生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

著作権についてのありがちな誤解

2017-05-11 21:18:17 | 思うこと

 ネットのニュースを見ていたら、カラオケで歌う自撮り画像を動画サイトにアップした個人に対して裁判所が著作(隣接)件違反の判決を下したという報道を見つけました。昨日、ゴーストライターに絡む話題を取り上げたこともあり、日ごろから感じている著作権に関する思いを少し披露します。知的財産権としては特許、Patentというものがあるということは多くの方がご存知かと思います。特許は自動的に付与されるものではなく出願人が特許庁に願書を提出し、必要な出願料や審査料を収めたうえで審査請求すると、専門の審査官によって特許にすべきかどうか審査されて拒絶されるべきものは拒絶され特許されるものだけが特許となります。良く”特許申請”と言う表現を耳にしますが、業界用語では”特許”は”出願”するものであって”申請”するものではありません。特許庁に最初に提出書類が”申請書”ではなく”願書”となっているからでしょうか。

 対して、著作権というものは自動的に発生する権利です。特許庁や文化庁等に出願したり申請しようと思っても受け付けられません。文学、美術、音楽、写真や映像、その他の作品が作成者によって作成された瞬間に著作権が発生すると考えられています。特許権は特許庁に出願した日時から20年間有効(国によっては医薬品等一部に限り延長措置あり)ですが、著作権にもその著作物が生まれてから、あるいは著作者が死亡してから何年と決まっています。これも国によって異なっており、年々延長される傾向にあります。日本は先進国としては短い方で著作者が死亡してから50年で著作権が切れるということになっておりますが、欧米では70年というのが標準になりつつあります。業界ではディズニーの著作権が切れそうになる度に米国が著作権の有効期間を延長させている、とも言われています。

 私自身はアマチュアですが、音楽演奏会の企画・運営する側になることもあり、日本では著作権に関わる人たちの間で著作権を守ろう、あるいは著作権で文句を言われない様に気をつけようという機運が一定程度浸透していることを実感しています。著作権がらみで文句を言われる可能性があるとするとどんな場合かですが、演奏会を開催する立場から考えるべきは音楽に関係する著作権だけでよい訳ではありません。チラシ、パンフレット、チケットに使う絵や写真、デザイン等についても他人の著作権を侵害しないよう注意する必要があります。なによりも演奏する曲については著作権が活きている場合には著作権者の了解を取り付けることが必要になります。無償でも了解してもらえるか優勝になるかは全く持って著作権者が選択できる問題です。

 多くの人が勘違いしているのではないか?と危惧しているのは、自分たちが主催する演奏会そのものが有料ではなく無料、したがって営利行為ではないから、他人が著作権を有する曲を演奏(あるいは音源を再生)しても当該著作権違反にはならないだろう、ということです。では何故入場料を徴取しない無料の演奏会でも他人の著作権を侵害することになる可能性があるか、という疑問が生じるかと思います。説明します。仮に貴方が主催しようとする演奏会が無い場合に著作権者の作品が演奏される他の有料の演奏会やCD等の音源を購入しようとしている第三者がいる可能性があります。ところがその第三者が、貴方が入場無料の演奏会を開催することを知ったことで有料の演奏会へ行くことや有料の音源を購入することを止めてしまった場合には、著作権者がその第三者から得られたであろう著作権料を得られなくなる、という場合が想定されます。これはあくまでも可能性の話であって、実際にどうなるかは判りませんが、他人の著作権を侵害する可能性があるかどうか?ということに関しては、この様な場合も想定されるということです。

 ことほど左様に、法律というものはそれがどの様に運用されるかによって社会生活一般について非常に大きな影響を与える可能性があります。知らないうちに他人の著作権を侵害している可能性は現代では全くないとは言えません。一方で、実際に他人の著作権を侵害していたとしても著作権者が著作権侵害を申し立てない限り、いきなり警察に逮捕されるということもありません。それでは著作権者は常に自分の著作権に関して目を光らせていないと侵害され放題にならないとも限りません。案外著作権者というものは弱い立場だと、私としては実は感じています。ところで著作権はその行使を第三者に委託することも出来るので、音楽の場合にはその役割を担っているのがJASRAC等の団体になります。ということで現代の日本ではJASRAC等の著作権管理団体が著作権侵害について目を光らせている、ということになります。

 最近の話題としてはJASRACが大手音楽教室に対して著作権料の徴収を求めている問題がありますね。音楽教室側も対抗する団体を作ってJASRACの主張が無効であると裁判所に申してているところだと認識しています。この問題に関する私自身の立場は、音楽教室内のレッスンや発表会などで使う楽譜に関して、著作権を侵害する無料コピーを渡すという様な行為が全く行われず、先生も生徒もそれぞれが使う楽譜について正規の著作権料を支払っている楽譜を使っている限りは、JASRACが著作権料を請求する方が無理だと思っています、つまり指導者も生徒も正規に著作権料が(定価に)含まれている楽譜を購入している限り、正規の楽譜に対する金額を楽譜の販売者に対して著作権料を支払っているので、その上で音楽教室が別途JASRACに著作権料を支払うことは著作権料の二重払いになると思います。

 そういえば何人かの作曲家、著作権者の方は音楽教室内では自由に演奏してかまわない、というメッセージを発していましたね。権利者が一々許諾しなくても使用してかまわないと言っていれば、現に有効な著作権自体は存在しているものの誰からも著作権侵害で訴えられることはないはずです(この場合、自由に演奏してかまわないと言った著作権者とJASRACとの間で契約がどの様に結ばれているかによりますが、通常これらの契約内容を知ることはできないので、”はずです”という言い方にしかなりません)。

 著作権は、著作権者が権利侵害を申し立てたうえで侵害事実を立証しない限り保護されない、この点では弱い権利とも言えます。だからこそ?あらゆる創作物が生まれる瞬間に発生する広い権利と言えると思います。自らも著作権を生み出している人は、他人の著作権も尊重しましょうね。

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