者。
彼ら彼女らに畏怖を与えて足止めをする。
こんな、警察の動きがありました。

下馬評では「奥野誠亮危うし」でしたが、投票結果は「奥野当選」でした。このことで当落の結果が左右されたとは思っていません。

しかし、選挙干渉と受け取られるような警察の動きは、「自民党政権を守るための治安組織」という、隠された警察の顔が姿を現したものと言えます。




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