碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

書評した本: 石川結貴 『スマホ廃人』ほか

2017年06月17日 | 今週の「書評した本」



「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。

石川結貴 『スマホ廃人』
文春新書 799円

実はツイッターやフェイスブックどころか、携帯メールもやっていない。携帯電話はガラケーを愛用しており、スマホへの変更予定もない。それで不便なく生活し、仕事もしている。

理屈ではなく感覚的にというか本能的にというか、スマホを持つことで増えそうなストレスを回避してきたのだと思う。石川結貴『スマホ廃人』を読むと、そんな選択があながち間違っていなかったと分かる。

まず中高生とLINEやツイッターの関係が心配だ。連絡を取り合うには便利だが、時間や状況にかかわらずつながってしまう「常時フォロー」の負担が大きい。また、「学年LINE」など“招待制”のシステムでは、仲間はずれになることへの不安だけでなく、所属するグループのランクもプレッシャーになるという。

本書では大人たちの実例も豊富だ。手軽で、身体感覚にマッチし、刺激も得られるスマホは無自覚な依存に陥りやすい。特に子供だけでなく大人も引き込むスマホゲームは一兆円産業に近づく勢いだ。巨大ビジネスが導く、「廃人」への道に著者は警鐘を鳴らす。

それに対し、「スマホは単なる道具。リスクと対処法を知れば怖くない」と説くのが小木曽健『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(ちくまプリマ―新書)だ。著者はネットゲーム会社「グリー」の安心安全チームマネージャー。時間を奪うからとネットやスマホをやめるのではなく、どのように使い方を改善するかを提案している。


土方明司ほか:著 
『リアル(写実)のゆくえ~高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの』

主婦の友社 3240円

人はなぜ、「写実絵画」に魅了されるのか。信じられないほど精緻な描写の背後に、作者の“狂気”ともいえる執念を見るのかもしれない。明治期から戦後までの名作を通じて写実表現の世界を探る本書は、今年、全国各地を巡回する同名美術展の公式図録でもある。


数多久遠 『半島へ 陸自山岳連隊』
祥伝社 1728円

北朝鮮で内部崩壊が始まった。自衛隊は生物兵器の奪取作戦と拉致被害者救出作戦を同時に決行する。小説とはいえ自衛隊、政府、マスコミ、北朝鮮軍、それぞれの動きは緊迫感に満ちてリアルだ。著者は元自衛官。新聞記者が秘密保護法違反容疑で拘束される場面も。  

(週刊新潮 2017.06.15号)

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