河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。
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2409- ベトコン4、ラーンキ、マーラー5、上岡、新日フィル、2017.9.14

2017-09-14 22:50:43 | コンサート

2017年9月14日(木) 7:00-9:15pm サントリー

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調  18-4+10′
  ピアノ、デジュー・ラーンキ

Int

マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調  13+15-16-9+14′

上岡敏之 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

ラーンキをはじめて聴いたのは40年前のちょうどこの日。髪はブラウンだったような記憶がうっすらと。
870- ラーンキ&バル3 シチェドリン&カルメン 1977.9.14

ソロピアノから始まる今日の演奏、音が細めで粒立ちよくキラキラとオルゴールのよう。愛しむような演奏で素敵でした。コッテリとした味付けのベトコン4とは随分と違ってましたね。
新日フィルさんのサントリー定期の定席は鍵盤側と真逆なのだが、ピアノの裏蓋に指の動きが映るのでよく見える。指使いを上から見ているような映り具合。
ピアノの名手が振る伴奏オケはこのピアノの美感を更に引き出すもの。いい事尽くめ。ピッタリと寄り添う伴奏とはこういうもんだろうなぁ、プロの技というものは大したもんです。
音符が目に浮かぶクリアさで静かに進むオケ、滑り込むように細めで明るく鳴るピアノ。音価レングスに多少のブレが散見されるが、まぁ、そういうことは通り過ぎてきたことなのだろうと思う。バルトークだったらどうだったのかなという思いはある。

肩の力が抜け、指が重力のままに置かれた緩徐楽章の自然な響き。こうゆうコクのある演奏はお見事ですね。聴き入ってしまいました。美しい。

今日は同オケ2017-18シーズン初日の演奏。アメリカだと一大イベントの初日公演。日本ではどこのオケも何事も無く通過です。まぁ、それでも、コンチェルトとマーラーの大曲を並べるあたり、意気込みを感じさせるところはある。

上岡の振る棒の素晴らしさはオーケストラの全メンバーが彼の棒を信頼しきってどこまでもついていこうとする気持ちが演奏に乗り移っているというところだろう。ゲルギエフとキーロフ初期の頃を思い出す。プレイヤーの指揮者を凝視する目の鋭さが全員ものすごかった。この人についていくのだという眼でしたね。
日本のオケは音楽監督、首席指揮者などそのオケを振る回数がとても少なくて本当に一体感があるのか疑わしいのもある。新日フィルは上岡音楽監督になってから目に見えて振る回数が増えたのはいいことです。充実した演奏が多くなりました。
また、メンバーの隠れていた能力、やる気を引き出すことにより、別の指揮者が振った時でも上岡の時と同様なやる気演奏がたくさん聴けるようになった。目に見えない波及効果。指揮者の能力というのはなるほどこういう事なのかと納得。

指揮棒を二本持って現れた上岡。二刀流で指揮の奥義を魅せてくれるのかという勢い。ひとつは指揮台に置きましたが、棒がどこかに飛んでいってもいいようにスペアの用意だろう。何事も準備が肝心、備えあれば憂いなし。無用な雑念は排除という話だろう。

上岡の棒は他の曲同様、強調構文がいたるところにある。第1楽章のベースの強弾きから始まって普段あまり気に留めていないパッセージがすっと浮き上がったり、絶妙なバランスで流れたりする。聴いているほうは、おおそうだったのか、とあらためてその発見に驚く。フレッシュですね。各主題のコントラストよりこういったことに力点を置いた演奏のようにみえました。
また、マーラーに多い裸の旋律をプレイヤーが演奏しやすいように振っているのも心的作用としては大きい気がします。これは聴衆に対してではなくプレイヤーに対してのアクションなのだが、あの棒の動きは見ているこちらの方にも説得力あります。理にかなった棒だと思います。
冒頭の幅広のトランペット、ゆっくりと味わうような吹奏。その余裕と安定感。これ大事ですね。マーラーの縁取り感覚、最初から大きな演奏を聴くことが出来ました。
2楽章終結部のファンファーレ。スローな初速からハイテンションへのめくるめくようなカオス的スピード感、圧巻。
長い3楽章、奇妙な3拍子は濃い味付けながら何か軽妙に過ぎ去る足取りを感じる。ひとつずつかみしめながら聴くこの味わい。楽章が長ければ長いほどますます深みにはまる。はまりたい。
アダージェットはユニークな演奏。うねりに満ちた伸縮自在の流れ。上岡のこれまでのマーラーの流れからいって、バーンスタインのような限りを尽くしたスローモーションになるかと思いきやそうでは全然なくて、意表を突くような独特の表現でした。流れと美しさにポイントをおき、後ろ髪をひかれないように心がけている。ビーンとくる最後のベースのあとはいかにもあっさり弦がすーっとしぼみホルンの一声、その後の弦が長くて、そのあとの空白がもっと長い。これはなにかと。ここまでが4楽章なんでしょう、上岡の解釈では。ふーん、と、妙に納得できる技。切り替えが次にくる。ここはコントラストの妙が強く出ましたね。
終楽章の前進と転がり、気持ちがいい。マーラーがここで吹っ切れた。オケの滑り具合もさらによくなり快活、明るく鳴る。コーダ前は思いっきり緩め、高速エンディングでウィンドの束が滝のような鮮やかな下降ラインを作り、ブラスがさらにひと押しの下降エンディング。下降旋律終止なのに、天に舞うように終わる。

鮮やかな演奏だった。
おわり

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