独立記者の挑戦 中国でメディアを語る

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在中国の外国人が3ランクに分けられるという話

2016-10-15 19:39:50 | 日記
先日、大学内の学生メディアから取材を受けた。取材自体は珍しくないが、テーマが面白かった。中国政府による新たな外国人ランク分け管理制度についての感想を聞きたいのだという。

中国では来年4月1日、訪中外国人に関する新たな就業許可新制度を導入するにあたり、今年10月1日から北京、上海、広東など全国9か所でテストを始めたと報じられた。従来、外国人は専門家と就業との2タイプに分けていたが、その管理を一元化し、今度はABCランクに格付けをする。中国人力資源社会保障省が発行する新聞『中国組織人事報』によると、A類は高度の専門性を持ち、またイノベーションにかかわる人材。B類は管理や技術の専門家であって、国際貿易やスポーツ、文化、教育文化の分野で中国人でも代替可能な仕事は制限を受ける可能性がある。C類は非技術、サービス部門の人材で、厳しく制限を受ける。

つまり、中国の経済社会建設に貢献する有能、有用な専門家は歓迎するが、中国人の就業機会を奪う一般職の人材や、必要度が低い単純労働の人材は排除するということだ。給与や教育水準、中国語能力、年齢などによってポイントをつけ、85点以上はA、それ未満で60点以上はB、それ以下はCとなる。

広東省はテストエリアの一つだが、今のところ大学には関係部門からの通知が来ていないという。北京でも動きがみない。各地方とも戸惑っているのだろう。構造改革が大きな政治課題の懸案になっており、実際、大都市は国際シンポジウムの開催や名誉市民称号の表彰などによって、とっくに優秀な人材の発掘や確保を進めている。地方間で外国人の人材争奪戦が繰り広げられているのだ。

学生記者から「どんな感想を?」と聞かれ、

「不透明な基準でランク付けされるのは気持ちいいもんじゃないよね。まあ肝心なのはビザだから、ビザさえもらえればどんなランクでも気にしない。むしろ気になるのは政府の評価じゃなくて、学生や大学からの評価かな」

と答えた。中国には200万人の外国人がおり、うち30万人が不法就労だと言われている。政府の意図は高級な人材を集める一方、こうした不要な違法分子を追い出すことある。改革開放後、外国の資本と技術に頼って成長を続けてきた中国が、ようやく外国の人材に対し選別を始めたということだ。外国人であれば猫も杓子も「外賓(ワイビン)」と言ってもてはやされた時代は終わったのだ。

だが露骨にランク分けするのはいかにも合理的な中国人的発想だ。中国人からすれば、優れた人はきちんとしかるべき評価を与え、称えるべきだということになるのだろう。平等主義に慣れた日本人にはちょっと抵抗があるに違いない。

中国の生産年齢人口(15~59歳)はすでに2012年から減少に転じている。高成長は望めない中、サービス産業やイノベーションで優位に立つ外資の導入が喫緊の課題である。と同時に、国内賃金の上昇で、安価な途上国の労働力に頼らなければならない時代も遠からずやってくる。自国民の就業機会を確保しつつ、代替の出来ない有益な外国人のみを呼び込む戦術は、頭で描くほど簡単ではないだろう。自分がニュースの渦中にいることに気づかされ、不思議な感覚がした学生からのインタビューだった。
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