あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

佐藤正午著「月の満ち欠け」を読んで

2017-12-08 11:44:17 | Weblog


照る日曇る日第1013回


夭折したわが子が、2代、3代、4代と、さながら月が満ち欠けを繰り返すように彼岸と此岸を幾たびも渡って蘇る。その再生が子供のみならず死せる愛妻にまで及んでいたことを知って愕然とするところでこの奇跡的な夢物語が感動的にストップモーションすると、なるほどそんな塩梅に誰もが輪廻転生を恒常的にに繰り返すようになれば、生も死も、いまよりずっと豊かで楽しいものになるに違いないと思ったことであった。

手垢にまみれた輪廻転生譚も、三島由紀夫の「天人五衰」の原型からずいぶんとカジュアルになり、ポピュラーに垢ぬけてきたものよ。

まあチベットのダライ.ラマなんかはそういう仮説を前提にして生まれ変わりを大捜索しているわけだが、それを全地球的視野で展開することになるわけだ。

それにしても、イアン・スチーブンソンの「前世を記憶する子供たち」をはじめ数冊の参考文献、そして与謝野晶子と吉井勇の短歌を効果的に駆使して、よくもこんな緻密なサスペンスフル人情ドラマを書いたものだ。最後の数ページは圧巻。されど章や節を表示する時計の針や月の満ち欠け図の意味はいくら考えても分からなかった。



   瑠璃も玻璃も照らせば光る人あれどわれはさしずめ嚢中の錐 蝶人
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