凡人日記

poco a poco でも成長を

トリオコンサート大阪・曲紹介(Sax SOLO②編)

2017年09月21日 | 自分の本番

さて、前回(SaxSOLO①)に続き、今回も僕のソロ曲の紹介です。


前回のヴェロンヌでも少し触れた同世代の作曲家ある、フェルナンド・デュクリュック(Fernande DECRUCK)作曲の叙情的歌曲より第3、5番です。




デュクリュックは1896年にフランスで生まれた、オルガン奏者であり、作曲家です。ちなみに女性です。
幼い頃からピアノを習い、1918年にパリ・コンセルヴァトワールに入学します。その後はオルガン奏者としてアメリカへ演奏旅行を行います。
そして数年に渡りオルガン演奏と作曲活動を行いながら、ニューヨークに住むことになります。
このときにはじめてサクソフォーンの作品を書きます。なんと旦那様はサクソフォーン奏者。さらにはニューヨーク・フィルハーモニックの「専属」奏者だったのです!!
オーケストラに専属サクソフォーン奏者とは、、、後にも先にも彼ぐらいではないでしょうか。。

さてさて、1933年にデュクリュックはフランスへ帰ります。
トゥルーズ音楽院の講師になり、作品が披露される機会が多くなると同時に、作曲に集中するためオルガン活動を休止することになりました。
1947年からまたアメリカに渡り、多くの作品を生み出し、フランスへ帰国。
そのころから容態を悪くし、作曲に支障をきたすほどの病に侵されます。
大曲が書けなくなってしまったので、室内楽的な小品や過去の作品の改訂に専念します。しかし、状況は悪化するばかりで、1954年に亡くなります。


今となってはサクソフォーン奏者かオルガン奏者にしか知られない作曲家となってしまいましたが、現在も演奏される多くの楽曲は美しさに富み、表情の豊かさ、色彩感はさすがはフランス人と感じます。
1933年から1939年の間にサクソフォーンの作品が多く作られました。
驚くところは、その頃はまだマルセル・ミュールなどの名手たちと連絡をとっていなかったそうです。
旦那のために書いたのかは定かではありませんが、すくならず影響はあるでしょうね。

そして、彼女のサクソフォーンの作品で一番の人気はソナタでしょうね。
僕も試験で演奏したことがあります。

が、

それ以外の彼女の曲をご存知でしょうか。

試験でソナタを演奏した後、こんなに美しい作品を書く作曲なら他の作品も演奏したい!と思い調べたのですが、作品はあれど演奏された記録はなかったり。。。
もったいないし残念でしかたがないので、僕が発掘して演奏していこうと思ったのが、今回の選曲の理由です。



そんな数ある秘曲?!の中から今回は叙情的歌曲より第3番、第5番を演奏します。
どちらの曲もEs-Durが中心となっています。サクソフォーンに優しいですね。(笑)

第3番はLento espressivo(ゆったりと表情豊かに)というメッセージから始まります。
これぞデュクリュックと言わんばかりの素敵なメロディー。歌い終えると今度はピアノが同じメロディーを奏でます。ここでのサクソフォーンの絡みも美しいです。
序奏が終わると、今度は速いテンポになります。ピアノのビートに載せてサクソフォーンはタンギングの嵐。。。
難しいように聴こえてしまいますが、微妙に移り変わるピアノのビートの色、サクソフォーンとピアノの会話など楽しめるポイント多数です。ぜひいろいろな角度から聴いてほしい部分です。
激しい運動の後は少し休憩。曲もだんだんとゆっくりになっていきます。

今度はpでピアノが前半と同じビートを刻み始めます。サクソフォーンもマネするようにpでタンギングの嵐。
しかし2回目はすぐにスピードダウン。音階のようなフレーズを演奏しながら徐々にスピードを取り戻していきます。まるで電車が出発していくようです。
元のテンポに戻ったかと思うと、サクソフォーンのカデンツァに入ります。短い曲ながらカデンツァを挟むとは、楽曲の構成が素晴らしいですね。
カデンツァの最後の和音から生まれてくるのは一番最初のフレーズ。
あぁ美しい。。。
最後は本当にきれいに終わっていきます。
構成が素晴らしい上にメロディーも美しく、本当に素晴らしい作品だとつくづく感じます。



第5番はアップテンポから始まります。
ピアノとサクソフォーンの掛け合いがテーマと言わんばかりに、冒頭から会話のキャッチボール。
サクソフォーンの独り言を挟み、冒頭のキャッチボールのフレーズを短縮した伴奏をピアノが奏でます。そこにサクソフォーンの美しいメロディーが乗ります。
この曲の唯一のメロディックな部分と言っても過言ではないと想います。
しかしすぐさま冒頭と同じことを繰り返します。

次は怒涛の16分音符の世界。
ピアノもサクソフォーンも16分音符で拍を埋め尽くします。
と思っていると、今度は拍の感じ方が倍になり付点の世界へ。
ここも掛け合いが特徴的です。

次はミステリアスな世界。
面白いのが、はじめはピアノが演奏していることを途中からサクソフォーンが、はじめにサクソフォーンが演奏しているとこを途中からピアノが、と掛け合いが交差する形をとっていることです。
音符もシンプルなのに、しっかりとミステリアスで改めてデュクリュックの素晴らしさを感じる部分でもあります。

そして難所?!であるVivoの世界。
ここも、もちろん掛け合いなのですが、途中からピアノがずれて追いかけてきたりと演奏するのは大変!
しかしここも楽譜が面白いのです。モティーフとして使われているのはなんとミステリアスな世界のメロディー!
そしてサクソフォーンが3連符を、ピアノが8分音符を演奏した後にすぐに役割が入れ替わります。これもミステリアスな世界で見た手法ですね!

音楽の熱はとどまるところを知らず、そのままサクソフォーンのカデンツァへ入ります。

最後は最初を思い返すような掛け合いで終わりを迎えます。



こうしてみると3番を溺愛しているように見えますが、どちらの曲も大好きです。
美しいフランス音楽がベースになりながらも、様々な世界観がそこにはあり、吹いても、聴いても楽しめる曲だと自負しております。


ちなみに、叙情の意味とは、、、

叙情(抒情、じょじょう)について、大半の国語辞書では「感情を述べ表すこと」を指し、叙事(事実を述べ表すこと)の対義語とされるが、各分野に置いて若干意味合いが変わる。広義では非常に感慨深い様子、対象に対して情緒溢れるものを感じること、胸が締め付けられるような切なさを超えた深い感動を指すもの…

とWikipediaでは記載されています。
音楽で用いられることが多いとかで、ぜひそちらもご覧になってください。




滅多と演奏されない曲です!
そもそも楽譜も現在販売されているのか不明。今回は学校のものをお借りしての演奏です。

ぜひ生でデュクリュックのソナタとは違う一面を体験してください。
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