河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2298- アンドラーシュ・シフ、ピアノリサイタル、2017.3.23

2017-03-23 23:30:53 | リサイタル

2017年3月23日(木) 7:00-9:40pm コンサートホール、オペラシティ

モーツァルト ソナタ第18番(第17番)ニ長調K.576   5′5′5′
シューベルト ソナタ第21番変ロ長調D960(遺作)   20′8′5′9′
ハイドン ソナタ変第62番変ホ長調Hob.ⅩⅥ:52   9′6′6′
ベートーヴェン ソナタ第32番ハ短調Op.111   9′17′
(encore)
バッハ ゴールドベルク変奏曲BWV988よりアリア   4′
バッハ パルティータ第1番BWV825よりメヌエット、ジーク   5′
ブラームス 3つの間奏曲第1番変ホ長調Op.117-1   4′
ハンガリー民族舞曲より   2′
モーツァルト ソナタ第16番ハ長調K.545より第1楽章   3′
シューベルト 即興曲Op.90-2   5′
シューマン 子供のためのアルバムより 楽しき農夫Op.68-10   1′

no intermission recital

ピアノ、アンドラーシュ・シフ
ベーゼンドルファーMODEL280VC


4人の偉人の最後のピアノ・ソナタを並べたリサイタル。ヘヴィー感が漂う。それに休憩無しとあるから聴く方も相応な体力と集中力が要る。
結局30分におよぶアンコール7曲合わせ、無休憩約2時間半ロングの大リサイタルとなりました。ピアノの鍵盤側の席を取れたのはいいがずっと上の方から覗き込む感じで、ロングフライトシンドローム、足が動かなくなった。

モーツァルトは展開があでやかで、バロック風というよりはむしろ甘いスィーツな味わいがある。リサイタルが始まる前から空気感が変わり始めていたが、最初のモーツァルトでがらっと様変わり。静かななかに美しい音楽が奏でられる。軽い弾きのように聴こえる。むしろ余計な力がかかっていない。モーツァルトを奏でるに必要な音のみ、ポツポツ、クルンクルン。過剰なものは何もない。これで十分。会場は静謐。

ピアノの前で2度3度お辞儀をしてそのまま次のシューベルトへ。
遺作は形式感、長短バランスなどほぼシンフォニー。第1楽章は破格の長さ。言いたいことは第1楽章ですべて言い尽くされているような気がする。今日あらためて実感しました。
第1主題ゆっくりとそれでいて隙間がない。哀しいロマンティックな味わいがなにか翳りのように進行するシューベルト絶品のメロディーライン。シフの力は指先まで全て抜けきっている。力をこめず均整がとれた響きが美しい。ゴロゴロゴロッと左手トリルのパッセージがアクセントになりメロディーラインに戻る。いやぁ、美しい。スバラシイ。
シフの頭の中は澄み切っていて落ち着いている。習字の味わいを感じる。
モーツァルトからシューベルトへ。完璧なライン。

45分におよぶ2曲目のシューベルト。こちらは解脱状態。なんだか、煩悩消えましたね。
ひとお辞儀してハイドンへ。通常ならこの前に一服あるのだろうが、シフはそのまま自然体で進む。
モーツァルトからシューベルトへの後は、
ハイドンからベートーヴェンへ、ううーん、素晴らしいプログラムビルディング。
強固な構造は背面へ。シフのタッチは全体を支配している。だからこそ作品の違いが出てくるのだと言える。ハイドンの硬さが消えて流れるよう。形式は道具と。

最後のベートーヴェン。
自分としてはこの作品に究極感は感じないものの、研ぎ澄まされた内容の深さが従来の形式を押しとどめたような具合で、じゃあ、次に何が開けてくるのか、前進進化型のベートーヴェンとしてはその問いと解を自ら作り出すその前に消えた、と思うしかない。尽きた最後の作品ではないと思う。
それでこの2楽章構成の偉大な作品。その2楽章は不思議なことに変奏曲という感じが全くしなかった。なにか、こう、先が開けていくような具合。
モーツァルト、シューベルト、ハイドンと、情念のようなものは別世界の出来事といったピュアで澄み切った世界。ベートーヴェンも同じようなタッチ進んでいく。芸風だからといってしまえば身もふたもない。
本日の4ピース、最後のソナタ作品群とはいえ、作曲家がその時点で最後なんて思っているわけではなくて、今を起点とした過去眺めのネイミングであるので特にどうだこうだということでもなくて、シフの色で全体が染まるのは理の当然の気はする。でも、
ベートーヴェンの作品に変奏曲を全く感ぜず、これから先の展開を意識させてくれた。シフの見事な閃きの演奏だった気がしてならない。最後だけど終わっていない。最後を否定している。静謐な中になにかさわやかな光が見えるお見事な演奏であった。

色々と示唆に富むリサイタルでした。4人の最後の作品をこうやって聴けたのはいいことでした。4人のピアノ。ソナタ全てをシフが録音しているのかどうかわかりませんけれども、こうなったら全部聴かないとね、自分にもこの日の緊張感を思い出させるためにもね。もちろん中身はしっかりと聴きますよ。
素晴らしい演奏、本当にありがとうございました。

ずっと出ずっぱりでしたが、4曲終えたところで袖に出入りしアンコールに応えてくれました。これはアンコールとはいっても本プログラムの意識の継続。このラインナップ7曲、まだやるかっ、と思わせぶりは皆無の中、ひたすら名品を同じ意識の中で弾いて聴かせてくれた。シフの色は濃いし幅のあるものですね。ひとつ、精神性、久しぶりにこの言葉が脳裏をかすめた。

オーケストラ用のコンサートホール、満員のリサイタルでした。
おわり

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