加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

雪舟の絵に見る平明さのさきがけ

2005-08-24 00:43:46 | Weblog
 今回はコラムです。
 東京の根津美術館では「明代絵画と雪舟」が開かれています。7月下旬久しぶりに「浩然の気」を養うべく、根津美術館を訪れました。
 今年は日本の水墨画を代表する室町時代の画僧、雪舟等楊(とうよう)が亡くなってほぼ500年になります。「明代絵画と雪舟」は、明時代の絵画60点と雪舟の晩年の作品「慧可断断碑図(えかだんぴず)」(国宝)を初とする雪舟作品10点を比較展示しています。
 雪舟は応仁元年(1467年)に遣明使節に加わって入明して以来、足掛け3年にわたって中国大陸に滞在しました。この時期、明時代中期の画壇の中心は、長有声、李在(りざい)などの宮廷画家でした。これらの宮廷画風の特徴は、濃密な描写です。雪舟はこれらの宮廷画家に相随って画法を学んだと晩年述べています。
 しかし、雪舟の作品はこのような濃密な描写というよりも、当時蘇州で台頭してきた呉派文人画の祖とされる沈周(ちんしゅう)の影響も強く受けたようです。
 今回の比較展示を企画した東京大学の板倉聖哲(まさあき)助教授は「平明さを主張するかのごとく見えるのである・・・・晩年になるにしたがって筆触があらわになり、その傾向は顕著になっていく」と述べています。
 さらに板倉助教授によると、その後の東アジア絵画の先駆的なものと捉えることもできるようです。
 「そうした雪舟画の鋭意を日本的とみなすこともできる。のみならず・・・・筆触の効果、平面性を考えれば、東アジアにおいて、雪舟画を先駆的なものと捉えることもできるだろう」

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