勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

それでもボクはやってない(2007年)

2007年02月03日 | 邦画
周防正行監督の『Shall we ダンス?』以来11年ぶりの作品。その11年ぶりの作品は、これまでの周防作品とは全く異なる社会派の映画。しかもその内容は、単に映画と言う枠を超え、ほとんどドキュメンタリーと言ってもいい様な、非常に重い、意味のある内容となっています。

重すぎます。通常、映画と言うものは娯楽作品なので、何らかのストーリ展開や、明るい結末に向かって、何らかのドラマがあるものですが、この作品には一切そう言う要素はありません。それが先の「ほとんどドキュメンタリー」と言う感想に出ています。敢えて結末は記しませんが、「えーーーっ!」と言う、結構救われない結果(ほとんど結末を言っていますね)になっています。無実の人が、犯罪者に仕立て上げられていく。怖すぎます。これほど救われない映画は珍しい&初めてです。

この作品では、周防監督自身がいろいろなメディアで公言しているように、日本の裁判制度の問題点が凝縮されています。警察の留置場に長期間拘留しての威圧的な取調べ、通知されない被疑者の権利、(特に痴漢犯罪では)行われることの無い捜査と被害者証言だけでの犯罪立証、やる気の無い当番弁護士、被告側への過度な立証責任などなどなど・・・。まぁ、当番弁護士の件に関しては、この映画の場合はいろいろとその理由もあるんですけどね。それにしても怖すぎる話です。日本の刑事裁判の有罪率は99.9%だそうで、70%〜80%程度と言われているアメリカの有罪率と比較すると驚異的です。この有罪率の異常は低さは、日本の警察・検察が優秀であるという(本当か?)理由を差し引いても、明らかに異常。これでは裁判ではなくて、単に量刑を決めるだけといっても過言ではないですね。劇中、「裁判官も官僚だから」という意味合いのせりふが出、また、無罪判決を裁判官が書く難しさも語られていますが、それでも酷すぎます。これを見ると、犯罪者にならないためには、自己防衛しかないということを心新たにしました。おっさんばっかりの電車に乗るとかね(笑)。いろいろと考えさせられますよ。

主役の金子徹平役の加瀬亮ですが、何と言うか、何処にでもいそうな青年の役を非常にうまく演じています。ああいう普通の役って、結構難しいんじゃないですかね。それと、金子の弁護をすることになった新人弁護士須藤莉子役の瀬戸朝香。彼女って、何か、結構弁護士役多いですね。まぁ、結構硬いそう言う雰囲気のする女優さんですが。一番いい、と言うか、怖いと思ったのが、裁判官室山省吾役の小日向文世。小日向さんって、パッと見、フンワカした雰囲気で優しい感じがする人ですが、ドラマなどでは、結構こういう冷たい役が多いですね。イメージと、役柄の、どちらが本当の小日向さんなのでしょうか? 最後にTIPS。監督の苗字”周防”の読み方ですが、”すおう”ではなく”すお”が正しいそうです。

タイトル それでもボクはやってない
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/日本
監督・脚本 周防正行
出演 加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、役所広司、田中哲司、光石研、正名僕蔵、小日向文世

[2007/02/03]鑑賞・投稿
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1 コメント

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TBさせていただきまいした。 (タウム)
2007-11-15 18:57:27
映画では語れなかったこと、裁判だけではなく事件や事故の捜査や取調べのやり方なんかにまで、監督は疑問を元検事の弁護士にぶつけていて、裁判とか捜査とかほんとに変えなければならないなと痛感しました。

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