生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

理想の楽器を空想してみました。 スライドフルート。

2017-03-18 23:22:49 | 器楽・楽器

 吹奏する管楽器の中で大きい音がするイメージがするのは、何と言ってもトランペットやホルン、トロンボーンといった金管楽器ですよね。貸練習室や貸スタジオでも、金管楽器はお断りというところもあったりします。何故金管楽器は大きな音がするのかと言えば、歌口=マウスピース側の直径1㎝以下の管から開口部のベルに向けて断面積がどんどん大きくなっていくからですね。歌口からの距離に対して管の断面積が指数関数的に広がっていく、いわゆるエクスポネンシャルホーンになっている時が最も無駄なく=効率よく音量が増幅されます。木管楽器でも歌口付近の管径よりはベルの管径の方が広がってはいますが、金管楽器に比べれば理想的なエクスポネンシャルホーンからのズレが大きいため、金管楽器ほどの音量を吹奏することは出来ません。

 木管楽器の中では発明された年代が最も新しい楽器としてサキソフォーンがあります。金管楽器と木管楽器の良いとこ取りをした楽器とも言えますが、木管楽器の中では歌口からベルに向けての管径の拡大が最も大きく、エクスポネンシャルホーンに近いと言えると思います。古い時代のトランペット等は管体の途中にトーンホールを開けて音階を吹奏するように作られており、金管楽器の管体に木管楽器のマウスピースをつけたものがサキソフォーンだとも言えるかと思います。では、木管楽器の管体に金管楽器のマウスピースをつけた楽器はこれまでに存在していないのでしょうか? どうやら木管楽器の管体に金属楽器のマウスピースをつけた楽器は存在していないようですね。

 更にもう一つ。全ての木管楽器は管体に設けた多数のトーンホールを順に開閉して音階を吹奏します。金管楽器の殆どは管体の途中に設けた3つ以上のピストン又はヴァルブを操作することで実質的な管長を変えて音階を吹奏します。しかしトロンボーンは管体の途中のスライドを伸縮させることで実質的な管長を変えて音階を吹奏します。木管楽器でも管体を二重なり三重のスライド構造にして実質的な管長を変えて音階を吹奏することも出来るはずです。あるいは今あるトロンボーンのマウスピースをサキソフォーンやクラリネット等の木管楽器のものに交換して吹奏することは出来ないものなのでしょうか? 簡単に出来るものならこれまでにその様な楽器が登場しているはずです。ということは、金管楽器の管体に木管楽器のマウスピースを交換するということには、いくつかの解決しなければならない課題があるということではないかと思います。エアーリードであるフルート属以外の木管楽器は、オーボエやファゴット等のダブルリード楽器にしろクラリネットやサキソフォーンのシングルりード楽器にしろ、マウスピースを口にくわえる体制となります。一方で全ての金管楽器では円形のマウスピースのリムに上唇と下唇とを押し付けて音を出します。このマウスピースの構え方と、木管楽器は管体に設けた多数のトーンホールを開け閉めする、金管楽器では3つ程度のピストンまたはヴァルブを操作して実効的な管長を変えること、で音階を吹奏するという組み合わせに合理性があるのでしょうね。

 さて、金管楽器とリードを使う木管楽器ではそういうことでとりあえず納得しますが、他の組み合わせがもう一つ考えられますね。エアーリードのフルート属の歌口に、トロンボーンと同じ、あるいはトロンボーンとは違うけれどとにかく管体をスライドさせることで実効的な管長を変えて音階を吹奏する楽器はあり得ないものなのでしょうか? 例えばトロンボーン、あるいはアルトトロンボーンやスライドトランペットの管体を利用して、金管用のマウスピースの代わりに歌口側の管体を水平に90°曲げてフルートの様な歌口を設けた楽器をつくり、トロンボーンと同じようにスライドを動かして音階を吹奏するエアーリード楽器は作れないものでしょうか?

 最近、入門用の楽器としてプラスチック製の各種の管楽器が販売されているようです。あるいは私が愛用しているネットオークションを通じてジャンク品程度のトロンボーンとフルートの歌口とを入手して、何とかスライド式のエアーリード楽器を自作してみようかと思わないでもありません。少なくとも一般的なフルートが得意とする早いパッセージをスライド式エアーリード楽器で吹奏しようとすると、音階がすべてポルタメントがかかる様な感じになり、音程を明瞭に吹奏することが極めて難しくなることは、容易に予想できますね。それでも原理的に異なる楽器が新たに生まれたとなれば、その楽器の特性を生かした作品を作曲家が作曲してくれるのではないかと思います。試作品を作って検証してみるしかないでしょうね。


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