独立記者の挑戦 中国でメディアを語る

27年間の記者生活を土台に、国境を超えた普遍的な価値を追求する

アニメを通じて中国に流入する日本語の音訳(続き)

2016-10-17 01:08:38 | 日記
アニメの影響で、日本語の音がそのまま中国語の漢字で音訳されているケースが目立つようになった、といくつかの例を挙げたら、もっとあると教えられた。

「米那桑三(minasan)」 みなさん
「纳尼(nani)」 なに!?
「啊里嘎脱(aligatuo)」 ありがとう
「撒腰那拉(sayaonala)」 さようなら

まだまだ増えそうな勢いだ。

2014年5月11日、読売新聞紙面に書いたコラムを思い出した。日中の言語交流に関するものだ。参考のため以下に添付する。



日中「友好」に代わる漢字
◇中国駐在編集委員 加藤隆則    

 先日、中国の時事雑誌編集長と会食をした際、「今日の服装はすごく『萌』だね」と言われてびっくりした。「萌」は中国語で「meng」と発音する。日本のアニメで使われる「萌(も)え」が伝わり、ネットを中心に「かわいい」といった意味で広く使われている。彼の年齢は50歳近い。情報のグローバル化で自由に国境を行き交う若年世代が新時代の言葉を創造している。
 日本留学経験のある39歳の中国人女性は、中学生の娘に「テストはできた?」と尋ねたところ、「微妙(びみょー)」と日本語で返答されたので驚いた。日本のアニメで覚えたものだ。中国語の「微妙(weimiao)」は表現しがたいものを形容する言葉だが、「びみょー」は否定的な意味を含む。これもまた日本式漢字の輸入と言ってよい。
 一方、日本の漢字には中国の文化史も刻まれている。一つの漢字に異なる音読みがあるのは、中国から伝わった時期、地域の違いを反映する。また、「湯」は熱い水だが、現代中国語では主にスープの意。「湯」は中国元来の用法をとどめる。中国は字体も簡略化され、日本の方が原形に近い。
 漢字を日常的に使用している日中は、交流も深いが誤解も生まれやすい。たとえば理解と了解。日本では「あなたの主張は理解するが了解はしない」と言うが、中国では「了解したが理解はできない」となる。相手の意向を受け入れる度合いが逆だ。同じ文字、異なる文化による相互理解はかくも難しい。
 日中友好という言葉がある。1972年の国交正常化を機に多用されてきた両国特有の政治スローガンだ。戦争の歴史を乗り越えようとする特別な意志が込められているが、「友好」の文字と意味を共有していると信じられてきた。
 中国は日本の軍国主義と戦争被害者である一般国民を分け、後者に「友好」を呼びかけてきた。片や日本はA級戦犯と戦死した兵士を合祀(ごうし)することに多くの人々が違和感を持たないまま戦争の反省を続け、「友好」を夢見てきた。漢字は同じでも中身は異なっていた。
 「日中関係は戦後最悪」と言われる。そこには国交正常化から、日本が中国の改革・開放政策を支援した80、90年代に至る蜜月時代の思い出が下敷きにある。先人の努力は尊いが、援助する側とされる側の関係から、中国が国内総生産(GDP)で日本を超え、相互依存へと経済的な関係が変わった今日、過去との比較から突破口は見つからない。
 言葉の交流が物語るように、若い世代は次々と新たな動きを生んでいる。貴重な遺産を引き継ぎつつ、その上に新たな関係を築くべき時が来ている。「友好」に代わる新たな漢字を創造すべきではないのか。
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