あるタカムラーの墓碑銘

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『土の記』 第二回 (「新潮」2013年12月号) の雑感

2013-11-10 15:57:14 | 土の記 雑感
隔月ごとのお楽しみ、『土の記』の雑感です。

今回の分、読んでいて混乱しませんでしたか? 私は混乱したぞ。「えっ、これ誰? 誰の視点?」と1~2ページ前に戻ることがしばしば。
文学用語でいうところの、「信用できない語り手」とでもいうのでしょうか。そんな感覚?
「信用できない語り手」どころか「複数の信用できない語り手たち」、人物の視点と語り手が次々変わっていく。

読み手に混乱・困惑をもたらせるのが、高村さんの今回の小説のたくらみなのか? 本文にもある「1/fのゆらぎ」を、小説という手段で起こそうとしているのか?

今回分を読み終わって「曼荼羅の世界にいるみたい」と感じました。神仏の曼荼羅ではなく、人間世界の曼荼羅。


・万能鍬(まんのうぐわ)とルビがあったのでちょっと調べてみた。「万能」は「ばんのう」と「まんのう」の読み方では、まったく意味が違うのか!

・久代が遭った事故は国選弁護人曰く「おかしな事故だった」
この事件の裁判・・・加納さんが担当したらと想像しかけたが(笑)、加納さんは「民事裁判」の担当でしょう。だからこの想像は成立せず、却下。

・山崎邦彦 一九四三年生まれの67歳で死亡。

・山崎のおばあ 山崎邦彦の母。事故を起こした邦彦を案じ続けた挙句、気がふれた。 故人。

・戒長寺 真言宗御室派のお寺。 婚約時代の伊佐夫と昭代が訪れている。

・おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか。 薬師如来の真言。

・上谷隆一 「りゅういち」と読んでおく。県庁の河川課に勤める公務員。 昭代は従伯母(じゅうはくぼ)にあたる。 

・倉木吉男 昭代の妹・久代の夫。倉木建設の経営者。 「よしお」と読んでおくが・・・またよしおか、とツッコんだらダメよね(苦笑)
二人の孫の名前はアリサと判明。 またアリサか、とツッコんだらダメよね(苦笑)
(『冷血』読んだ人なら分かるね? このツッコミ)

・栂野 倉木吉男の従弟。土木会社の経営者。

・伊佐夫、前回とらえた鯰を「花子」と適当に命名。

・なぜ昭代はあのときあの場所にいて、事故にあったのか? この謎は解かれるのか? 


余談ながらラストから2ページ目の下段に、『太陽を曳く馬』の広告が挿入。


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8 コメント

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待ってました~ (yuki)
2013-11-10 22:59:48
こんばんは~。

からなさんの 『土の記』雑感。
楽しみに待ってましたよ~!

えっ!! そうなんですか!?
語り手が前回と違うの?
う~ん、これはやっぱり主役は、まだ誰だか分からないという事か?
ということは、合田さんが出てくる可能性もあるってコト?
ちょっと読み続ける希望が湧いてきた~~~ヽ(^o^)丿

と言うものの、あたしまだ 『新潮・12月号』 買ってないんですよね~(汗)。
明日、帰りに買うつもりです。
表現が悪かったかも・・・ (からな)
2013-11-11 23:58:11
yukiさん、こんばんは。

>語り手が前回と違うの?

いえ、こちらの表現が悪かった(苦笑)
次から次へと登場人物が出ては、その人物の視点で物事を見ていく、という形なので・・・。

例えるならある物体を、Aという人物は「球形」と感じ、Bという人物は「白い」と思うし、Cという人物は「大きい」と言う・・・。
どれも当たってるけど、全てを言い当ててない。どの人物も、ほんの一部しか分かってない、という感じですかね?


・・・私もこれを入力してて、何が何だか・・・(苦笑)

トラックバック (ゆき)
2013-11-21 00:27:30
拙ブログへのトラックバック、ありがとうございます
こちらの記事に、トラックバックの返信いたしましたので、よろしくお願い致します。

・・・・しかし、わたくし、トラックバックの原理が未だによく分かってなくて
なんだか、こんなんで良いのでしょうか?


確かに、今回の『土の記』、混乱しました。
今、どの人物の視点で語られているのか?、ころころ変わるので、混乱しました。
こんばんわ (彩の猫)
2013-11-21 20:47:14
初めて書き込みさせていただきます。
こちらのブログで高村さんの最新作を知ることができました。
ありがとうございます。
今度の作品は地質学がテーマのミステリーでしょうか?
テーマの把握も覚束ないですが、12月号から何だか面白くなりそうで新たな楽しみが増えました。

晴子情歌の感想サイトを探していたら、からな様のブログにたどりついた次第です。
からな様や他の訪問者様の深い洞察力や推理力で書かれた記事のおかげで、あの作品を読み返すことが二倍も三倍も楽しくなりました。
晴子さんは本当に多くの男性のファム・ファタールだったんだなとつくづく思います。

これからもこちらに訪問させていだたければありがたいです。
乱文失礼しました。
トラックバックありがとうございます♪ (からな)
2013-11-21 23:29:25
yukiさん、こんばんは。

コメント書き込もうと思ってたんですが、今朝は出かけるのが早く、帰宅も遅かったので、明日以降にさせてください。 しばしお待ちを。

>トラックバックの原理

平たくいえば、 「お互いの記事と記事でリンクする」 と思えばいいのでは?

>今回の『土の記』、混乱しました。

でしょう? でも単行本になったときには、免疫ついてるから、読むのが初見の人たちに比べたら楽かもしれませんよ。


いらっしゃいませ (からな)
2013-11-21 23:47:02
彩の猫さん、はじめまして。 コメントありがとうございます。

>今度の作品は地質学がテーマのミステリーでしょうか?

うーん・・・まだ何とも。 ミステリではないかもしれませんが、「謎」があることは確実です。

>晴子情歌の感想サイトを探していた

そうなんですか。 ありがとうございます。 
単行本の感想は10年近く前になるので、読み返したくないんですが(苦笑)  文庫になった『晴子情歌』を読んだら、年数経っているせいか、こちらの感じ方も違ってきますね。

>晴子さんは本当に多くの男性のファム・ファタールだったんだなとつくづく思います。

晴子さんのまったく与り知らぬところで、いつの間にかそうなっていた、というのが面白いと感じました。

よろしければまたお越しくださいませ。 ありがとうございます。

はじめまして (石神井逍遥)
2013-12-13 19:46:26
16年に亘ったという介護、事故前の若かりし頃の妻、本人の年齢、覚醒と朦朧、都会と田舎、自然描写、写実と心象、渾然一体となって同時代、過去を行き来させてくれますね。たしかに「ゆらぎ」を試みている、のでしょうか。

妻には、晴子を彷彿としました。長塚節の「土」を復刻本で読み返しています。合田刑事が土いじりに癒やされたであろうこと、なんとなくつながっていきます。

次も楽しみですね。
いらっしゃいませ (からな)
2013-12-14 00:11:48
石神井逍遥さん、はじめまして。 コメントありがとうございます。

>妻には、晴子を彷彿としました。

ああ、なるほど! 屈託のないところが、なんとなく似通っているかも。
昭代は、あくまでも伊佐夫や久代などの身内から見た描写なので、実のところはどうだったのか、まだはっきりしませんけど・・・。

>長塚節の「土」

いつかは読まなきゃと思いつつも、なかなか手が出ず・・・。 いずれ「本に呼ばれる」ときがくると思うので、その日を待ちます。

ご訪問ありがとうございます。 よろしければまたお越しくださいませ。

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