J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

岡山トップスポーツファミリー(ファジアーノ等)、スポーツ文化等「岡山からJリーグ百年構想を」。情報リスペクトブログ。

地域に溶け込む川崎フロンターレ56

2015-05-18 00:04:36 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。
 昨日のFOOT×BRAINで、「陸上競技場が夢の空間に!スタジアム論」というテーマで、改修されたJ1川崎の等々力競技場の特集がありました。去年まで川崎さんが、スタジアム改修の署名運動を大々的にされていたのはしっかり認識していました。ただ、今回の特集を観て、改めて川崎さんの奥深さ、Jクラブの先の先を走る、異次元のクラブだと思います。以下、抜粋して紹介。
   
 久しぶりのJ1川崎の天野プロモーション部長の登場。川崎市に根付いた(草の根活動)プロモーションでファン層を拡大してきた仕掛け人と番組では紹介。その天野部長曰く、サッカーは世界的にメジャーなスポーツだが、Jリーグはマイナーなスポーツ。大事な事はスタジアムに来てもらう事。スタジアムは楽しいんだよ。試合以外にも楽しい事がたくさんある、そこにみんな力を入れて盛り上げていく事が大事。

【等々力競技場の改修に至るまで】
・Jリーグ・ホームスタジアムの内訳: サッカー専用スタジアム=7 / サッカー・ラグビー専用型=16 / 陸上競技場=29
 Jクラブの半数以上が自治体から陸上競技場を借りているのが実態。等々力陸上競技場は'97年からJ1川崎が使用。建設からおよそ半世紀、様々な問題が露呈。
①J1浦和が来ると、跳ねるサポーターのために、スタジアムが揺れてミシミシ言うくらいにきしむ。いろいろ改修はしていたが、継ぎ足して持ちこたえてきた。
②雨漏りがひどかった。
③スタジアムの外壁がひび割れてしまっていた。
 そこでクラブはサッカー専用スタジアム構想で動き出したが、「都市公園法」の建ぺい率がネックとなり、どうしても無理という結論が判明。同じ敷地内に専用スタジアムを作ると建ぺい率が50%を超えてしまうために実現できなかった。
・都市公園法= 広場や緑地の設置や管理について定めた法律。運動施設の総面積は公園全体の50%以内でなくてはならないと規定。陸上競技場を使合うクラブの共通の問題。
    
【具体的なスタジアム改修内容】
 天野部長ほか関係者が考えた最終手段が、等々力陸上競技場の大改修で、サッカー観戦に適したスタジアム作りを目指した。安心安全快適以上に愛されるスタジアムにしようという事で、署名活動を実施。「スタジアム改修を求める署名」を22万1,216人集めた。強くなって市民の認知度が上がったからという理由以上に、地域にフロンターレが浸透している事が大きかった。
   
 2012年に自治体の賛同を得て、総工費80億円で工事スタート。今年3つに等々力競技場は大きく生まれ変わった。改修に際してまず求められたのは「周辺施設との調和」。外壁に再生木材を使用。自然にある素材を使う事で、あたたかみのある空間(外観が木目調)を演出。
 陸上競技場最大の課題として、ピッチと観客席の距離があるが、少しでも解消しようと生み出されたのが、引き出し式にピッチに出して設営できる仮設スタンド「可動式ピッチサイドシート」。一番近い席よりも更に5.5mピッチに近づける席で、現在は240席が用意され、2ndステージから発売予定という事でより専用スタジアムに近い臨場感が味わえる。
   
 更に、多くのファン・サポーターのニーズに応えてメインスタンド上層部にこだわり、あえて傾斜をきつくし、俯瞰でピッチ全体を一望できる通好みの造り。メインスタンドの高さは、改修前が14.6mだったが、改修後は29.7mと2倍に改修し、屋根付き6階建てに変貌させて約4,000席を増席。
 6階にはスカイテラスがあり、60人使用可能で、ちょっとしたパーティーも使える施設。ヨーロッパをイメージした外部(屋外)席も設けて、スカイテラスの利用者が臨場感を楽しむために、居合の時は座って観る空間。中村憲剛選手が「まるでカンプノウみたい」と興奮したとか。子ども連れのサポーターにうれしいのが、ファミリーシート。そばで幼児が遊べて、親は子どもを観ながら観戦できる席。

【自治体所有の陸上競技場で、なぜここまでサッカー観戦に適した改修ができたのか】
 「スポーツだけではなく、フロンターレは川崎市民が喜ぶ取り組みをしてくれる。川崎市としては大変大切なパートナーであり、逆に応援できるのは行政の立場でできるのはスタジアムの整備であり、どうにか要望に応えていきたい」と川崎市の担当者のコメント。このような強い自治体との信頼関係が今回の改修を実現できた。
 だが、天野部長のスタジアム構想はこれだけではなかった。サッカーファンだけでなく「市民から愛されるスタジアム」。そのために取り組んだのが、「試合観戦以外の魅力づくり」。毎試合面白いゲームが展開できれば言う事がないが、勝負の世界で相手もあるので、毎試合ファンを魅了する試合にはならない。クラブスタッフができる事は、ピッチ外で更に面白いものを作る事。試合以外の魅力を演出するために掲げたキーワードが「川崎市」。
   
【試合観戦以外の魅力づくり】
 スタジアム前のコンコースに、藤子F不二雄氏(川崎市出身)の人気キャラクターブロンズ像の設置。市内にある「川崎市藤子F不二雄ミュージアム」とのコラボレーションであり、記念撮影スポットになり、試合が無い日でも解放されているため、公園の来訪者の楽しみになる。普通専スタだったら、レジェンド選手の銅像が一般的だが、市有地ならではのアイディア。
 更に川崎市にゆかりがある取り組みが「スタージアム」。川崎市出身の世界的なプラネタリウムクリエイターの大平貴之氏プロデュースでメインゲートの天井に中村憲剛選手と満天の星空のプラネタリウムを映し出すイベント。毎試合ではないが、ポイントとなるホーム戦で開催。
 天野部長が口に出す秘訣は、一番の「地元を活かす」事。普段は自分達が気にしていない地元のいいものをどうやって見つけてくるか。たfだ、すべてのアイディアが実現した訳ではなく、多くの失敗もあったとか。スタジアムに入るゲートは、わくわくドキドキの「夢の扉」なので、メインゲートを「どこでもドア」にするというアイディアを提案したが、予算的な問題に加えて、ピンク色や雰囲気が等々力緑地の景観と合わないと判断され、街の文化や地理に配慮した街並みを作る目的の「都市景観条例」が立ちはだかり、見送られた。「今はできなかったが、まだわからない」と天野部長。
   
【さらにサッカーとかけ離れた魅力作り】
 試合観戦だけが目的ではないスタジアムの使い方。等々力競技場をJリーグで使うのは20~25試合。350日くらいは稼働していないので、試合以外のスタジアムの使い方をが示す事が大事。
ガンバ大阪の新スタジアムも試合以外の使い方を重要視されており、商業利用が可能とされている。しかし、等々力陸上競技場は市民のための施設なために商業利用は難しく、市民のための活用が行政から求められている。

・試合以外の活用プラン①:
 ヨガでリラックス。東京タワーとスカイツリーが並んで観える眺望があるスカイテラスで、ヨガ教室を開催。
・試合以外の活用プラン②:
 「スタジアムに泊まろうツアー」。夜のスタジアムは照明が落ちていて真っ暗のために、星がよく観える。スタジアムに泊まって、天の川を観てそのままスタジアムの芝生でキャンプ。(←ここで「すごいで!」と口にしました) 無料で泊まって翌日は試合観戦。

【クラブ、自治体、市民が一体となり、新たな扉を開いた川崎フロンターレ】
 「天野部長が考える陸上競技場の有効活用法とは」で出た話が、兼用だから陸上競技場だから見づらいと思わない事。切り口だったり企画をもっと出していけば面白い事ができる。できないとあきらめたり、言い訳をしたりしない。陸上トラックの活用例として、フォーミュラーカーの疾走企画が紹介。こういう奇抜な発想が、新たなファン獲得に欠かせないと締めくくっています。

 この番組を観ながら、改めてJ1川崎のスケールの大きさを実感しました。特に天野部長、将来的にJリーグ理事にどうでしょうか。中には商業主義の色合いが強い方がおられるのかもしれませんが、昔の傍士さんの頃を思い出してしまいました。あの時代まではJリーグ百年構想に彩られたいい時代だったと個人的に思いました。J1リーグといえばそういえば、あと6試合で第1ステージが終わって、前期優勝が決まるというのに、全く優勝予想とか盛り上がりがゼロですね。予想以上に認知度が低いようですね。マスコミを挙げて、無言のメッセージかもしれません。
 あと、J1川崎さんをはじめ、選手契約で地域貢献を盛り込むクラブ、一方で「サッカーだけやってればいい」と盛り込まないクラブと、2通りあると聞いています。選手の地域への露出度が低いところは概ね後者のようですが、今回の川崎さんの番組内容を知ってしまうと、後者の価値観がいかに低レベルなものかがよくわかりました。あくまで個人的な主観ですが、地域との距離感をどこまで近づけるか。近づけたところが百年残り、見てくれだけで遠いままだったところは、途中で何かトラブルがあっても、市民も行政も支援が足らずに管理人交代に至るのではないかと、個人的に予想していまいました。くれぐれもあくまで一個人の一意見ですから、気にしないで下さい。 
 「フロンターレ日記」を改めて読むと、次々と紹介したい事例がわんさかと載っています。また、そのうちに紹介したいと思います。本当に異次元のクラブだなと。昔、語る会で「フロンターレは特別。一緒に観てはいけない」と誰かが口にした事がありますが、本当にそうでしょうか。天野部長の「できないとあきらめたり、言い訳をしたりしない」という言葉が光っていますね。まさにその通り。本当に一度お会いして、お話してみたいものです。
J1川崎関連:535251504948474645444342414039383736353433323130292827262524232221 

 話は変わり、今日ウルトラスでアウェー福岡戦のPVに参加してきました。その模様は明日。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 観客のためのスタジアム24 | トップ | 次に向けて頑張りましょう105 »

コメントを投稿