河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2183- ツァラ、英雄の生涯、上岡敏之、新日フィル、2016.9.9

2016-09-09 23:21:07 | コンサート

2016年9月9日(金) 7:00pm サントリー

シュトラウス  ツァラトゥストラはかく語りき  33′

Int

シュトラウス  英雄の生涯  45′

(encore)
シュトラウス サロメより、セヴン・ヴェール  9′

上岡敏之 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


新シーズンスタート、新指揮者就任記念公演。
指揮者、オーケストラともに気合いの入ったいい演奏会でした。
ツァラ冒頭のブラスセクションの奥行き感が見事に出た強烈サウンド、その中に聴こえてくるウィンドセクション、弦が圧力をかわして浮き出る。このオケ特有のちょっと埃っぽいサウンドに上岡が見事な打ち水。粘り腰の出たフル全奏は頭から圧巻。縦ラインもお見事。
この日の指揮者の前には譜面台がありませんでしたが、パーフェクトな理解と指示でしたね(席が近いのでよくわかる)。彼が加えた独特なアクセント、ヴァイオリンパッセージを跳ねるように強調終止させたり、ブラス、ウィンドのアンサンブルバランスを強く濃い目にして大胆な響きを醸しだしたり、そういったあたりのことまで指示しまくってました。これに応えるオーケストラ、いい意思疎通、それがまたリハのせいか指揮者のおかげか、余裕をもって表現するオケ。なかなかの聴きものでした。
上岡の指揮は伸縮自在でテンポの出し入れが激しいけれども自然。最後のナハトが彼の表現の真骨頂とみました。濃厚な粘り気を感じさせないスローさで、曲種をあらためて感じさせてくれる味わい。ロマンチックの排除というと語弊があるかもしれないが、この標題音楽にふさわしい筆の運びと見ました。
シンフォニーに見られるジェスチャー過剰な指揮はあまり見たいものではなくて、見苦しいわざとらしさが前面に立つこともある上岡の指揮なんですが、標題系の音楽ではむしろ自然に見えました。それに標題系の曲の方が、ジェスチャーが過激でない。これは興味深いモーションと思います。音楽をより自然に振っている。それが姿かたちに表れてきている。見た目も自然体という話。
サウンド充実のいい演奏でした。

後半は作曲家の大言壮語な自意識過剰曲。まぁ、シュトラウスの場合、口ほど以上に実力はあったという話になりますから、これはこれで。
前半の気合いが少し緩んだのか縦ラインがボサッときますが、じきに立ち直り滑るような演奏がまもなく展開。
長いヴァイオリンソロ。ここでグッとテンポを落とす指揮者、それがベストと気持ちよく歌いまくるヴァイオリン。絶妙な掛け合い。オーケストラの伴奏の息もあっている。上岡のコントロールがよく効いたオケも聴きもの。
コンマスの表現がこれだけお見事ですと、もう、ひとりコンマスでいいのではないか。
日本国中、首席コンマスとか客演なんとかコンマスとかコンマスも指揮者化してしまっていて、これはどうかと思う。オケと指揮者をつなぐものだし、普段のコミュニケイトが大事。それがコロコロかわる。コミュニケイト的には非効率的で無駄な時間が発生しているのではあるまいか。
アメリカの場合、ユニオンがありますし、リハに時間がかかると残業代が要る。ひとりコンマスだと日常のコミュニケイトがいい。何人もコンマスがいて果ては客演コンマスなんてぇのは、コミュニケイトに余計な時間がかかり残業代の話は日本の場合、知らないけれども、効率が悪いし、それよりもなによりも演奏の出来が悪くなると思うのだがいかがか。もっとも、ニューヨークフィルは1シーズン200回を上回る定期公演、こんなに極端でなくてもアメリカのオーケストラは概して公演回数が多い。そのため、効率重視。ユニオン制度はそれを後押しする良さがあるという一面もある。
話がそれましたが、この日のコンマスと指揮者の息がよく合っていると思いましたので、そのようなことが脳裏をよぎりました。ひとりコンマスでいいですよ。

ということで、英雄の生涯、ジックリと45分。ホルンの日高さんを筆頭に、ブラスとウィンドにトラが多いのが気になりますけれどもこれからどんどん正社員で埋めてほしいし、少なくとも全プリンシパルは正社員でやってほしい。日高さんがなればいいのではないのか、正社員に、と、それも脳裏をよぎる。
そんななか、めくれるような後半の頭、ブラスの活躍には目を見張るものがありました。上岡のメリハリ棒も光る。音楽が生きている実感。
最後のパッセージのピアニシモまでのもっていきかたは余計なタメを作らず比較的すーと終わらせましたね、濃さの中に、それにズブズブにならない指揮者がいる。最後はもう、あっさりした短いエンディングで締め。
これもいい演奏で満足。

そして思わぬアンコール、それもサロメ。びっくり。エキセントリックなサロメの踊りの描写がにじみ出ていたいい演奏でした。最後は迫力ありましたね。上岡の得意なオペラでしょうか。ぜひまるごと聴いてみたいです。

以上、
今日は上岡新音楽監督の就任記念公演。いい盛り上がりの演奏会でした。新日本フィルさんにはこの日の充実した演奏会、それよりもいい演奏をするんだという気概で毎回取り組んでいってほしい。
おわり


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