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2009年11月18日(水)7:15pm
サントリー・ホール
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マーラー 交響曲第8番 千人の交響曲
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ソプラノ、
マヌエラ・ウール、宮平真希子、安井陽子
アルト、
アレクサンドラ・ペーターザマー、清水華澄
テノール、ジョン・ヴィラーズ(マリア崇拝の博士)
バリトン、ユルゲン・リン
バス、ロベルト・ホルツァー
合唱、武蔵野音楽大学室内合唱団、栗友会合唱団
児童合唱、東京少年少女合唱隊
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クリスティアン・アルミンク指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
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ブラスの巨大な咆哮に続いて、最後のちょっと遅れ気味のバスドラは完全につぼにはまっていて見事な締めではあったけれど、でも、やっぱり、
ジョン・ヴィラーズ
に尽きるなぁ。
ちょっと伏せて口を曲げながらの熱唱は、オペラの世界に駆りたてられる。
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この曲を交響曲として聴きに来てしまうと、最初と最後だけ目覚めていて残りは寝ているだけという聴衆も少なからずいる。千人というのはやはり合唱に重きをおいた、聴衆の実感したサブタイトルということになる。第1部はソナタ形式と言われるけれど、巨大な音響構築物として聴く分にはいいが構成感には少し難がある。第2部に至ってはファウストのテクストの理解が必須。内容を知らないで聴いていても意味はほぼ無い。字幕がほしい。
前回聴いたのはいつだったのかしら。20年前のシノポリの棒、フィルハーモニア管弦楽団だったかなぁ。そのあと聴いた記憶はちょっと調べないとわからない。
アルミングは、かつてこの曲を振った小澤征爾&ベルリン・フィルのような天才肌的峻烈さはなく、観れば観るほど聴けば聴くほどオペラとの相似性を強く感じさせるもの。その体躯に似合わず職人肌的棒ふりのように思える。第2部は曲想がオペラオラトリオ的であり、アルミングは形式ではなく、流れを感じさせる、というよりも断片のつながりのようなものでしかないものをうまく連続性に富んだ音楽に変える。8人の歌い手が次々と独唱、重唱を連続させるさまは本当にオペラの世界にはいって行ってしまったようだった。
合唱に対する棒はあまりアクションの大きなものではなく(普通の指揮台を3段重ねにしているのでオーバーアクションは不要!)練習の成果をそれなりに感じさせるが、少年少女のほうはズレズレで、旗振り役がもう一人必要だろう。
結局、マリア崇拝の博士役のヴィラーズの独壇場であり、張りつめたテノール、高音がやや苦しいながらその絶唱は見事だ。このままオペラの世界にシフトしてほしいと思ってしまうぐらい吸引力がものすごい。
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拍手は15分ほど続いたが、ホルン・トップのスタンディングではオヴェイションならぬブーイングがでた。コントラバスと同数の8本揃っていたが、トップはソロ・パートだけに集中していればよかったかもしれない。音楽の核となるホルンだけに、はだか部分でのポロポロが多すぎた。
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合唱は70+70+40+40で220人ぐらい。
少年少女は30人ぐらい。
オーケストラは100人ぐらいなので巨大ということはない。いわゆる4管編成。ホルンは8。
オルガン1、ソリスト8。
バンダはたぶん8人で、2階席通路で第1部、第2部の最後に吹奏。
合計で1000人に及ばず、370人ぐらいだと思う。
おわり