読書日記と読書ノート (2011年1月~2013年6月)   吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。その日に読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

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140、濱口桂一郎「日本の雇用と労働法」(日経文庫)

2014-02-09 07:00:30 | 読書記録
(1)日記から
・2012年2月24日(金)
濱口【日本の雇用と労働法】を読了。非常にわかりやすく、教えられるところが一杯。特に労使関係の歴史的変化が発見だった。日本型雇用慣行が戦時期の国家統制-賃金統制、労働力移動の禁止、ブルーカラーとホワイトカラーの平等-を基盤にしていることがわかった。戦後の労働組合が生活給の保障、雇用の保障を求めたのもこの流れだった。職務ではなく職能(潜在的職務遂行能力)を軸とする賃金。職能の査定では勤労意欲などは主観的なので、結果的には客観的ものさしとして勤続年数による年功賃金体系が生まれた。成果主義は潜在的能力ではなく、結果として現われた業績を評価する仕組みだが、業績を測るベースとなるもの=職務のランク付けがないため評価する基準がなく、結局中高年者の高賃金をカットするためにつかわれた。なるほど。教員の評価も同じだ。担任の職務は何か、教科担任の職務は何か。何を持って評価の尺度とするかがまったくない。それえゆえ、退学者が何人だったみたいな、基準にならない基準を無理に適用する。もともと職務遂行能力を査定するためではなく、忠誠度を測るために導入されたわけだから、客観性はどうでもいいわけだ。しかし、そのために学校の教育力が下がってしまったらこのシステムは維持できなくなる。成果主義が民間で不人気になったように。
 日本の雇用契約が職務-労働能力の提供-をめぐる契約ではなく、社員たる地位(メンバーシップ)の設定であるという特質が良くわかった。

(2)ノートから
①仕事に着目する職務給から人に着目する職能給への転換。
②職務=仕事への対価としての賃金ではなく、働く人たちの生活保障を軸とする賃金へ。
③雇用契約の性格。
 1)労務=職務提供の雇用契約
 2)雇用し・される地位の設定契約=メンバーシップの確立契約
④日本の雇用契約は労務提供契約ではなく、メンバーシップ設定契約。
⑤労使間の継続的雇用の維持が最優先とされた。→配転も出向も本人の同意なしでできる。→しかし解雇だけはできない。
⑥継続年数が長くなれば、職務を問わず、熟練度を問わず、賃金を上げポストを昇格させた。
⑦職能給は潜在的に有する職務遂行能力を主観的に査定し賃金を決めるもの。具体的な職務から切り離される。
⑧職務遂行能力を測ることを人事考課という。
⑨査定項目
・能力(潜在的能力、事実上勤続年数で測られる。)
・意欲・態度 
・業績
⑩1990年代からの成果主義は、潜在的能力(=勤続年数)ではなく外に現れた結果=業績によって評価するという方法。
⑪実際の成果主義
…職務の等級ができていないので、評価の基準がない。したがって、実際にはこれまでの職能給から年功の要素を取り除くだけの意味しかなかった。その結果は査定の裁量を広げることになった。無理な目標を立てさせ、目標を達成していないことを理由に、中高年の高賃金を切り下げるために使われた。
⑫就業規則に、三六協定に基づいて残業を命じる旨が規定されている以上、たとえ協定を結んだ組合に属していない者であっても、使用者が命じる残業に従事する義務がある。
→三六協定さえあれば、残業時間は無制限。
↓ 
割増賃金による抑制とは切り離して、物理的労働時間の上限を設定することが必要。

従業員の過半数代表との労使協議会を活用する。
⑬同一労働同一賃金の原則について。
 …2007年法により、パートタイマーについて正社員と同じ昇進・配転等がある時はこの原則が適用になる。そうでないときは、「均衡待遇」にとどまる。
(了)
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