医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

映像「暴行認定できず」 5年前、証言も乏しく 石郷岡病院事件

2017-03-15 19:33:42 | 傍聴記
 千葉市の精神科病院「石郷岡病院」で2012年、入院中の弘中陽さんが介助中に暴行を受けて寝たきりになり、2年4カ月後に死亡したとされる事件で、千葉地裁は14日、傷害致死の罪に問われたいずれも元准看護師の菅原巧被告(63)=千葉市若葉区=に罰金30万円、男性(67)=市川市=に無罪を言い渡した。公判では弘中さんが生活していた保護室内のカメラ映像が証拠採用されていたが、地裁は映像は真上から撮影され不鮮明だったとし、映像からは「暴行を認定することはできない」と結論づけた。

 検察側が弘中さんの死因につながる暴行が加えられたと指摘していた時間帯は12年1月1日午後4時15分ごろ。公判では2人と一緒に保護室に入った看護師女性も証人として証言台に立ったが、約5年前となる当日について「画像で自分がそこにいたのは分かるが、記憶に残っていない」などと繰り返した。被告人質問では、1秒間に4枚の画像が録画されていたカメラ映像の静止画なども示されていた。

 判決で高橋康明裁判長は、菅原被告の行為について「ほぼ真上から撮影されているため、菅原被告の上げた左右の足が具体的にどの高さに位置するかは、映像上明らかでない。菅原被告の足が弘中さんの頭に当たっていることが明らかな画像は残っていない」と、数回踏みつけたとされる暴行を否定。弘中さんの上半身を押さえつけていた男性については「上から覆いかぶさるような体勢の男性のひざがどの位置にあるか、ひざに体重をかけているかも明らかでない」と、いずれも検察側が指摘する暴行行為を退けた。

 一方で、菅原被告が暴行したと結論づけた映像については「映像上、左足で弘中さんの頭を1回蹴ったと考えるのが合理的」などと判示した。

 死因とつながった頸椎(けいつい)骨折と男性による抑制行為との因果関係については「仮に、結果として弘中さんの首付近に力を加えるようなことになったとしても、男性による抑制行為は看護行為として必要な限度を超えず、看護目的での抑制行為」と認めた。

 量刑理由で高橋裁判長は「菅原被告は、看護行為の中で抵抗する弘中さんの足が当たったことに腹を立て犯行に及んだ。本来患者を守るべき准看護師による衝動的暴行は強い非難に値する」と指弾した。

 菅原被告の弁護側は「判決の結果が複雑で精査が必要なのでコメントは控えたい」、男性の弁護側は「取材には応じられない」とした。

 千葉地検の互敦史次席検事は14日、「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対処したい」とコメントした。

2017年3月15日10:26 千葉日報
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