<原子力委>04年にも秘密会議 「露見なら解散」
5月26日(土)2時31分配信
毎日新聞
使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル推進側による秘密会議問題で、現行の原子力政策大綱(05年閣議決定)作成準備期間中の04年にも、内閣府原子力委員会が「原子力を巡る勉強会」と称する同種の会議を開いていたことが毎日新聞が入手した文書で分かった。少なくとも04年4月までに10回開催され、核燃サイクル政策について協議していた。出席した近藤駿介原子力委員長(69)は当時「表に出た瞬間にやめる」と発言したとされ、隠蔽(いんぺい)体質は8年前から続いていた。【核燃サイクル取材班】
毎日新聞が関係者から入手した文書の表題は「第2回原子力を巡る勉強会」。04年1月29日午前8〜10時に開かれた。場所は今回発覚した昨年11月〜今年4月の秘密会議と同じ中央合同庁舎4号館743会議室。近藤委員長が「表に出た瞬間に勉強会をやめる」と発言したと記載され、存在が露見すればすぐ解散する方針だった。
「座席表」が付され、近藤委員長のほか▽斎藤伸三委員長代理▽前田肇(はじむ)委員▽町末男委員▽経済産業省・資源エネルギー庁の安井正也原子力政策課長▽文部科学省の渡辺格(いたる)原子力課長▽東京電力原子力計画部幹部▽関西電力原子力事業本部幹部(肩書はいずれも当時)−−ら15人の氏名が記載されていた。推進派ばかりで慎重・反対派はいなかった。
毎日新聞は「第7回原子力を巡る勉強会」(04年3月11日開催)と題した別文書も入手した。再処理工場で使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、高速増殖炉(FBR)で使う核燃サイクルが議題だった。国側が「21世紀後半からFBRを導入するなら電力でやる(経営する)のか」と尋ねると、事業者側が「経済性がなければできない」と難色を示し、国側が「電力ではないのか(電力でやるべきだ)」と押し返す様子が記載されている。結局、原子力政策大綱にはFBRは2050年ごろから商業ベースで導入を目指すと定められた。
8年前の勉強会はデータ整理にとどまらず、大綱の核心部分の一つを論議していた。今回の秘密会議も、今夏にも策定する新大綱のうち、核燃サイクル見直しを巡って開かれたことが分かっている。
当時を知る経産省関係者は「ムラだけの秘中の秘で、着々と準備を進めていた。今回も秘密会議を開いていたと聞いて、原子力ムラは原発事故以降も何も変わっていないと思った」と話した。
近藤委員長は毎日新聞の取材に「確かに勉強会はあった。議案を配布するようなものではなく、海外の事例などを研究するもので問題はない。(表に出たら解散すると言った)記憶はないが出席者に『注意してちょうだい』とは言った」と話した。
核燃サイクル秘密会議:原子力委員長も出席
2012年05月25日 02時49分(最終更新 05月25日 07時52分)
毎日新聞
核燃サイクル政策の見直しを進めてきた内閣府原子力委員会が推進側だけで「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、近藤駿介原子力委員長(69)が昨年12月8日の会合に出席していたことが、毎日新聞の入手した関係者のメモで分かった。秘密会議は20回以上開かれ、高速増殖炉の研究開発などを担当する文部科学省職員が出席していたことも新たに判明した。正式な議事録は作成せず、配布された資料の多くは事務局を務める内閣府原子力政策担当室職員が回収する取り決めだった。
出席メンバー関係者が作成したメモによると、近藤委員長が出席した会合は昨年12月8日午後4〜6時、内閣府会議室で開かれた。1月以降、使用済み核燃料を再利用する核燃サイクルのあり方を検討する原子力委・小委員会による政策の見直し作業が本格化するため原子力委で準備を進めていた時期だった。
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核燃サイクル秘密会議:「委員長は4回出席」官房長官公表
2012年05月25日 11時18分(最終更新 05月25日 14時49分)
毎日新聞
藤村修官房長官は25日午前の記者会見で、核燃サイクル政策の見直しを進めてきた内閣府原子力委員会が電気事業者ら推進側とだけ秘密会議を開いていた問題で、「(秘密会議は)昨年11月から今年4月まで23回開催された。近藤駿介原子力委員長は最初の4回参加した」ことを明らかにした。委員長が昨年12月8日に出席したことは毎日新聞の報道で既に明らかになっており、残る3回はそれ以前とみられる。
藤村氏は、委員長の出席の是非については「専門的な知見、あるいはデータの検証への協力を要請するということで参加したと聞いている。さまざまなヒアリングをすることが問題だとはまったく思っていない」と語った。
秘密会議という不透明な場で議論がされたことについては「できるだけオープンにされることはそれは必要だ」と指摘し、情報公開に問題があったとの認識を示した。
今年4月24日に開かれた秘密会議は、原発の使用済み核燃料の再処理政策を議論してきた原子力委・小委員会の報告案作成を巡って開催され、推進側だけを集めて報告書の原案を配布した。
核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い
2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 18時52分)
毎日新聞
扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】
◇反対派批判、一斉に笑い
4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。
青のワイシャツ姿の男が脇に書類の束を抱えて入室してきた。机にどんとおろす。一山にすると崩れるからか二山に分けて置いた。高さは片方が20センチ、もう片方が10センチぐらいだろうか。後に判明した事実によると、文書は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報告案の原案。実際に審議されたのは14日も先だ。
核燃サイクル秘密会議:「表」の会議上回る20回45時間
2012年05月25日 02時53分(最終更新 05月25日 09時17分)
毎日新聞

20回の秘密会議参加者数(右:拡大)
核燃サイクルを巡る秘密会議のうち毎日新聞が詳細を把握したのは20回。計約45時間に及び、「表」の会議である内閣府原子力委員会・小委員会の審議時間(約40時間)を上回った。すべて東京・霞が関の中央合同庁舎4号館で開かれ、延べ586人(1回平均29.3人)が参加し、2月16日が42人で最多だった。
鈴木達治郎・原子力委員長代理や内閣府原子力政策担当室の山口嘉温(よしはる)上席政策調査員(日本原子力発電からの出向者)が進行役を務めた。
一度でも出席したのは75人。1回平均最多だったのは電気事業者の7.4人で、特に電力10社で作る電気事業連合会・原子力部からの参加が目立った。経済産業省・資源エネルギー庁の5.6人、高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の4.4人と続いた。【核燃サイクル取材班】
【ことば】原子力政策大綱
内閣府原子力委員会が約10年間の国の原子力政策の基本方針を定めるもので、5年をめどに見直される。05年10月に決定した現行大綱は原発依存度を30〜40%以上とし、使用済み核燃料の全量再処理路線継続も盛り込んだ。現在は立地自治体や財界関係者、研究者ら27人で構成する「新大綱策定会議」が見直し作業を進めている。