2015年3月20日(金) 7:00pm サントリー
ショスタコーヴィッチ ピアノ協奏曲第2番ヘ長調 5′7′6′
ピアノ、イワン・ルージン
(enocre)
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番 第3楽章 3′
Int
ショスタコーヴィッチ 交響曲第11番ト短調 15′+19′+9′+15′
アレクサンドル・ラザレフ 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
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前週のスリーピング・ビューティー、展覧会の絵、これに続くショスタコーヴィッチの11番、なんとも魅力的なプログラムが続きます。鐘の音消えずのフライングは必ずあるだろうなという確信的不安がある中。
11番は約1時間の大曲、休むことのない一気振り。
クリアで雄弁なベース、ヴィオラの美しいピアニッシモ、ミュートのトランペットと同質化したのではないかと思わせるようなフルート、きりがない多彩な表現。まるで大きな変奏曲でも聴いているような味わい。そんななか、最後のコーダのところは、音圧というものを一つの音楽表現の手段として素で組み込んでいるのではないかと思わせるような大馬力。全てが全て、作曲家、指揮者ともにシンクロした理解と解釈の表現だった。
演奏の妙は続く。愁いを含んだようなブルーなトーンのウィンド、淀みのない弦のニュアンスの多彩さ、濃い演奏行為が続くがぶ厚くも透明な色彩感が素晴らしい。
そして、ラザレフが振ると音楽に勢いがグッとでます。強音から弱音までおしなべて張りが出てくる。こうゆう張った音って、指揮者がオーケストラのハートをつかんでいるから出てくるものなんでしょうね。
美的な話が多くなりました。結局この曲はどのような作品なのかというあたりおろそかにしてしまって聴いているのかもしれない。オペラって初めて見るけど今まで聴いたオーケストラで一番良い音だったよね、といったセリフと大して変わらないのかもね。
前半のピアノ協奏曲。ルージンと言う人はお初です。軽妙でスピード感に溢れる佳演。速いパッセージでも鍵盤を見ることはあまりなくて、上見たり横見たり、表情豊かな顔が客席から幾度も見れる。
このピアニストは音価レングスが正確で小気味良い。あと、ちょっとなんというかわかりませんが、早目に鍵盤押しにかかる感じ。アインザッツきっちり派ではなく、ちょっと装飾音的な弾き方。癖なのかもしれない。前のめりな感じは無くポンポンたたいて弾いてくる。演歌歌手がよくやるような、やつす感じがある。後ろの方にではなく前のほうにやつす感じ。
全般に切れ味鋭く前進する。聴いていて心地よい。ちょっとツンとしていて、鍵盤を見ない奏法だが、いやみなところもなくショスタコーヴィチの魅力を教えてくれるスッキリ内容。ケロッとしてる感じ。
おわり