川本ちょっとメモ

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日米同盟政策提言 アーミテージ・ナイレポート(3了)

2015-03-24 13:05:49 | Weblog




アーミテージ・ナイレポート(3了)では、その『INTRODUCTION(はじめに)』邦訳文を掲載します。邦訳の出所は、http://ch.nicovideo.jp/iwj/blomaga/ar90847 です。小見出しと※①~⑥は、川本が付けました。

アーミテージ・ナイレポートは米国政府の報告書ではありません。ですからこれをもって、日本政府の外交方針が大きく左右されるというわけではないでしょう。

しかしながら、情勢分析や行動指針として、安倍首相が価値観を共有していることはまちがいないところと思います。安倍政権がこの報告書の影響を受けたというよりもより積極的に、安倍首相が待ち望んでいたことかもしれません。

レポート「INTRODUCTION」にある「一流国家」への誘いは、日本人の心をくすぐります。しかしアーミテージ氏やナイ氏、安倍首相が描く一流国家のカタチは武力(軍事)偏重とは言えませんか? 武力で一流国家に成りたいと思う国民は、どれほどいるのでしょうか? 

中国台頭に対して日米安保(武力)立て直しを急ぐ日本政府を見ていると、民生、文化などの交流から成長してゆく安全保障の側面が置き去りにされている感があります。

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<■INTRODUCTION>

◇基本認識――危機にある日米同盟

 この日米同盟報告書は、日米関係が漂流している時期(※2012年8月)に発表される。日米両国の指導者たちが無数の他の課題に直面しているとき、世界で最も重要な同盟の1つの健全性が危機に瀕しているのである。米国務次官補カート・キャンベルと、両政府内の彼の同僚たちによって、同盟の安定は大方保たれてきたが、同盟地域内外における今日の課題と機会に対処するには、それ以上のことが必要である。※①日米双方は、中国の再台頭とそれに伴う不安定要素、核能力と敵対的意図をもつ北朝鮮、そしてアジアのダイナミズムの兆しに直面している。※②他にも、グローバル化した世界とますます複雑化する安全保障環境には多数の困難な課題が存在する。※③このような今日の大問題に適切に対処するには、より強力でより平等な同盟が必要である。

 ※① 日米同盟の関与命題を明示 → 朝鮮半島有事、中国の台頭とアジア海域
   の安保問題
 ※② 日米同盟の関与命題を明示 → 北アフリカ、アラビア半島、イランなど
   貿易シーレーン
 ※③ 日米同盟の質的改革を勧めている

◇日本は一流国家を選のか、二流国家を選ぶのか?

 上記のような同盟が存在するためには、米国と日本が一流国家の視点をもち、一流国家として振舞うことが必要であろう。我々の見解では、※4一流国家とは、経済力、軍事力、グローバルな視野、そして国際的な懸念に関して実証された指導力をもつ国家である。同盟の支援に関して米国側に改善点はあるが、米国が一流国家であり続けることには寸分の疑いもない。しかしながら、日本には決定しなければならないことがある。つまり、日本は一流国家であり続けたいのか、 それとも二流国家に成り下がって構わないのか? 日本の国民と政府が二流のステータスに甘んじるなら、この報告書は不要であろう。この同盟に関する我々の評価と推奨事項は、日本が大きな貢献を果たせる世界の舞台で完全なパートナーであることに依拠している。

 ※④ 一流国家の条件を明示。これが日本に求める姿、要求条件です。

 我々は、今日の世界における日本の影響と役割を混乱させている諸問題を認識した上で、上記の質問を投げかけた。日本の人口は劇的に老齢化し、出生率は低下している。日本の債務対GDP比は、200パーセントである。日本では、6年間に6人の首相が交代した。そして、多数の若い日本人の間に厭世観と内向性が増大している。しかし、日本の重要性の低下は運命ではない。日本は、一流国家であり続ける十分な能力がある。要は日本がどのような傾向をもつかという問題にすぎない。

◇「日本は一流国である」という理由

 日本は多数の課題に直面しているが、日本の国力と影響力には、同様に多くの過小評価され十分に活用されていない側面が存在する。日本は世界第三位の経済圏であり、中国の2倍の消費者セクターをもつ。日本は、改革と競争によって解き放たれる可能性のある巨大な経済的潜在力をもち続けている。自由貿易と移民に対する開放性と女性の職場進出が増大すれば、日本の国内総生産(GDP)は著しく成長するだろうう。日本のソフト・パワーも注目に値する。日本は、国際的に尊敬される国としてトップ3にランクされ、「国家ブランド」としては世界第一位である。日本の自衛隊(JSDF)は、現在の日本で最も信頼されている機関であるが、※⑤時代錯誤の制約を軽減できれば、日本の安全保障と評判の向上により大きな役割を果たせる態勢にある。

 ※⑤ 専守防衛、日本近海という行動領域など、従来の日本の武力行使制限か
   ら自衛隊を解放して、中国大陸近海、太平洋、中東で米軍と統一行動で
   きるならば……。

 日本は、世界の平穏な地域に位置する、取るに足りない国ではない。アジア太平洋地域の安定した戦略的平衡のための海の要、国連(UN)と国際通貨基金(IMF)など主要多国籍機関に対する2番目に大きな貢献者、世界で最もダイナミックな半球のためにシーレーンをオープンに保つ米軍のホストとして、米国とその他の国々は日本に頼っている。

◇日本は強い米国を必要とする 米国は強い日本を必要とする

日本が強い米国を必要とするに劣らず、米国は強い日本を必要とする。そして、この観点から、我々は日米同盟とそのスチュワードシップの問題を取り上げる。※⑥日本が米国と肩を並べ続けていくには、米国と共に前進する必要がある。日本は、今までアジアのリーダーであったが、今後もそうあり続けることができるのである。

 ※⑥ 米国が求める姿通りの日本でなければ、日本はアジアのリーダー国の地
   位から転落するだろう……ということ。

以下の報告は、日米同盟に関する超党派研究グループのメンバーの大多数の見解を示すものである。この報告では、特に、エネルギー、経済、世界貿易、隣国との関係、そして安全保障に関する問題を取り上げる。これらの分野において、研究グループは、日本と米国に対して、短期および長期に渡る政策の推奨事項を提言する。これらの推奨事項は、アジア太平洋地域およびそれ以外での平和、安定、繁栄のための力としての日米同盟を支えることを目的としている。

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<参照先>
・邦文全訳
 http://ch.nicovideo.jp/iwj/blomaga/ar90847
・アーミテージ・ナイレポート(海上自衛隊ホームページ)
http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-033.html
・英語原文
http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf

<邦訳 追加>
上記の邦文全訳では、「Conclusion」の節が省略されていますので、拙ないものですが和訳を付しておきます。
   ◇
●結論
日本における論議は現状において、「危機」、「挑戦」、および「優柔不断さ」という言葉づかいにより悩まされている。これらの言葉は国の衰退を示唆しているのかもしれないが、我々はそれがお定まりの結論であるとは信じていない。我々は、日本がきわどく重大な接合点にいると見ている。日本には、戦略的に重要なときに、自己満足とリーダーシップの間で決断する力がある。アジア太平洋地域を通じて起きているダイナミックな変化につれて、日本がこれら地域の運命を導くよう手助けする機会を持つことはないだろう。リーダーシップを取る中で、日本は一流国家としての地位と同盟の対等のパートナーとしての必要な役割を確保することができる。

このような漂流の時期に、しばらくの間トモダチ作戦が米日同盟を手中にした。トモダチ作戦は、ここ3年間の特異な政治的不一致を受けて至急必要とされていた意義と価値を同盟にもたらした。 しかしこの作戦は、直面する種々の挑戦を通じて同盟を押し進めるには十分とは言えないだろう。急速に進展する戦略的状景と巨大な予算への挑戦が、米国と日本の側によりスマートでより適応性のある結びつきを求めている。このリポートに含まれている提言は、米国と日本が敬意を払って前進することができるところの重要な地域に対する試みである。同時に大切なことは、両国の側が継続することだ。

だから最終的な提言として、米日同盟の向上にもっぱら専念する責任者を選任することによって同盟への関与を証明するよう、我々は米国・日本の双方に促すものである。同盟にふさわしい配慮を必要としている。

Conclusion
Current discourse on Japan is plagued with diction on “crises,” “challenges,” and “indecision.” While these words may suggest a nation in decline, we do not believe that is a foregone conclusion. It is our view that Japan is at a critical juncture. Japan has the power to decide betweencomplacency and leadership at a time of strategic importance. With the dynamic changes taking place throughout the Asia-Pacific region, Japan will likely never have the same opportunity to help guide the fate of the region. In choosing leadership, Japan can secure her status as a tier-one nation and her necessary role as an equal partner in the alliance.

In this period of drift, Operation Tomodachi bought the U.S.-Japan alliance some time. It gave the alliance the meaning and value it urgently needed following the idiosyncratic political discord of the last three years. But, that will not be sufficient to carry the alliance through the challenges it faces. The rapidly evolving strategic landscape and tremendous budgetary challenges require smarter and more adaptive engagement on the part of the United States and Japan. The recommendations contained in this report are an attempt to highlight areas in which the United States and Japan can move forward in that regard. Equally important will be follow-through on the part of both nations. So, as a final recommendation, we urge both the United States and Japan to evi-dence their commitment to the U.S.-Japan alliance by appointing a policy director dedicated solely to the betterment of it. The alliance is deserving and in need of this attention.

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。

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